■サッカーのために「借り入れ」する家庭
NGO団体『love.futbol Japan』が、「2022年 子どもサッカー新学期応援事業」に参加する小中学生を募集している。今年度の申し込みは2022年2月16日(水)まで。
世界各地で子どもたちのサッカー環境改善に取り組む『love.futbol』は、日本国内でも活動。「2022年 子どもサッカー新学期応援事業」においては、何らかの要因により金銭的にサッカーを続けるのが難しいと感じている家庭に向けた支援が行われる。
具体的な支援内容は、下記の通り。
・奨励金:サッカーに関わる費用として3万円の奨励金
・社会とのつながり:プロサッカー選手とのサッカー交流
・用具寄贈:ウェア、シューズなど
希望する支援は申請の際に選択する必要があるが、複数選択が可能。奨励金についても返還の必要はないと公式サイトに明記されている。そのほか、昨年のケースでは日本サッカー協会(JFA)とのつながりの中で日本代表の試合観戦にも招待された。
代表の加藤遼也氏の話によれば、初年度だった昨年の活動においては申し出た87世帯中、31%の家庭の保護者が子どものサッカーのために借り入れを行っていたとのこと。新型コロナウイルス禍の中で経済格差のさらなる広がりが問題視されるなかで、物品的および精神的なサポートの必要性がより増している。
■代表の加藤氏が語る現実
また、加藤氏は活動の中で「貧困とか格差で『子供たちの支援をするよ』って日本のサッカー関係者に呼びかけても、『日本にそんな子供って存在するの? 』とかそういう反応が多かった」と話す。
一方、支援の対象としている子どもたちの側は、こう表現することがあるという。
「今自分らが支援したり、応援してる子たち、サッカーをしたくてもできない子どもたちって、『地図のない世界にいる』みたいなこと言うんですよ。どこに行っていいか分からないし、誰を頼っていいのか分からない。っていうような空間的な問題もあるし、その問題が明日明後日解決するのか? 本当にいつ解決するか分からない時間的な不安もあったりする」
Jリーグができてから約30年経つが、「この30年間で、いったい何時間、または何分、この子どもたちを知ろうと目をむけてきたか、声を聞こうと耳を傾けてきたか。30年間の中でも1時間でも使った人って多くはないと思う」と感じる現状に強い危機感を覚えており、いざサッカー関係者がそういう子どもと出会ったときに「じゃあ、あそこに相談してごらん」と言える環境が重要だと強調した。
とはいえ、『love.futbol Japan』はサッカーの魅力やエンターテイメント性、成長を追求する団体でもある。その中でサッカーを断念せざるを得ない子どもたちを応援する担い手となることで、「みんなが理想として思い描く、日本サッカーの盛り上がっている未来図」をイメージしていると語られた。
『love.futbol Japan』が2月16日(水)まで応募を受け付ける「2022年 子どもサッカー新学期応援事業」の詳細は、以下で確認することができる。