■実力伯仲のプレッシング・スタイル対決
“プレッシング・ゲーム”における竜虎の争いだ。リヴァプールとトッテナムは、因縁の歴史を紡いだ長年の宿敵でもなければローカルダービーを戦う仲でもない。しかし、とりわけユルゲン・クロップとマウリシオ・ポチェッティーノが率いるようになってからの対戦はいつだって激しく、ハイテンポで、互いに死力を尽くした実力伯仲の名勝負となる。
両チームともハイライン、ハイプレスを基本とし、中盤でのゲーゲンプレスから高速ショートカウンターというスタイルがトレードマーク。フィニッシュの手段こそハリー・ケイン、クリスティアン・エリクセン、デレ・アリ、ソン・フンミンのコンビネーションで崩すスパーズに対して、サディオ・マネ、モハメド・サラーのスピードで一気に攻めきるリヴァプールと、ディテールに違いはある。だが、根本的にはポチェッティーノが「近い哲学を持っている」と語るように、よく走り、よく戦うこの2チームは似た者同士だ。そんな両者が真っ向から自分たちのスタイルをぶつけ合うカードが、白熱しないわけがない。
■プレミアここ4戦3敗…どうしたスパーズ?

ただ、現時点でのチームコンディションと各々が置かれた状況を見ると、スパーズがやや苦しい立場にある。チャンピオンズリーグ(CL)ではドルトムントを見事に破ってベスト8進出を決めたが、プレミアリーグに限れば最近4試合で1分け3敗。バーンリー、チェルシー、サウサンプトン相手に黒星を喫する急ブレーキで、優勝争いからは完全に脱落した。
ドロー決着だったアーセナル戦(第29節、1-1)を含めたここ4試合で喫した7失点のシーンを見返すと、らしくないイージーミスが目立つ。チェルシー戦(第28節、0-2)ではキーラン・トリッピアーとウーゴ・ロリスの連携ミスからオウンゴールを献上。アーセナル戦では相手のクリアに対しダヴィンソン・サンチェスが処理を誤り、そのままカウンターを食らってアーロン・ラムジーに決められた。そしてラスト15分で逆転負けを喫した直近のサウサンプトン戦(第30節、1-2)では左サイドを崩され、なんでもない折り返しのボールを実に3人のDFが見送ってしまい、右サイドのヤン・ヴァレリに被弾。この同点シーンの守備は、現地メディアで「コミカルだった」と酷評された。
一方で、その4試合でわずか3ゴールと攻撃陣も勢いに陰りが見える。2月下旬に約1カ月の負傷離脱から復帰したケインはどこか体が重たく、攻撃にアクセントをつけるエリクセンの調子もなかなか上がってこない。ケイン離脱中にチームを支えたソン・フンミンと彼らのコンビネーションがややシャープさと創造性を欠いた状態で、チーム全体に疲労感が見て取れる。
サウサンプトンに敗れた試合後、この試合と次節リヴァプール戦でベンチ入り禁止処分を科されて客席から試合を見守っていたポチェッティーノ監督は、前半こそ「(ドルトムントとのCL)準々決勝のようなプレーができていた」と語ったが、後半は「正反対のパフォーマンスをしてしまった」と悔やんだ。敗因については「勝利をつかむためのアグレッシブさ、ハングリーさに欠けていた」と話し、「CLのようなインテンシティで戦わなければ苦しむことになると気付く必要がある」と教え子たちに警告を発している。
スパーズOBで現解説者のジャーメイン・ジーナスも、『BBC』で「後半のスパーズは、シーズンのこういう時期に必要な試合に対するリスペクトを欠いていた」と厳しいひと言。リーグ制覇が厳しくなりCLへと意識が向いているのかもしれないが、気づけば4位アーセナルとは勝ち点1ポイント、5位マンチェスター・ユナイテッドとも3ポイントまで差は詰まっている。今のスランプが続くようなら、トップ4フィニッシュも危うくなってくる。
■眠れるエース、サラーはスランプを抜け出せるか
Getty Imagesリヴァプールにも同様に疲れはある。今季ここまで、リーグで最も多くのスプリントを記録しているクロップのチームだが、2月前後は勝ちきれない試合が続いてドローがかさみ、一時は7ポイントもリードしていたマンチェスター・シティにとうとう追いつかれてしまった。
最も懸念されるのは、サラーの不振だ。2018年は公式戦通算38ゴールを挙げたサラーだが、年明け以降はゴールペースが急低下しており、最近10試合で見るとわずか1ゴールだ。現在はプレミアリーグ5試合連続ノーゴールで、これは加入後初めてのこと。2019年になってからリーグ戦10ゴールと絶好調のマネが奮闘してチームを救っているものの、サラーのゴールストップとチームが勝ちきれなくなったことは偶然の一致ではないだろう。
クラブOBのジェイミー・キャラガーも、解説を務める『スカイスポーツ』で「彼にとってこういうことは稀だが、ここ数週間のボールタッチやプレーぶりが期待するクオリティにないことは間違いない」と厳しい言葉を向けている。スコアレスドローだった2月24日マンチェスター・U戦(第27節)の後には「サラーに渡る度にリヴァプールはボールを失っている。そのせいでカウンターを浴びている」とも語った。今月のインターナショナルウィークでエジプト代表招集を見送られたことで、彼がどれほどフォームを取り戻し、リフレッシュできているかどうかが、今節のトッテナム戦、ひいてはシーズン終盤のカギを握ることになりそうだ。
■相性抜群のアンフィールドに不安なし

3月に入ってからは、トッテナムが敗れたバーンリー相手に4-2(第30節)で、フルアムに2-1(第31節)でしぶとく勝利を収めて勝ち点3を積み重ね、懸命に耐えているリヴァプールにとって、シティとのマッチレースを考えると、このトッテナム戦は絶対に勝ちたいところだ。
その上でサポーターを勇気付ける要素があるとすれば、それは「本拠地アンフィールドでスパーズに滅法強い」というデータかもしれない。11年5月15日のリーグ戦(0-2)を最後に、リヴァプールはトッテナム相手にホームでの公式戦ここ8試合負けなし(5勝3分け)。プレミア創設から数えて全26回のホーム戦で見てもわずか2敗(16勝8分け)、トップリーグ通算で見るとホームでは47勝22分け7敗と圧倒している。つまりトッテナムにとってアンフィールドは“鬼門”なのだ。
加えて、今季の「対ビッグ6」の戦績を見ても、同じここまで8試合でリヴァプールが3勝4分け1敗(13得点7失点)に対し、スパーズは2勝1分け5敗(10得点12失点)、2勝はいずれも前半戦(8月のマンチェスター・U戦、11月のチェルシー戦)で直近は4戦未勝利とあまり結果が出ていない。昨年9月、2-1でリヴァプールが勝利したシーズン最初の対戦でも、絶大な存在感を放ったフィルジル・ファン・ダイクがケインを封殺し、まったく仕事をさせなかったことが思い出される。スパーズに対する恐れや不安は、リヴァプールにはないはずである。
たとえエースが不調でも、状況や相性を見るに優勢なのはリヴァプール。その下馬評通り、トッテナムを破って首位を争うシティにプレッシャーをかけられるか。3月のラストゲームとなるビッグマッチで、アンフィールドが味わうのは歓喜か、悲哀か。注目の一戦は日本時間31日に24:30にキックオフを迎える。
文=寺沢薫

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