2019_3_2_barcelona(C)Getty Images

【選手採点】クラシコのMOMはレアルにとって最も憎っくき存在の男…最低点はガレス・ベイル

リーガ・エスパニョーラ第26節、サンティアゴ・ベルナベウを舞台としたレアル・マドリー対バルセロナのクラシコは、1-0でバルセロナの勝利に終わった。『Goal』では、この試合をフォーカスマッチとして、選手採点を実施した。

コパ・デル・レイに続いて行われたリーガのクラシコは、またもバルセロナが勝利。26分に最終ラインを抜け出したラキティッチがループシュートで先制点を記録し、この虎の子の1点を最後まで守り切っている。これで首位バルセロナは3位レアル・マドリーとの勝ち点差を12に広げ、逆転優勝の芽を潰した。また、この結果に伴って両チームの累計対戦成績はバルセロナの96勝51分け95敗となり、バルセロナがレアル・マドリーを87年ぶりに上回っている。

この試合、『Goal』による選手採点は以下のとおり。※5点満点。平均点は【3.0】。出場20分以上の選手が対象

取材・採点=江間慎一郎

■レアル・マドリー選手採点

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GKティボー・クルトワ 【3.5】
ラキティッチのループシュートで失点したが、ルイス・スアレスの決定機を防ぐなど、点差を広げられることを決して許さず。平然とした語り口で災いを生む発言を繰り返すベルギー代表GKは、ピッチ上では平然とビッグセーブを見せ続ける。

DFダニ・カルバハル 【2.5】
積極果敢なオーバーラップは変わらずも、ベイルと分かり合えていなかったこともあり、効果性は薄かった。コパ・クラシコ同様、その背後のスペースを突こうとするデンベレの対応に苦慮した。

DFラファエル・ヴァラン 【3.5】
コパ・クラシコで体を痛めたが、それでも目を見張るプレーを披露。ルイス・スアレスとのデュエルをしっかりと制した。後半アディショナルタイムには同点に追いつくチャンスを手にしたが、決め切れず。

DFセルヒオ・ラモス 【2.5】
チームが好調であるときには、この背番号4のアグレシッブな守備、そして攻撃参加が良い意味で際立つ。しかしチームが不調であるときには、軽率な守備が際立つ。今回は右足の痛みを押して出場というエクスキューズもあるが、失点場面ではラキティッチに振り切られ、メッシに対するファウルでは退場になっていた可能性もあった。 無言の威圧が凄まじいメッシと何度もやり合い、張り合っていたのはさすが。

DFレギロン・ロドリゲス 【3.5】
コパ・クラシコの敗戦後には涙を見せたレアル・マドリーの若きカンテラーノは、その涙を力に変えた。堅実な守備はもちろん、攻撃でもクロス、シュートと存在感を発揮。メッシに対応しなければならない場面もあったが、決して怯まなかった。彼が幼い頃に在籍したコジャード・ビジャルバの監督は「その献身の姿勢は普通の子供では考えられなかった」「彼の夢はマドリーで成功をつかむこと以外になかった」と語っていた。未来にはマドリーのシンボルとなれる。

MFカセミロ 【2.5】
調子を落としているのか、ボール保持も守備時も精彩を欠いた。コパ・クラシコ以上にメッシの対応に苦慮。イスコとの交代でピッチから下がる。

MFトニ・クロース 【2.5】
コパ・クラシコで自身を酷評したベルント・シュスターについて「誰だ?」と言い放ったクロース。しかし疲労も溜まっているのか、この試合でも精密な時計のようなパフォーマンスは見られず、彼が「誰だ?」状態だった。ソラーリはアヤックス戦を見据えてか56分に交代させたが、観客からは指笛も飛んだ。

⇒MFフェデ・バルベルデ【3.5】
存在を認められなかったクロースに比べて、20歳のウルグアイ人MFは自身の有用性をはっきり示した。恵まれたフィジカルと戦術理解力によってボールを巧みに奪い、傾きかけたマドリーの中盤を支えている。

