ボルシア・ドルトムントやシュトゥットガルトでプレーし、2018年から名古屋グランパスで活躍するオーストラリア代表GKミッチェル・ランゲラック。『Goal』は、チャンピオンズリーグ(CL)など世界最高峰の舞台を経験し、現在は日本サッカー界でインパクトを残すランゲラックに、Jリーグの印象やGKの世界基準のプレーについて聞いた。
独占インタビュー前編は、日本での生活や多くの外国人GKが活躍しているJリーグ、日本人GKなどについて語った模様をお届けする。
インタビュー=斎藤孝一
■日本でのお気に入りは…

――来日して1年以上になります。もうすっかり日本の生活にも慣れたようですね。
本当に良い経験をさせていただいています。日本のファンやサポーターはみんなフレンドリーで、明るく接してくれます。私だけじゃなく家族にもそうしてくれるので、本当にうれしいです。
――日本でお気に入りになった食べ物や場所などはありますか?
まずは焼肉ですね。それから寿司。でも寿司は日本の伝統的なものよりアメリカンスタイルの寿司が好みです。そばも食べられるようになりました。家族と京都にも行きましたよ。とても美しくて素晴らしい場所でした。
――同じようにJリーグのピッチにも慣れたと思います。プレー面で驚きや発見はありましたか?
新しく驚いたことや発見したことはそんなにないですね。というのは、もうサッカーに関わって長いですし、オーストラリアはもちろん、ドイツでも長くプレーして、いろんな監督と接してきました。サッカーでは常に変化が起こっていて、いろいろな場所でいろいろな文化と触れ合っているし、私も適応力が高い方だと思っているので、ほとんどのことは想定内という感じです。
――外国籍のフィールドプレーヤーは『日本のサッカーは速い』とよく言っていますが、GKのランゲラック選手から見てJリーグの特徴は?
日本の選手、特に攻撃の選手はテクニックがありますよね。特にフリーでシュートを打つ時に、キーパーとしてはコーナーを狙われると嫌なのですが、日本の選手は質の高いシュートを打ちます。中盤の選手も本当に速いパス回しで翻弄してくるチームが多いですね。
――今、Jリーグでは多くの外国人GKがレギュラーとして活躍しています。その状況をどのように考えますか?
Jリーグはとても大きくなってきています。それから、素晴らしい選手が集まってきているリーグだと思います。私は国籍がどうであれ、素晴らしいクオリティを持った選手がプレーすべきだと思います。クラブは世界中から優秀な選手を連れてくる、それは中盤の選手かもしれませんし、FWかもしれません。GKも同じで、いまのGKは単にセーブするだけでなく、チームを落ち着かせることや他の選手に自信を与えることなど、付加価値が求められています。チームにとって大変重要なポジションだからこそ、そうなっていると思います。
――逆に日本人のGKは欧州のビッグクラブでプレーできていません。伸ばすべきところはどこだと思いますか?
海外に出てプレーすることは困難を伴います。私もドイツで経験がありますが、チャンスを掴むことも難しい。欧州に出るタイミングもありますし、発育しているかという問題もあります。3番目のGKから2番目になって、試合に出られるファーストGKになるには、他の選手やスタッフからリスペクトをもらいながらチームと一緒に進んでいくことが必要です。
ただ、一つ言えるのは誰か一人が素晴らしいプレーをして認められれば、その国から続く選手が出てくると思います。私たちオーストラリアの場合は、マーク・シュウォーツァー選手やマーク・ボスニッチ選手が欧州で活躍していましたから、『オーストラリアは凄いGKを輩出する国』と認識されるようになっています。日本人のGKもクオリティはとても高いし可能性を秘めた選手が多いので、欧州で活躍するのは時間の問題だと思います。
――日本人GKが世界に出ていく上で強みとなるのはどの部分でしょうか?
日本人は速いという特性があります。例えばリアクションが速いし、しっかりボールを捉えることができると思います。ある程度前に出て攻撃に参加する選手が多くて、日本人のGKはそこが上手いなと思います。ただ、千差万別で、GKにもいろんなタイプがいて、前に出るタイプもいれば、後ろで冷静な判断をするタイプもいます。プレーをしていて心地良いか、それぞれの特性を伸ばしていけば良いと思います。
■幼少期の憧れはブッフォン&カシージャス

――ランゲラック選手がGKを始めたのはいつ頃ですか? また、その理由は?
9歳か10歳でした。ボールをキャッチすることがうまかったんですよ。天性の才能だと思います。動きもダイビングキャッチをすることも好きだったのでキーパーに向いているかなと思いました。
――子どもの頃に憧れたGKは?
ジャンルイジ・ブッフォンやイケル・カシージャスですね。いわゆるトップゴールキーパーと呼ばれる選手が好きでした。この状況ではどういうプレーをするのか、違う時はどうなのか、いろいろと参考にして自分も技術を磨きました。
――ランゲラック選手が考える「良いGK」とはどんなGKですか?
GKで必要なのはやはり技術、それからしっかり判断することだと思います。チームを最後尾からしっかり支えること。私の哲学は『失点をしないという感覚を他のチームメートに伝えていくこと』です。得点を取られないということは安心感につながりますから。「彼なら失点しない」というイメージを他のプレーヤーに与えて、後ろからしっかりとチームメートを助けること。それがGKの大切な役割の一つだと思います。
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です

