ヴィッセル神戸は28日、明治安田生命J1リーグ第9節で川崎フロンターレをホームに迎える。吉田孝行体制初陣となった前節の浦和レッズ戦では、見せ場なく0-1で敗戦。リーグ3連敗中と苦境に陥っている。今節対峙するは川崎F。J屈指の戦力を擁する神戸は、どんな布陣で王者に臨むのだろうか。
■新体制での公式戦3試合目、外国籍5枠に入るのは?
(C)J.LEAGUEヴィッセル神戸だけが持つ、贅沢な悩みと言っていいだろう。28日に行われるJ1第9節・川崎フロンターレ戦のキックオフを前にして、指揮を執って3度目の公式戦に臨む吉田孝行監督は大きな決断を下さなければいけない。
それは外国籍選手の選択だ。所属している7人のうち、川崎F戦へエントリーできるのは5人。新キャプテンに就任した司令塔、アンドレス・イニエスタが問題なくピッチに立てるとすれば、ベンチ外となる2人のうちの1人は、ウェリントンかダビド・ビジャとなるだろう。
ビジャはスペイン代表として歴代最多の59ゴールをあげ、今シーズンから加入した神戸でもリーグ戦でチーム最多の3ゴールをあげている。しかし、直近では股関節を痛め、2試合を欠場中。一方でエースが離脱した穴を埋めてきたウェリントンは、24日のセレッソ大阪とのJリーグYBCルヴァンカップ・グループステージの後半開始から、敵地ヤンマースタジアム長居のピッチに立っていた。
中3日で川崎F戦を迎えるスケジュールを考えれば、ビジャに復帰の目途が立ったことを受けて、ウェリントンが実質的なターンオーバー制で戦っているルヴァンカップ組へ回ったと考えられる。
ならば、もう一人は誰になるのか。ルヴァンカップでの選手起用を踏まえると、ファン・マヌエル・リージョ前監督の電撃辞任とともに昨シーズンから努めてきたキャプテンを返上した、前ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキになるのではないだろうか。
慌ただしく再登板した吉田監督のもとで、浦和レッズに苦杯をなめさせられた前節は、ビジャとコンディション不良を訴えたイニエスタが欠場。中盤はゲームキャプテンを担った山口蛍、シーズン開幕後にバルセロナから加入したセルジ・サンペールが底に、ポドルスキがトップ下に入る構成となった。
サンペールがベンチ外になる場合は、豊富な運動量を誇る三田啓貴がファーストチョイスになる。しかし、24日のルヴァンカップ・C大阪戦で三田は先発フル出場している。ウェリントンを除く外国人選手が6人ともベンチに入らなかったことも含めて、川崎F戦のボランチも山口とサンペールが務めることが予想される。コンディションと試合勘が指摘されたサンペールも、浦和戦では悪くないプレーを見せていた。
サンペールと同じく開幕直後に加入したセンターバックのダンクレーは、瞬く間に最終ラインに欠かせない存在となった。サンペールに弾き出される形でベンチ外になっていた、韓国代表GKキム・スンギュも、浦和戦ではFW武藤雄樹が放った決定的な一撃を防ぐなど存在感を示した。
浦和戦の失点はPKによるものだった。リーグ戦の4試合で10失点を喫した前川黛也が再びルヴァンカップ組へ戻ったことに加えて、吉田新監督が「失点を減らさないといけない」と修正点をあげたことを踏まえると、川崎F戦でもキム・スンギュが守護神を拝命するはずだ。
■イニエスタの存在の大きさを感じた浦和戦

開幕から7戦連続でフル出場を継続しながら、浦和戦を欠場したイニエスタは25日の練習後に取材対応。川崎F戦出場に関する明言こそ避けたが、キャプテン拝命にはポジティブな笑顔を浮かべた。胸中には浦和戦後に自身のツイッターに投稿した、熱い思いが渦巻いているはずだ。スペイン語で綴られたつぶやきは、日本語に訳すと次のようになる。
「ポジティブな結果ではなかったが、我々の道を歩み、やるべきことを信じることで上手くいく」
浦和戦では70%を超えるボールポゼッションをマークしながら、決定的な場面をほとんど作れなかった。開始早々に先制した浦和が重心を低く置き、しっかり守ってカウンターという戦い方にシフトしたこともあって、相手にボールを「もたされた」と表現した方がいいだろう。
相手の術中にはまってしまったからこそ、相手ゴールに近いエリアで「違い」を作り出せるイニエスタが復帰すれば状況は鮮やかに変わってくる。時間を作り出せるがゆえに、スピードに乗って左から古橋亨梧、右から小川慶治朗が仕掛ける攻撃が相手に与える脅威も増してくる。
そして、中盤や前線の顔ぶれがどうなろうと、最終ラインの前で攻守の切り替え役を担い、イニエスタを後方から支援する山口の役割は変わらない。日本代表としても豊富な経験をもつ28歳はレッズ戦後に「いまが一番の耐え時」と、地に足をつけて戦っていくことの重要さをこう訴えた。
「ファンマ(リージョ監督の愛称)が残してくれた事はいっぱいある。それは忘れずにこれからも続けていきたいし、それを残しながらプラスアルファの部分を出していきたい」
リージョ前監督時代から続くリーグ戦の連敗は3に伸び、ルヴァンカップでもC大阪に屈した。まずは白星をつかみ取ることが、チームを上向かせる最大にして唯一の起爆剤になる。リージョ前監督の就任とともに退陣し、強化部の一員としてチームの軌跡を見てきた吉田監督も前を見据える。
「自分たちがいままでやってきた攻撃のベースは何も変えていない。ただ、奪われたところでプレスにいく、全体をコンパクトにするという攻守の切り替えをうるさく言いながらやっている」
最大10連休のゴールデンウィークに入り、超満員の大観衆が確実視される平成最後の一戦。ベンチから外れる2人の外国籍選手へのケアを含めて、窮地に陥った状況だからこそ神戸の底力を発揮して王者を倒したとき、来たる“令和”で巻き返していく青写真の輪郭が見えてくる。
文=藤江直人
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です



