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「相手にボールを持たれる中でいかにして奪うのか」。鹿島OB秋田豊氏が語る川崎F戦

”3連覇“を目指すJ1王者・川崎フロンターレ。2007、08、09年と3連覇を果たした唯一のクラブ・鹿島アントラーズ。両者が明治安田生命J1リーグ第2節、等々力陸上競技場で激突する。

『DAZN(ダゾーン)』では、フライデーナイトJリーグ特別企画として、川崎F、鹿島それぞれのOBによるレジェンドインタビューを実施。

ここでは1993年から2003年まで鹿島に所属した秋田豊氏に、鹿島イズム、勝ちへのこだわり、そして試合の見どころを聞いた。

■トレーニングの質が違った

――鹿島アントラーズは国内最多の19冠、そして昨季はACLを制し、クラブタイトル20冠を獲得しました。「常勝軍団」として、求められてきたこと、自分たちで求めてきたことは何でしょうか?

どんな華麗なサッカーをして魅了したとしても、「勝たないとプロとして評価されない」と常に言われ続けてきました。その時その時で、チームはいろんな顔、特徴を持っていますし、同じようにやっていたら勝てるかといえばそうではないと思います。その時々に合った戦い方、勝つためにどういうサッカーを、どういう戦い方をしたらいいのかを常に考えて、求めたり求められたりしてきたことが、今の常勝と言われる鹿島になったのではないかなと思います。

――試合以外のところで他のチームと違う部分があると思いますか?

トレーニングの質は違うと感じますね。僕自身も鹿島から名古屋グランパス、京都サンガF.C.と移籍をした。そこで一番違和感を感じたのが、トレーニングの質です。

例えば5対5のゲームをやったときのモチベーションであったり、球際の厳しさであったり、リアリティさ、試合での勝負というところ、勝負にこだわりながらやれるかどうかというところ。ここがまったく違うということを最初に感じました。

――鹿島独特のものがあるのでしょうか?

難しいことだとは思うんですけど、それが当たり前になっているので。本当のプロフェッショナルというのはグラウンドに立ったらアドレナリンが出て、戦うモードになる。なおかつ同じチームになったら2分前に敵であっても、グループとして助け合える。戦うと同時に輪を大切にすることができるチームだとも言えますね。

――チームワークは意識している?

はい。これも(移籍をして)すごく感じたことですが、選手が、クラブが、サポーターが同じ方向を向いていないチームというのは、なかなかやっぱり勝てないですよね。誰かが足を引っ張ったりするとやはりうまくいかない。サポーターが足を引っ張ってもやはりいいチームは作れないと思います。

そんな中で鹿島は常にみんなが同じ方向を向いています。もちろん作り上げる中での対立とか、いろんな意見をぶつけ合うことはたくさんあるとは思います。でも、それもすべては勝つため。同じものを求めるからこそ、生まれる対立だと思いますね。

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■植え付けられたジーコ・スピリット

――鹿島の強さが出た、印象に残っている試合はありますか?

一番印象に残っているのは、2001年のチャンピオンシップ・ジュビロ磐田戦です。エコパスタジアムで1stレグを戦ったときですね。磐田と鹿島は大人と子どもの差くらいの戦いで。前半のうちに先制されてさらに1人退場した。後半早々にも決められて0-2になった状況から、僕がセットプレーで点を取った。

“流れが変わるポイント”があったんですけど、そこで流れが変わった瞬間に、勝利の手綱をしっかり握って最終的にドローにしました。圧巻でしたね。勝ったわけではないですけど、「次の試合も勝てる」と確信に変わった。そして第2戦はホームで1-0の勝利。チャンピオンシップを制し、鹿島にとって4度目のリーグ優勝を果たしました。

――退場者も出し、0-2で追っている時のチームのメンタル状況はどうでしたか?

これもジーコから植え付けられたメンタリティなんですけど、最後まで、試合が終わるまで、笛が鳴るまであきらめない。最後まで戦う。そういうものが一人二人ではなくて、すべての選手たちが持っているからこそ、引き分けに持ち込めたのだと思います。

――そういうことも日々の練習から意識しているからでしょうか?

