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所詮、 “解任ブースト”だった? 徐々にモウリーニョ化するスールシャール…両者の戦術に大差はなくなった

チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のファーストレグで、バルセロナ相手に気迫の感じられない試合をし、1対0で負けたマンチェスター・ユナイテッド。一番の問題は、いうなれば、ジョゼ・モウリーニョ前監督が今でも指揮をとっていたら、現在のオーレ・グンナー・スールシャールと違うサッカーをしていただろうかということだ。

それとも、もう少し話を広げて、モウリーニョが今でも指揮をとっていたら、違うサッカーをすることが「できた」だろうか? この2つの問いに対する答えは、おそらくないだろう。

確かにバルセロナはCL優勝候補だが、それにはそれなりの理由がある。バルサにはリオネル・メッシというスターがいるだけでなく、ほとんどのポジション、いや、控えのベンチにさえ、頼りになる選手がいるのだ。

ユナイテッドは、ホームでもアウェイでも、どんな状況になってもバルサを上回ることはできないだろう。そのため、スールシャールが考えることのできるゲームプランの種類は、極端に限られている。

スールシャールが、自身をファーガソン元監督の情熱の番人とみなしていることは正しい。長くファーガソンの右腕だったマイク・フェランをはじめ、サー・アレックスの下、オールド・トラッフォードで働いていた他の多くのスタッフをそばに置いている。

スールシャールは、ユナイテッドが進むべき道と、どんなチームにも屈しないようにする方法について、すべてをはっきりと口に出している。誰が相手であっても、ユナイテッドは、ファーガソン元監督のときのように試合に勝つために戦うのだと、スールシャールは言っている。

それこそが観客が聞きたい言葉であった。モウリーニョの最後の頃に見てきた、ガス灯のように薄暗く生気のないチームを忘れられると安堵したのであった。

■見え始めた現実主義

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ところが、バルサ戦で実際に見たのは、それを裏付けるものではなかった。水曜の試合のピッチには、センターバックが2人、フルバックが3人、守備的ミッドフィルダーが2人いたのだ。攻撃はどこにいったのか。そればかりか、とにかく失点しないための布陣だったにもかかわらず、結局それすら達成できなかった。

だが、スールシャールのユナイテッドが、どんな相手にも同じ方法で戦うことは、次第に明らかになりつつある。彼らは、ファーガソン時代の伝説的な強さを目指していない。たとえどんな相手に対しても、確率のよいサッカーをする。 それがワトフォードやウルヴスであろうと、パリ・サンジェルマンやバルセロナであろうと。

スールシャールとモウリーニョの違い。それは、スールシャールがそれをやり通すことを許されていることだ。その理由の一つは彼がクラブのレジェンドで、1999年のCL優勝の立役者となっているから。二つ目の理由は、彼がユナイテッドの監督に就任した初期のころ、素晴らしく幸運だったからだ。

その幸運が消滅し、ユナイテッドはほとんどジョゼ時代に後戻りしつつある。

直近の6試合で4敗。FAカップで敗退し、CLの出場権が獲得できるリーグの順位からも滑り落ちた。待ち受けるカンプ・ノウでの戦いは、CLに勝ち残れるかどうかの瀬戸際となる。

実際のところ、ユナイテッドの今シーズンは監督がモウリーニョかスールシャールかに関わらず、可もなく不可もない予想どおりなのである。

この寂しい結果の中でスールシャールを支持する要素としてあるのは、CLベスト16で、パリ・サンジェルマンに勝ったことだろう。

あの勝利は、ファーストレグの2-0での敗戦をひっくり返し、九死に一生を得たという意味で印象的であり、ユナイテッドがファーガソン元監督のもとで楽しくサッカーをしていた時代へ戻る道だとみなされている。まさにユナイテッドのアイデンティティの源であり、かつては当然と思われていた魔法を生みだしたのである。

だが、ユナイテッドがどれほど幸運だったかを見逃してはならない。リオネル・メッシのいないバルサよろしく、パリ・サンジェルマンにはネイマールがいなかったし、枠にいったすべてのシュートが得点になったり、PKを獲得できたりしたのだ。

ユナイテッドにとって、あの結果は素晴らしすぎた。エド・ウッドワードCEOはただちにスールシャールと3年契約を結んだ。練習場での雰囲気がよくなり、選手全員への信頼が見てとれたことは間違いない。だが、薄っぺらな証拠に基づく、目先のことしか考えない契約だったことは明らかだ。

