「やりましたね、監督!」
ユルゲン・クロップは首にメダルをぶら下げ、手にはビールを持ったまま、放心した様子でワンダ・メトロポリターノスタジアムの中を歩いていた。クロップは『Goal』に向かって、「ヘトヘトだよ!」と笑いながら話す。
ピッチの上ではリヴァプールの選手たちがまだチャンピオンズリーグ(CL)優勝を祝っている。感情的に、喜びにあふれ、そして疲れ切った様子だ。このセレブレーションはマドリーの夜を超えて続いていくだろう。
しかし、クロップにはまだやるべきことが残されていた。人と会って話をしなくてはならない。監督の務めである試合後のメディア対応だ。
ただそれよりも先に、クロップはあるサプライズ電話を受けた。
■電話の相手は…

ドレッシングルームに入ったクロップの元に、昨年11月にマンチェスター・シティから引き抜いたフィジカルコーチ、リー・ノーブスが近づいてきた。
クロップは『Goal』独占インタビューで、「リーが僕に電話を渡してきたんだよ」と話す。「画面には“ペップ”とあった」
「100%私のペップだと思ったよ、ペップ・リンダースのことさ!『電話はわかったけど、妙な話だな』と思った。それで話し始めてやっと気づいたのさ。それが別のペップだってことにね!」
“別のペップ”とは、もちろんペップ・グアルディオラのことだ。リヴァプール最大のライバルクラブを率い、おそらくその日の夜に最後に電話をかけてくるだろう人物である。グアルディオラはマドリーの地でクロップの立場にいてもまったくおかしくなかった人物だが(VARがなければリヴァプールの決勝の相手はマンチェスター・シティだっただろう)、もしこのカタルーニャ人に何らかの嫉妬心があったとしても、それが感じられることはなかったという。
クロップは、「ただ多くのリスペクトを感じたね」と話す。「誰が誰に電話をかけてそういう状況になったのかはわからない。リーはもちろんペップとマンチェスター・Cで一緒に仕事をしていたからね。最高だよ。素晴らしい瞬間だった」
「お互いにとても素晴らしいシーズンを過ごしたと話したよ。あと、いくつかのジョークもね。もちろんふたりとも上機嫌だったさ!」
これは驚くには値しない。クロップもグアルディオラも、それぞれのクラブが果たしたすばらしい成長に満足できるだろうからだ。2019年は両者合わせて4つのトロフィーを掲げた。そして2019-20シーズンのプレミアリーグ開幕前にコミュニティ・シールドで激突し、そこでも世界最高の戦いを見せた(マンチェスター・CがPK戦で勝利)。
■リスペクト
(C) Getty Imagesプレミアリーグ史上最も過酷なタイトル争いが繰り広げられた昨シーズンにあって、マンチェスター・Cとリヴァプールを分けた唯一の点は、1月にエティハド・スタジアムで行われた直接対決でグアルディオラが決定的な勝利を上げたことだろう。結果、リヴァプールは2位チームとして史上最高となる勝ち点数を積み重ねたにも関わらず、マンチェスター・Cがここ10年で初となるプレミアリーグ連覇を果たすこととなった。もはや両クラブが求める基準は並外れている。両クラブは獲得可能性のある計228の勝ち点のうち、わずか33しか取りこぼさなかったのだ。
両クラブが対立する一方で(特に一部のメディアによってけしかけられ、突き動かされたサポーターは、自クラブの成功ではなくライバルクラブの不運にこの上ない喜びを感じていたようだ)、この2人の監督の間にはリスペクト以外の感情はほとんど存在していない。
それは、サー・アレックス・ファーガソンとアーセン・ヴェンゲルの関係や、ヴェンゲルとジョゼ・モウリーニョの関係とも違う。グアルディオラは過去モウリーニョと激しく衝突しているし、決して相手とやり合うことを嫌っているわけではないだろうが、クロップとの間にはこれまで何もない。ドイツ時代にもそれぞれバイエルン・ミュンヘンとドルトムントの監督という立場で争っていたが、その時もふたりの関係の中に狭量や恨み、敵意といったものは見当たらなかった。メディアを通じた“心理戦”のような暗号めいたやりとりや、巧妙な皮肉もない。2人のライバル関係は、ピッチの上以外では見られない。
クロップは、「私にはそういった“バトル”は必要ないんだ」と話す。「同僚の姿が数ヤード離れたところにあっても、常にそういったネガティブな感情を持つ必要はないね。それがなくても、今あるものだけで試合に勝ちたいという気持ちを持つことができるよ」
「それ以外は私にとって試合の一部ではないし、もちろんペップも同じ考えだろう」
「我々はとても競い合っているから、試合中はもちろん違ったものになる。試合中は関係を良くすることにほとんど関心はないさ! 90分間それ以外のことに集中しているよ」
「でも、とてもリスペクトのある関係さ。対戦するとき以外に常にコンタクトを取っているわけではない。それと、ペップがフィジコに電話を掛けて私が受けるとき以外もね! それ以外はすべて良好さ」
取材・文=ニール・ジョーンズ/Neil Jones
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