■C大阪復帰以降の苦難の日々を経て
水色のサポーターが圧倒的多数を占める敵地・等々力陸上競技場。セレッソ大阪は、J1連覇の王者・川崎フロンターレ戦に臨んだ。
序盤からボールを支配される苦しい展開の中、柿谷曜一朗が22分に大仕事をしてみせる。ソウザから丸橋祐介にボールが渡った瞬間、最前線の都倉賢が相手を引き付け、空いたスペースを背番号8は見逃さず、反転から右足を一閃。左隅の際どいコースに蹴り込んで、待望の今季初ゴールを奪った。
昨年5月5日のJ1第13節・V・ファーレン長崎戦以来、11カ月ぶりとなるJ1での得点。「思いのほかフリーだったし、『思い切り行ってみようかな』という気持ちで行ったら点につながったので、良かったですね」と安堵感をのぞかせた。結果的にこの一撃は勝利に直結せず、1-1のドローに持ち込まれたものの、エースたるべき男に得点が生まれた意味は非常に大きい。
2016年1月にスイス・バーゼルから復帰してからというもの、柿谷は数々の困難に直面してきた。キャプテンマークを巻いた2016年は「J1復帰請負人」としての重責を背負いながら6月に左足関節じん帯を損傷、長期離脱を強いられた。11月初旬にリーグ戦に復帰し、その後のJ1昇格プレーオフ準決勝・京都サンガF.C.戦では値千金の先制弾をゲットするなど、3年ぶりのJ1復帰に貢献した。しかし、ほぼ5カ月間離脱していたことになり、チームのリーダーとして十分な仕事ができなかったという悔しさがあったことは想像に難くない。
翌2017年は2014年以来のJ1の舞台に立ったが、この年就任した尹晶煥監督に左サイドで起用されることが多くなり、本来のゴール前の鋭さを発揮するのが難しくなった。クラブは同年にJリーグYBCルヴァンカップと天皇杯の2冠を達成したものの、柿谷は二つのファイナルで途中交代。タイトル獲得の瞬間をピッチで味わうことができなかった。
そして2018年はJ1・21試合出場という数字からも分かる通り、一段と出番が減少。苦悩の日々が続く。彼自身も現状を打開しようと懸命に努力したが、ピッチに立つ回数が増えなければゴール数が伸び悩むのも当然だ。結局、尹監督体制の2年間は1年目が34試合出場6得点、2点目が21試合出場4得点という物足りない数字に終わってしまった。
■ロティーナサッカーの中で活きる自分
迎えた今季。ポジショナルサッカーを推進するミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督は柿谷を清武弘嗣とともに2シャドーに固定している。“質的・数的優位なポジションを取る” “自身のポジションを守る”という戦術を重視しつつも、ゴールに絡む仕事も強く求めている。その期待に応えるべく、本人も得点を狙う。この川崎F戦も冒頭の先制弾のみならず、79分に山下達也からのスルーパスを右足ボレーで狙うという、彼らしいテクニカルな決定機を作った。
「ヤマちゃんからあんなにいいボールが来るとは思っていなかった(笑)。中でトクくん(都倉)が待っていたので、折り返せれば良かったかなとも思いましたが、自分では決められると判断しました。ただ、GKの圧力で上に浮いてしまった。あそこで冷静に流し込めるようにプレーしたいと思います」と語った柿谷。内に秘めていたフィニッシュの感覚を取り戻しつつあるのかもしれない。
3月30日の第5節・ベガルタ仙台戦で都倉が新天地初ゴールを決めたのに続き、柿谷がこの川崎F戦で今季初得点を奪った。都倉は言う。「やはり前線の選手が取れないとチームは勢いに乗れない。曜一朗も点を取っていい流れになってきていると思います」。
現在、守備陣は強固な守備ブロックを形成し、失点を最小限にとどめる戦いを続けている。だからこそ、彼ら前線の決定力アップが今後の重要なカギになるのは確か。柿谷はそのけん引役たるべき存在だ。この先のゴールラッシュを指揮官もチームメートもサポーターも強く願っている。
文=元川悦子
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