今夏のJリーグ移籍ウインドーは16日に幕を閉じようとしている。とりわけ、大きな驚きをもって伝えられたのは藤本憲明の大分トリニータからヴィッセル神戸への電撃移籍だ。今季初のJ1の舞台で大分のエースストライカーとして躍動していた藤本が、なぜこのタイミングで移籍を決断したのか。DAZN（ダゾーン）の『Jリーグプレビューショー』のインタビューで、初めてその心境を口にした。
■古巣戦では大ブーイングも…
©J.LEAGUE今夏にJ1屈指の“タレント軍団”神戸に加入した藤本。29歳のストライカーにとって神戸での初の公式戦は奇しくも慣れ親しんだ昭和電工ドーム大分での古巣・大分戦だった。83分から途中出場を果たした藤本には、大分サポーターが大ブーイング。藤本自身「そこは愛と受け取っています」としたが、本人にとっても不思議な感じを覚えたという。
「また帰ってくるみたいな感じでした。いつもホーム側に入っていたのが、アウェイ側に入る。アウェイ側のロッカーってこんなんなんやっていうのから始まって。なんか不思議というかブルーではないユニフォームを着て（試合に）出たのが不思議な感じで…」
ブーイングを浴びた藤本だが、試合後には大分サポーターのもとへ。これまでの感謝の気持ちを表しつつ、新天地での活躍を誓っていた。
「（サポーターからは）頑張れよって感じでしたね。僕が大分でやってきたことは間違っていなかったなと感じたし、これから神戸でもっともっと成長して恩返しというか、そういう成長した姿を見せたいと強く感じました」
■移籍を決断した理由
©J.LEAGUE藤本のキャリアのスタートはJFLだった。そこから2016年にJ3に参入する鹿児島ユナイテッドFCに加入し、在籍2シーズンで39ゴールを奪取。2年連続J3得点王に輝いた。そして2018年に大分へ完全移籍を果たすと、12ゴールを挙げるなど攻撃陣の主軸として活躍。チームを6年ぶりのJ1昇格へ導いた。
まさに成り上がりストーリーを描く藤本にとって、今季は初のJ1の舞台。自身を大きく飛躍させた大分を去ることに迷いはなかったのか。藤本は移籍の決断は困難を伴ったと話す。
「（大分には）J1まで連れてきてもらったというか。そういう感謝もあるし、大分の選手やスタッフ、サポーターが僕を成長させてくれた。そこを去るのは寂しい気持ちもあるし、もっともっとトリニータで上を目指したいという気持ちもあった。とても難しかったんですけど、より成長するためにも厳しい環境に（身を）置きたいということと、選手生命は短いし、年も年なのでそういうのを考えると、ここしかないなっていう気持ちで決断しました」
順位的には、6位につける大分よりもはるかに下位に沈む神戸への移籍。それでも神戸というクラブに惹かれたのは、やはり彼らの存在が大きかったという。
「やはり（アンドレス）イニエスタだったり（ダビド）ビジャにいい刺激をもらいたい。同じピッチに立ちたいという気持ちと、僕は良いパサーがいたら得点を取れると感じているので、そこで自分の動き出しや駆け引きが生きるなど感じた。神戸に来る決断は良かったかなと思います」
イニエスタやビジャといった世界的スターとプレーすることになった藤本。パスの受け手として彼らとのコミュニケーションは必須になるが、加入間もなくして上手く溶け込んでいるようだ。
「ボディタッチだったり、簡単な英語でコミュニケーションはある程度取れているので、そこは問題はないし、外国人って結構陽気なのでノリでカバーできるというかそんな感じで頑張っています（笑）」
■神戸でのゴールパフォは思案中
藤本は大分戦で83分から出場。短い時間ながらも、特にイニエスタとのプレーに手応えを感じたという。
「（イニエスタは）ボールを持ったときに常に前をうかがっているなと感じたし、動き出したら出るなという感覚もあった。こっちの動き出し次第では必ず点を取れるなという感覚はありましたね」
14日に行われた天皇杯3回戦では早くも加入後初ゴールを決めた藤本。17日には浦和レッズを迎えてのホームデビュー戦に臨む。
「大分のホームで（浦和と）やったときは、得点ができた相手だったので、良いイメージはある。それを神戸で発揮できる自信もあるし、勝ち点3を必ず取ってサポーターの皆さんと喜びを分かち合いと思います」
大分時代は「LOVE TRINITA」のゴールパフォーマンスを披露していた藤本だが、神戸でのゴールパフォーマンスはただいま思案中だという。
「これでいいかなって感じはありますけど、得点を取ったらやってみます。頑張ります！考えておきますよ」
新たな挑戦を選択した藤本のさらなる飛躍に注目が集まる。
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です