MFルカ・モドリッチ 【3.5】
失点直後、マドリーの選手たちは完全に士気を下げたが、そこで孤軍奮闘の働きぶりを見せた。味方の動きが足りなければ自ら動き、攻守にわたってチームをけん引。機を見たペナルティーエリアへの飛び出しから、惜しいシュートも放っている。今季、ベルナベウのチーム紹介アナウンスでは、クリスティアーノ・ロナウドに代わって最後に名を呼ばれるスタメン選手となった背番号10だが、現チームのヒエラルキーの頂点に据えられる正当性は間違いなく存在する。フィジカルのハンデがあるからこそ極限まで磨き上げられた技術と戦術眼と、永遠に気高き魂の持ち主。

FWガレス・ベイル【2.0】
レアル・マドリーにおいて、ゴールを決めなければこのウェールズ代表MFの存在価値は著しく低下してしまう。ゴールを決めなければ、大きな歩幅を小さな歩幅たちに絡め取られる巨人感が際立つ。ルーカス・バスケスに代わり先発を果たしたが、ドリブル突破はほとんどなく、クロスもほとんど送れず。L・バスケスのような守備もほとんど見られず、総じてほとんど存在感がなかった。56分に交代した際、観客は多量のブーイングを浴びせている。

⇒MFマルコ・アセンシオ【3.0】
ベイルの代わりにピッチに立つと観客は大ブーイングを大喝采へと切り替え、こちらを先発で起用すべきだったとの考えを示した。ただ途中出場からのプレーで、先発すべきだったとの意見を正当化するまでは至らず。両サイドでチャンスメイクするなど良いプレーもあるにはあったが、本来のポテンシャルを示すことはできなかった。ソラーリからの信頼を必要としているのか、それとも状態が良くないから信頼を得られないのか……。

FWカリム・ベンゼマ【3.0】
「ベンゼマは本質的には同じであり続けている。公衆が状況によって彼の見方を変えるのだ」という現地記事を読んだ記憶があるが、今季のベンゼマは何度も「最高のベンゼマ」ぶりを見せてくれた。ただ、この試合ではチーム全体が低調だったこともあり存在感を示せず。出ずっぱりで疲労も蓄積している。

FWヴィニシウス【3.0】
コパ・クラシコでは幾度もチャンスを演出した18歳のブラジル人FW。今回もチームは彼の大胆不敵なドリブル突破を当てにしていたが、バルベルデのチームに動きを制限されていた。それでも、ほとばしる才能は抑え切れないほどで、幾度か決定機を手にして、ベンゼマのゴールもお膳立て。ゴールにはつながらず。

監督:サンティアゴ・ソラーリ【2.5】
3日後に本命の大会であるチャンピオンズリーグ、アヤックス戦を控えているにもかかわらず、ほぼベストメンバーを起用。それでいてバルセロナに連敗した。偏ったメンバー起用は、信頼できる選手が少ないのか、それともマドリーは全大会を最後まであきらめずに戦わないといけないという矜持なのか。試合後会見では、最初にリーガはもう大切な大会ではなくなかったかと問われて、鋭い目つきをしながら「リーガは大切な大会であり続ける。最後の試合までね」と即答した。

■バルセロナ選手採点

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GKテア・シュテーゲン【3.5】
全体的に仕事量少なめ。それでも抜群のフィードを見せたほか、後半にヴィニシウス、ベンゼマのシュートを見事にセーブした。

DFセルジ・ロベルト【3.5】
コパ・クラシコでは自身が本職と主張するインサイドハーフでプレーし、今回は世論が本職とみなす右サイドバックでプレー。ピケ、ラキティッチと連係しながらヴィニシウスの動きを制止し、ラキティッチのゴールをスルーパスでお膳立てした。

DFジェラール・ピケ【4.5】☆Goal選出マン・オブ・ザ・マッチ
バルセロナのチーム紹介アナウンスで、最もブーイングを浴びせられたのはメッシ。そして試合が始まると、メッシがボールを持てば観客は恐怖のあまり沈黙し、代わりにピケを指笛の対象としていた。しかしながら、ピッチ上で誰よりも輝いていたのはメッシではなく、ピケにほかならなかった。空中戦では無敵を誇り、機先を制してボールを奪い、正確なフィードによって攻撃でも貢献。バルセロナが失点の危機を感じさせなかったのは、この男の働きぶりによるところが大きい。マドリーへの執拗な皮肉によって、同チームサポーターの敵意を増長させてきた彼は、ピッチ上でも憎っくき存在だった。なお試合後には、ペナルティーエリア内でS・ラモスがメッシに対してファウルを犯した疑惑を問われ「マドリーには25メートル離れた位置の打撃音を聞ける選手もいるようだけど、自分に50メートル先で行われていることを見る力はない」と返答。さすがである。