守備で数的不利な状況というのは、トレーニングの中で当たり前のようにありました。そんな中でどうやって守っていくのかはやってきたことなので、全然苦にはならなかったです。

ゲームの中で自分たちの置かれる立場、状況に応じていかに勝つかを常に考えていた。それは試合だけじゃなくてトレーニングでも考えながらやってきた。それを実行したということです。

――昨季、アジア王者を勝ち獲った意味はなんだと思いますか?

悲願でしたからね。アジアでのタイトルがなかなか獲れなかったことは鹿島として一つの汚点でもあったと思うので。そういう意味でここで獲ってくれて本当にうれしかった。もっともっと鹿島がこれからアジアや世界に名を広げるために、必要なタイトルだったと思います。

――逆にここまで時間がかかってしまった理由は何でしょう?

鹿島で育った選手たちが昔とは違う(外に出ていってしまう)からでしょうね。

例えば2000年までは、ほとんどの選手が鹿島で育って自身のピークを迎えて、ピークを過ぎても鹿島で少しやって、外に出るなり引退するという流れがあったと思います。でも、現在もそうなんですけど、ピークを迎えた選手たちが外に出ていってしまう、海外でプレーをするという選択をする。

例えば大迫(勇也/ブレーメン)もそうですし、柴崎(岳/ヘタフェ)もそうですし、植田(直通/セルクル・ブルージュ)も、昌子(源/トゥルーズ)もそうですけど、そういう選手たちが出ていってしまうことによって、アジア最高レベルの選手たちを集めるというのは、外国籍選手含めてなかなか難しい。たとえ外国籍選手が集まったとしても、日本人は集められないというところが一つの課題だったと思いますね。

――その点が昔と今とはガラリとかわった?

はい。逆にACLが、例えば97年とかにあったらまた違った状況になっていたと思います。

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■リーグ奪還のために勝つしかない

――リーグ制覇にまい新する今シーズンですが、注目選手は?

今けがをしていますが、鈴木優磨選手です。彼は得点能力が非常にある選手だと思います。やはり「数字」を残してほしい。彼といろんな話をしたことがありますが、やはり数字を取って得点王になるくらいにならないと、大迫選手の場所にはいけないと思う。それくらいの気持ちで今シーズンもやっていってほしいと思います。

――鹿島はリーグ優勝から2シーズン離れています。その間、リーグ王者は今節で対戦する川崎F。リーグ優勝奪還のポイントは?

難しいですね。これは一つというのは言えないですけど…。

一番は初戦を勝つこと。これはすごく重要なポイントだったと思います。でも、(第1節・大分トリニータに敗れて)勝てなかった。ここからどう戦っていくか。ACLと並行しなくてはならないわけで、移動もありますし、ターンオーバー含め層を厚くしていくことがまずは重要なポイントになると思いますね。

2チームぶん、それぞれが戦えるようにしていかないと、リーグ奪還というのは難しい。もしかするとACLを予選で負けてしまったほうが、リーグを獲ることが難しくなくなるのかもしれない。でも、鹿島は両方(リーグ、ACL)獲らないといけないクラブ。とにかく一つひとつ勝っていく。そういう意味では「川崎フロンターレに負けない」ということですよね。

まさに、リーグ戦で優勝するために、ここで負けてはいけない、そういう試合です。この一戦に勝つことによって、川崎Fにもすごく影響を与えると思います。自信を失わせることもできるし、逆に自分たちとの勝ち点差を作ることができる。選手たちにも大きな自信が生まれると思うので。初戦は負けましたが次の試合に勝つことによって、大きく選手たちのメンタリティも変わると思います。

――そんな大切な一戦。川崎Fを倒すポイント、注目選手、そして見どころを教えてください。

中村憲剛選手、レアンドロ・ダミアン選手。こういった選手をいかにして抑えるかがポイントになると思います。川崎Fがボールを持つ時間が非常に長くなると思うので、その中でいかにしてボールを奪うのか。中村選手のところにボールが集まってくるので、ここでボールを奪って連動してどれくらいカウンターができるのか。それも強力な、速くてダイナミックなカウンターができるのか。ここがポイントになってくると思います。

■試合情報
明治安田生命J1リーグ第2節
3月1日(金)19:00キックオフ
川崎フロンターレ vs 鹿島アントラーズ(等々力)
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