■ゴールを食べ続けるような勢い
ガンバ大阪にリーグ戦4試合ぶりの勝利をもたらしたのは、食野亮太郎だった。
第16節・湘南ベルマーレ戦の後半アディショナルタイム、左サイドに流れて中村敬斗からパスを受けた食野はインサイドにボールを運ぶと、しつこく付いてくる柴田壮介のマークに対してくるっとターン。鋭く切り込み、右足のインサイドでインパクトを与えたボールがゴール右隅を襲い、GK秋元陽太がいっぱいに伸ばした左腕の先でワンバウンドしてゴールに吸い込まれた。
決定的なシーンを作り出すための武器として自信を持つドリブルからゴールに結びつけたプレーは食野の“十八番”であり、スタメンを争うファン・ウィジョやアデミウソンといった外国籍選手にも負けない持ち味として磨きをかけている。
この日はベンチスタートだったが、ハードワークを身上とする湘南に疲れが出てくる終盤の切り札として73分に交代出場、宮本恒靖監督から勝負を託された。
その起用にゴールという結果で応え、チームに劇的な勝利をもたらした。攻撃力を売りにスタートしたはずのチームは攻守のバランスに問題を抱えた影響もあり、深刻な得点力不足に陥るとJ1の降格圏を彷徨っていた。その間に食野はU-23チームが参戦するJ3で7試合・8得点を記録。1試合1得点以上のハイペースでゴールを量産していた。読んで字のごとく、ゴールを食べ続けるような勢いだ。
■J1の7試合・252分で3得点をマーク
©J.LEAGUE目を見張ったのはシュート意識の高さだ。7試合で34本のシュート数は、1試合平均で実に5本近いシュートを打っている計算になる。つまり食野はチャンスを待って確実に仕留めるタイプではなく、チャンスと見れば積極果敢にドリブルを仕掛けてシュートに持ち込んでいくタイプなのだ。J3で結果を出してアピールを続け、第9節のベガルタ仙台戦でトップチームのベンチメンバーに入ったが、出場時間はたったの2分だった。
そして次のFC東京戦は出番がなく、第11節のサガン鳥栖戦で0-1とリードされた後半スタートから投入されると、すでに3点差とされた後半アディショナルタイムに、アデミウソンのパスを受けてドリブルを仕掛け、中央でディフェンスをかわしながら右足のシュートを決めた。チームとしては完敗だったが、食野がJ1で十分に通用することを証明する試合となった。
第12節の大阪ダービーは倉田秋のゴールでリードを奪った後半途中から出場し、続く北海道コンサドーレ札幌戦もわずかな時間のプレーしか許されなかった。
しかし、次の鹿島アントラーズ戦でようやく先発のチャンスをもらうと13分に混戦のこぼれ球からアデミウソンがつないだボールを鮮やかなミドルシュートでゴールに結びつけた。翌節のジュビロ磐田戦では2試合続けての先発もゴールは無かったが、今回の湘南戦を合わせて7試合の252分で3得点という結果は見事だ。
■宇佐美の復帰で競争はより激しくなる
©J.LEAGUE歴史的にも有名な江戸時代に大阪で活躍した豪商を祖先に持つ食野は、G大阪のジュニアユースからユースとガンバ一筋。現在オランダで活躍する日本代表の堂安律と同期で、2017年にトップチームへ昇格を果たした。湘南戦は堂安やアカデミーの大先輩である宇佐美貴史も観戦した試合だった。
試合のヒーローとしてカメラの前に立った食野は「ようやく自分のゴールでガンバ大阪を勝利に導くことができました。ガンバ大阪はこんな順位にいるチームじゃないと思っているので、自分の力でどんどん上に引き上げたい」と宣言してみせた。
その食野にとって強力なライバルとなりそうなのが、24日に3年ぶりのG大阪復帰が決定した宇佐美だ。戦力としてはもちろん、G大阪の象徴的な存在として期待される存在が、競争をより厳しくすることは間違いない。
しかし、見方を変えればそうした状況でこそ食野のゴール感覚はさらに研ぎ澄まされていくかもしれない。何より重要なことはチームとしての得点力を引き上げ、現在14位のチームを上位に浮上させていくことだ。
その意味では食野がFW陣とハイレベルな競争をしていきながら相乗効果を出して行く形は、理想的と言える。ガンバ復活へ、食野のゴール量産に期待したい。
文=河治良幸
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