インドで開催中のAFC女子アジアカップ2022。日本は初戦と第2戦を順当に勝ち進み、勝ち点6の得失点差で首位に立つ。すでに準々決勝進出は決めているものの、カギは27日の第3節だ。というのも、グループ1位抜けの場合はグループA/Bの3位(イラン/フィリピン)、2位抜けの場合はグループBの首位、つまり、優勝候補筆頭のオーストラリアと準々決勝で対戦する可能性が高い(第2節終了時)。
グループCの首位突破を懸けたこの一戦は、二連勝で同勝ち点で並ぶ韓国との直接対決となる。
GOAL Japanは今回、元なでしこジャパンで韓国女子サッカーリーグ(WKリーグ)慶州水力原子力女子蹴球団でプレーする田中明日菜に、韓国の女子サッカーの強みと、そして日韓戦で注意すべき選手について話を聞いた。
韓国女子サッカーリーグと田中明日菜選手のキャリアについてはこちら
■女子リーグ9連覇チームのサッカー
韓国のWKリーグには、常勝チームが存在する。仁川現代製鉄レッドエンジェルズだ。現なでしこジャパンのMF長野風花(マイナビ仙台レディース)もかつて所属したことのあるチームで、2013年から2021年までリーグを9連覇している絶対的女王である。
今回対戦する韓国女子代表には、守護神キム・ジュンミはじめ、このチームから9名が選出されている。
「レッドエンジェルスは、韓国リーグの中でもやっぱり違うんです。一人ひとりのレベルが高い。韓国のサッカーは本当にフィジカルが強いんですが、その中でもこのチームはパスサッカーを展開する。フィジカルとパス、両方兼ね備えています。日本で言うとINAC寄りなのかな。スピードと当たり負けしないフィジカルの上にテクニックを持ち合わせたチームです」
韓国代表も同様なサッカーと考えられるが、では日本はどう対応するべきか? 田中は言う。
「日本の良さであるポゼッションを前面に押し出しながら、3人目の動きで崩していければ。デュエルだと(韓国は)強いので、数的優位を作りながら崩していきたい。日本のテクニックと戦術面でのインテリジェンスがあれば、勝てると思います」
■今大会で日本が注意するべき選手
韓国代表にはかつて田中がINAC神戸レオネッサでともにプレーした選手も多い。
「注目の選手の1人」と話すのは、DFチャン・スルギ(仁川現代製鉄)だ。神戸での出場機会はなかったものの、その後母国で着実に力をつけた。
「チャン・スルギは20歳でINACに来て、全然試合に出られなくて帰ったんですが、帰ってからすごく活躍しています。リーグ戦でもめちゃめちゃいいんですよ」。今大会では左サイドバック/ボランチとして、今大会でも2試合にフル出場している。
攻撃陣では、今大会3得点を挙げている韓国のメッシこと絶対的エースFWチ・ソヨン(チェルシー・レディース)ももちろん警戒すべき選手だ。「私生活でも仲がよく、今韓国に躊躇なく来れたのも彼女のおかげかなと」
「仲がいい選手は多いですよ。チ・ソヨンはもちろんですが、あと、チョ・ソヒョン(トッテナム・ホットスパーLFC)もINAC時代のチームメートです。」
そのほかには仁川現代製鉄でプレーする「FWのチェ・ユリ。めちゃめちゃ足が速いんです。それでいて、フィジカルがすごくて、前から守備も頑張る。注目選手です」
■チームを指揮するイギリス生まれの監督
韓国女子代表を指揮するのは、イギリス生まれのコリン・ベル監督だ。イギリスとドイツの国籍を持ち、現役時代はマインツ等でプレーした。韓国女子サッカー史上初となる外国人監督で、田中にとっても遠からずの縁がある。
「監督のコリン・ベルは、実は私のフランクフルト時代の監督なんです。すごく情熱的で、サッカーに対する熱がめちゃくちゃあります。ベルのやりたいサッカーは、外から見ている限りですが、もともと兼ね備えているフィジカルの強度を大切にしながらパスで崩していくスタイルで、かなりはっきりしています」
「2019年に就任して3年ですね。(チームは)結構固まっています。メンバーもだいたい一緒。メンタルの部分では、日本人をリスペクトしてくれています。そして、闘争心というか、勝ちたい気持ちはすごくあると思います」
なでしこジャパンは昨年10月に池田太監督が就任したばかり。チームの完成度で言えば韓国のほうが一日の長がある。田中自身は、だからこそ新監督に抜擢された若手選手に期待する。というのも田中は2011年ドイツW杯から2015年のカナダW杯まで、多くの日本女子サッカーのレジェンドたちとサッカーをしてきたからだ。
「大御所の人たちがいっぱいいましたが、でも恐れるとかじゃなくて、もちろんリスペクトはしつつも、『遠慮したらいけない。自分を出せなかったら意味がない』と思ってやってきました。だから積極的に私生活でも話かけて、ピッチでも自分を出せるように、と心がけてました」
「だから今なでしこで戦える若い選手たちは、完成していないチームだから逆に、もっと闘志をむき出しにやってほしい」
なでしこの先輩から送るエール。田中も韓国からこの試合を見るとのこと。ぜひ若手たちにはこの日韓戦で爪痕を残してほしい。女子アジアカップ・グループステージ第3節・韓国戦は27日17時キックオフ。試合はDAZNでライブ配信される。