■デ・ヘア頼み

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現在、ユナイテッドは、どんな試合をしても勝率が五分五分でしかない。それはGKダビド・デ・ヘアの好守がチームを救う一方、頼みのはずの前線のストライカーがゴールを量産できないからだ。

これではモウリーニョのころと大差がない。スールシャールが就任したばかりの頃、ウェンブリーでの大事な試合で、デ・ヘアはスパーズ相手に英雄的な働きをした。あの日の午後、デ・ヘアは、これまでのキャリアで最高のセーブ数を記録し、昨シーズンのエミレーツ・スタジアムでのアーセナル戦とは似ても似つかない働きをしたのだった。

当時のユナイテッドの勝利には、雄大な戦略がなかった。すべてがデ・ヘア任せで、何とかゴールをくすねて勝つことしか期待できなかった。

さらに言えば、パリ・サンジェルマン戦の勝利は、今シーズン早々、モウリーニョがCLグループステージで ユヴェントスに勝った試合を思いださせる。ユナイテッドは先制され、敗色濃厚だったが、ぎりぎりのところで何とか逆転したのだった。

ユナイテッドの試合ぶりは、先日のウルヴス戦の敗戦も同じだ。ワトフォードに対しては何とか勝つことができた。勝ったり負けたりを繰り返し、どの試合もプレーぶりは似たり寄ったり。よい話ではない。

スールシャールはまだ、批判を手なずける方法を見つけていない。結果というものは、時に、コインの裏表を当てるように裏腹なものだ。ボールはゴールに入ったり入らなかったりする。アーセナル戦で証明されたとおり、すべてのGKにその危険があるごとく、デ・ヘアがミスをすれば、ユナイテッドは大きなとんでもない困難に陥ることになるのだ。

ユナイテッドのファンは、ウッドワードCEOも含めて、スールシャールの就任早々の結果が一貫していたが故に、間違った安心感に囚われてしまった。だが、蜜月はどんなにうまくいっても、必ず終わる。

■補強必至

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これから来シーズンの開始までの間に、誰もが、現状の寒々した雰囲気に立ち向かうこととなるだろう。マンチェスター・ユナイテッドは、モルデの監督だったスールシャールと正式契約を交わしたばかり。スールシャールは、クラブ史上最も重要となるであろう移籍期間中に、徹底的なオーバーホールを実施することを期待されている。

バルセロナは、すでにフレンキー・デ・ヨングと契約した。レアル・マドリーはエデル・ミリトンと契約した。バイエルン・ミュンヘンはリュカ・エルナンデスと契約ずみ。これらのスーパークラブは時間を無駄にしない。チームの弱点は補強ずみだ。

それにひきかえユナイテッドは、ただ立っているよりも悪いことをしている。ファーガソン元監督が去った後の、最も成功した契約だと言われている、アンデル・エレーラを自由契約で放出しようというのだ。さらに、2人しかいないワールドクラスの選手であるデ・ヘアとポール・ポグバも、出ていくことになるかもしれない。

さらに、週給50万ポンド(約7300万円)にもなるアレクシス・サンチェスとの契約は資源の無駄づかいであるだけでなく、交渉や再交渉を呼びこむことになるだろう。たとえば、マーカス・ラッシュフォードは、アレクシスの「稼ぎ」を知っても、自分を安売りするだろうか?

こうした事態は、組織体制の欠落と監督不行き届きが招いたものである。スールシャールは、3人の監督が契約してきた選手たちと、ファーガソン時代から残っているわずかな選手たちを率いて戦っている。遅かれ早かれ、自分自身で選んだ選手が必要となるだろう。

スールシャールは、危機的状況にあったユナイテッドを生き返らせた。だが、その効果は薄れてきている。握手してよくやってくれたと感謝する代わりに、クラブは、「死んだ猫でも高いところから落とせば弾む」と言わんばかりに、長期契約を交わそうとしている。果たしてうまくいくだろうか。

ジョゼは、ゴール前にバスを止めて相手のシュートを防ごうとしたが、オーレはゴール前でバスを運転している。実際のところ、2人の戦術に違いがあるとは思えない。ユナイテッドは相変わらず取り散らかっている。よい結果がつづいたところで、それをカバーしきるには不十分なのだ。

文=ピーター・スタントン/Peter Staunton

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です

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