DFクレマン・ラングレ【3.5】
負傷で離脱していたユムティティから定位置を奪ったラングレは、その立場を簡単に手放しそうはない。マドリーにとっては、ピケとともに分厚い壁として立ちはだかった存在。ヴィニシウス、ベンゼマのシュートを体を張って防いだ。

DFジョルディ・アルバ【3.5】
待望の契約延長から、晴れやかなプレーを見せる。攻撃面での貢献は相変わらず素晴らしく、守備面ではベイルにボールを触れさせなかった。現在29歳のJ・アルバとバルセロナの新契約は2024年までだが、その持久力、燃料タンクの容量は契約が満了する頃になっても変わらなそうだ。

MFセルヒオ・ブスケッツ【3.5】
2分という早い時間帯にイエローカードをもらいプレーを制限された。が、その後にいつも通りのインテリジェンスあるプレーを披露。的確なポジショニングでボールを奪い、マドリーのプレッシングを無効化する効果的なパスを送った。

MFアルトゥール・メロ【4.0】
負傷から復帰し、先発にも名を連ねた。バルセロナがコパ・クラシコよりも確実にボールを保持でき、冷静に攻撃を組み立てられたのは彼の存在によるところが大きい。バルセロナのDNAは薄まり続けていると危惧する声もあるが、この“非”下部組織出身選手は確実にそれを有している。

⇒MFアルトゥーロ・ビダル【3.5】
ここ最近は低調なパフォーマンスが続いていたが、この試合ではバルベルデの狙い通り中盤の筋力となった。精力的に動き、ボールを奪い、レアル・マドリーの猛攻の勢いを削いだ。

MFイヴァン・ラキティッチ【4.0】
絶妙な最終ライン突破から見事なループシュートを決め、バルセロナを勝利に導いた。それだけではなくヴィニシウス、レギロンの攻撃の抑止力となるなど、攻守にわたって奮闘していた。バルセロナが今夏での放出を検討しているともされるが、選手本人はその報道について「朝、コーヒーを飲みながら笑ってしまった」と語った。今季の好調ぶりを見ていると、確かに馬鹿らしく思えてくる。

FWリオネル・メッシ【3.5】
またもノーゴールに終わったが、コパ・クラシコよりもメッシたる存在感を放っていた。2回戦えば、少なくとも1回は怪物ぶりを見せつけるのが、メッシという選手である。ドリブルやラストパス、さらには自らの飛び出しによってベルナベウの観客に戦慄を走らせ、S・ラモスは荒々しいプレーで止めるよりなかった。

FWルイス・スアレス【3.5】
コパ・クラシコでは2得点を記録。今回は決定機を迎えながらもノーゴールだった。執拗にゴールを求める姿勢によって、マドリーDF陣を苦しめている。

FWウスマン・デンベレ【3.5】
2ゴールの起点となったコパ・クラシコほどには決定的なプレーを見せられず。それでもスピードあふれるドリブルで左サイドを破り、チームの攻撃に深みを与えた。バルセロナの問題児は、相手チームにより悩ましい問題をもたらしている。

監督:エルネスト・バルベルデ【4.0】
ハーフタイムでの修正力に定評があるバルベルデ。このクラシコ2連戦では、2試合を前後半に分けたようだった。右サイドにラキティッチ、S・ロベルトを配してヴィニシウスの存在をかき消し、アルトゥールの起用によってよりゲームをコントロールした。会見では、ピッチ上の現象について最も事細かく説明してくれる監督(少なくとも、リーガ1部においては)。しかしながら、日本のみならず現地でも、なぜか地味な監督として扱われているのが残念である。

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