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“新ビッグスリー”が浦和を機能不全に。ミシャ札幌が新たに手にしたスピードという武器

北海道コンサドーレ札幌が、3月2日に行われた明治安田生命J1リーグ第2節の浦和レッズ戦に2-0で勝利。今季リーグ戦初白星を手にした。ミハイロ・ペトロヴィッチ体制2年目を迎えた札幌が、今季も快進撃の予感を漂わせている。チームとしてオーガナイズされた“人とボールが連動するサッカー”に新鮮力が融合したミシャサッカーの新たな可能性とは。

■可変スタイルで浦和を翻弄

まさに会心の勝利だった。攻めては鈴木武蔵ら新戦力が躍動し、守っては通算対戦成績6勝3分け9敗と負け越す浦和レッズを零封。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督も試合後に選手へ「今日のようなゲームを見られたら死んでも良い」と伝えたほどだ。

開幕戦では湘南ベルマーレに0-2と敗れて黒星スタートとなった札幌。「(相手が)ハイプレスになって自分たちがビビってしまってた部分があった」と宮澤裕樹が振り返るように、走り切るサッカーを遂行する湘南の流れに飲み込まれてしまった感はある。さらに、新戦力がアンデルソン・ロペスしか起用されなかったことを考慮すれば、まだ本領発揮という状況ではなかったのかもしれない。

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しかし浦和との一戦では、目指す攻撃的スタイルの進化の一端を見た。浦和戦では基本布陣である[3-4-2-1]ではなく、鈴木武蔵とA・ロペスが2トップを組み、チャナティップがトップ下に入る[3-4-1-2]を形成。

2トップの鈴木とA・ロペスが、落ちてボールを受けにいくことで、2人のチェックに入る浦和のマウリシオ、槙野智章、岩波拓也の最終ラインが何度も釣り出され、裏に出来た広大なスペースを突く攻めで決定機を何度も呼び込んだ。

そもそも札幌は、GKからのビルドアップを攻撃の軸としており、ビルドアップ時にボランチ2枚が最終ラインに落ちてパス回しに参加し、CBが前傾姿勢をとる形を主流にしている。

浦和戦で言えば、深井一希と荒野拓馬のダブルボランチが最終ラインに下がり、左右のCBに入る進藤亮佑と福森晃斗がウイングバックに近いポジションに入り、元々ウイングバックを務める菅大輝とルーカス・フェルナンデスは、鈴木武蔵とA・ロペスと同じ最前線まで上がり、攻撃時には[3-3-4]のような超アグレッシブなシステムに変化。「よりビルドアップに人数かけつつ、前に出ていくというのができた」と宮澤裕樹が振り返るように、札幌は常に数的優位の状況を作り出していた。

■新ビッグスリーが見せた可能性

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その中でも鈴木とA・ロペスにチャナティップが絡む“新ビッグスリー”は、絶妙な距離感とホットラインを見せた。窮屈な中盤をダイレクトパスで崩して、裏への飛び出しを徹底。そこに両翼の菅とルーカスが高い位置で積極的に絡んで仕掛けつつ、進藤と福森も攻撃に参加する。人とボールが連動した攻撃を展開する札幌に対して、「相手の型にハマってしまった」とエヴェルトンが振り返るように、浦和を機能不全に追い込んだ。

とりわけ、鈴木の存在が浦和をより苦しめた。爆発的なスピードで裏へ飛び出して奪った2点目が物語るように、鈴木の持ち味である“速さ”がいかんなく発揮された。

「武蔵に関して言えば、裏に抜け出すタイミングとスピードが持ち味。ボールを持って顔を上げた時に動き出してくれるので、そこはやりやすい」と福森が語るように、鈴木の加入でチームとして裏を狙う姿勢がより強まった。

昨季はどちらかといえば都倉賢(→C大阪)かジェイの高さを生かした空中戦に持ち込むことが多かったが、「新しい札幌のサッカーを見せることができた」と福森が言うように、今季は地上戦でも得点機会は増えそうだ。

2ゴールを挙げてチームを今季リーグ戦初勝利に導いた鈴木だが、本人は得点はもとより、素早い守備の意識を90分を通して崩さなかったという。

「チーム全員がハードワークできていたし、切り替えの部分でも、ボールを失った瞬間に3人がプレスに行って相手に隙を与えない守備を繰り返していた」

攻守両面でチーム全体がオーガナイズされていた札幌。ミシャは「レベルでいえばマンチェスター・シティに近いものがあった。ボールと人の関係、4人目、5人目が関わるスムーズなゲームだった」と、プレミアリーグ王者を引き合いに出すほど完璧な試合運びだったと強調。指揮官の表情からは、どことなく“やってやった”感がうかがえた。

とはいえ、まだリーグは2試合を終えただけ。今季はACL出場権獲得という高い目標を掲げる札幌だけに、新戦力と既存戦力のさらなる融合が必至となってくる。この会心の勝利を今後にどうつなげるか。ミシャ札幌の挑戦は始まったばかりだ。

取材・文=大西勇輝(Goal編集部)

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