31日のリーガ・エスパニョーラ第29節、レアル・マドリーは本拠地サンティアゴ・ベルナベウでのウエスカ戦に3−2で勝利した。ジネディーヌ・ジダン監督は試合後、自身の次男GKルカ・ジダンを起用した理由を「彼がチームの第3GK」であるためと説明した。
ジダン監督は復帰初戦でGKケイロール・ナバス、DFマルセロ、MFイスコらこれまで冷遇されてきた選手を先発させたが、このウエスカを迎えた一戦でもさらなる驚きを与えた。ティボ・クルトワが負傷したGKのポジションにK・ナバスではなく自身の次男ルカを起用したのだ。
ルカがレアル・マドリーのトップチームで出場を果たしたのは、昨年5月に行われたアウェーのビジャレアル戦（2－2）に続き2試合目。チームの守備の緩慢さもあって2失点を喫したものの、父親譲りの絶妙なフィードを見せるなど存在感を示し、初めて勝利を味わっている。試合後会見に出席したジダン監督は、そんな次男についてこう語った。
「ルカについては、ベルナベウでデビューを果たしたことを喜ばしく思っている。彼は私の息子だから出場したわけではない。第3GKだから出場したんだ。ティボは状態が悪く、またケイロールも代表戦をこなした後なので休みを与えたかった。うまくいったよ。ルカは16年前にレアル・マドリーの下部組織に入団した。強い意志が備わっている」
FWカリム・ベンゼマが89分に勝ち越し弾を決めたこの試合については、次のように振り返った。
「少しクレイジーで、観戦する立場であれば美しい試合だったね。私は勝利と選手たちの努力を心に残している。私たちは、もっと素晴らしいプレーを見せられる。それはもちろんだが、しかしライバルのことだって祝福しなければならない」
「（リーガ最下位の）ウエスカはもっと良い成績を収めるべきチームであり、それをこの試合で確認できた。おそらく、今日は敗戦以上の結果に値したはずだ。最後にはカリムのゴールで私たちが勝ったが、それはチームが最後まで戦ったからなんだ」
ベンゼマはゴールのほか、チームの攻撃の起点となるなど随所で存在感を発揮した。
「彼はレアル・マドリーで10年プレーしているが、おそらく今季が最も素晴らしいシーズンだ。私たちはそんな彼に満足しているし、これからも戦力に数えていく。残りは9試合だが、どうしていくか見ていよう。いずれにしても彼はレアル・マドリーの選手であり、それが変わるとは思わない」
ジダン監督はこの試合でDFラファエル・ヴァラン、MFトニ・クロース、MFルカ・モドリッチ、MFマルコ・アセンシオと代表戦帰りの選手たちを招集外として、DFナチョ、MFブライム・ディアス、MFマルコス・ジョレンテらを先発で起用した。指揮官に復帰して以降、多くの選手を起用しているが、来季に向けた“キャスティング”の意味があるのかを問われると、このように返している。
「“キャスティング”などはしていない。試合に勝つのために最高のチームを組むよう心掛けている。それに代表戦の後にローテーションを行うのは重要だ。ここに残り、15日間にわたって練習に取り組み続けてきた選手たちにもチャンスを与えなくてはいけない。自分のやり方を変えることはないよ」
「私は11人でタイトルを勝ち取れると思っていない。1シーズンに60～70試合をこなすのに、11人で成功をつかむなど不可能だ。それが私の考えであり、だからこそ目前の試合で最高のスタメンを組むよう試みている」
「この場で言っておこうか。私が全選手を満足させようとしている、と人々は考えているかもしれないが、そういったことではない。選手は50試合に出場したとしても、1試合に出場できなければ怒りを感じるものだ。私はフットボールをそういう風には見ていない」
そのタイトル獲得の望みがすでに失われた今季、モチベーションを維持し続けることはできるのだろうか。
「マドリーのようなチームが、トロフィーを勝ち取れないと分かっている状況で戦っていくのは、もちろん辛い。しかし私たちはプロフェッショナルであり、良い形でシーズンを終えることを試みる。モチベーションは各人が抱えるものであり、私にはそれがある。辛いと感じるときもあるが、しかし私は選手たちが今日見せた努力を心に残している」
この試合のベルナベウの観客動員数は4万9269人と、リーガ第1節ヘタフェ戦に次ぎ、今季ワースト2位を記録。ファンが試合への関心を失っていることは、数字に表れている。
「受け入れなければならない。見るか見ないかを決めるのはファンなのだから。もしベルナベウで私たちのプレーを見ることを望んでくれるならば、素晴らしい。しかし何も勝ち取れない状況で、人が少なくなるのは理解できるよ」
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