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【2014年/J1昇格プレーオフ・プレイバック】歴史に残るGK山岸範宏の“サヨナラ弾”…山形が4年ぶりにJ1の舞台へ

2014年のJ2リーグは、湘南ベルマーレが無類の強さを見せつけ、1年でのJ1復帰を果たした。湘南は開幕から14連勝を飾り、9試合を残して史上最速での昇格を決めた。最終的には勝ち点101の大台を達成するなど、記録づくめの優勝であった。

自動昇格となる2位に入ったのは松本山雅FC。就任3年目を迎えた反町康治監督のもと、快進撃を続け、3試合を残して2位を確定。3位のジェフユナイテッド千葉に15ポイント差をつけてシーズンを終え、J2昇格からわずか3年でJ1昇格を手にした。

3位から6位のJ1昇格プレーオフ出場権争いは大混戦となった。ジュビロ磐田、千葉、ギラヴァンツ北九州、モンテディオ山形、大分トリニータの5チームが勝点差3で争う状態で最終節を迎えた。最終戦で勝利し、3位に浮上したのは千葉。磐田は最終節で引き分け、4位に転落した。そして、J1クラブライセンスを持たない北九州が、プレーオフ圏内の5位に躍進。6位・山形と7位・大分は最終節、ともに黒星を喫する。大分が勝利を収めた場合、山形は順位を逆転されていたため、薄氷のプレーオフ進出となった。

プレーオフはJ1クラブライセンスを持つチームしか参加できない。この結果、北九州を除いた千葉、磐田、山形の3チームで争われる準決勝を磐田と山形が戦い、その勝者が決勝で千葉と対戦するというレギュレーションとなった。

準決勝で先制したのは山形。26分にFWディエゴのゴールが決まる。対する磐田は前半アディショナルタイムに、MF山崎亮平のゴールで追いつく。そして、1-1のまま迎えた後半アディショナルタイム。このままでは敗退が決まる山形は右CKを得ると、GK山岸範宏もゴール前まで上がる。CKを蹴るのは、DF石川竜也。石川のクロスにニアサイドで山岸が頭で合わせると、ボールは磐田ゴールへと吸い込まれる。山形は2-1で磐田を下し、決勝に進出した。

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山岸の歴史的な“サヨナラ弾”に、敵将の名波浩監督は「奇跡を呼ぶ力が山形にはあった。僕らにはその力がなかった」と、山岸の決勝ゴールを「奇跡」と称した。当時、Jリーグにおいて、GKによるゴールは7例目で、ヘディングのゴールは史上初だった。山岸は「人生で初めてのことで、ただただうつ伏せになっているだけでした。決めた後に走っていたらカッコ良かったんでしょうけど」と、喜びの表情に満ちあふれていた。

そんな山形の勢いは決勝でも止まらず、山岸のスーパーセーブ連発などもあり千葉を1-0で下し、J1昇格を決めた。「自分のキャリアを甦らせるきっかけをくれたクラブに、少しだけ恩返しできた」と悲願達成も、謙虚な姿勢を見せ続けた山岸。

体を張って山形ゴールを死守し、自ら昇格を手繰り寄せるゴールまで決めてしまう。山形のサポーターには未来永劫語り継がれるストーリーとなったに違いない。

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