【徹底分析：日本代表】確かな一歩。だが、問題は一向に解消されていない―。西紙試合分析官がウルグアイ戦を紐解く

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コパ・アメリカ2019グループC第2節、日本代表対ウルグアイ代表の一戦は2-2のドロー決着となった。

0-4と大敗した初戦チリ戦からは、6人を変更した森保ジャパン。すると、この采配が的中。ゴールマウスを守った川島永嗣が8本のセーブを記録し、最前線の岡崎慎司は献身的なチェイスと的確なランニングでチャンスを演出。そして、右ウイングを務めた三好康児は2ゴールを奪う堂々としたパフォーマンスを披露した。優勝候補の一角であるウルグアイ相手に2度リードを奪うなど、チーム全員が称賛されるべきプレーだった。

しかし、チリ戦で露呈した課題が解決されたわけではないようだ。スペイン大手紙『as』で試合分析担当を務めるハビ・シジェス氏は、第1戦同様、森保ジャパンの魅力的な攻撃を称賛する。だがその一方で、「チリ戦で生じた問題を一向に解消していない」と断言する。スペイン紙で数多くの試合を分析してきたシジェス氏の見解には、耳を傾ける必要があるだろう。

文＝ハビ・シジェス（Javi Silles）／スペイン紙『as』試合分析担当
翻訳＝江間慎一郎

■期待

チリとの一戦で味わった失望は、すでに過去のものである。日本は世界を代表するチームの一つ、ウルグアイにも決して引けを取らなかったのだから。彼らが示した競争心は、今後の歩みに期待をもたらすものだった。確かに、日本は今回の試合でもこれまでと同じ欠点を露呈してしまった。が、彼らが前へ進み続けられるという根拠も、そこには間違いなく存在していたのだ。

日本はチリ戦、いや、毎試合にわたって繰り返される迂闊なミスを再び犯してしまった。しかし相手のペナルティーエリア内で見せた決然さや、ウルグアイの終盤の猛攻に対する徹底的な抵抗と、じつに見事な姿勢を披露している。森保一監督はチリ戦からスタメンを6選手変更したが、システム（1-4-4-2）とプレーアイディアは変えなかった。そしてボールを持った際の勇敢かつ活力みなぎるアクションは、現在のフットボールシーンにおいて、最も強固な守備ブロックを形成するウルグアイ相手に2ゴールを決めることにつながった。

日本はウルグアイとの殴り合いの中で、極めて正しい動きを見せ、彼らの弱い部分を突くことに成功した。つまりは、相手の手薄となっているサイドで優位性を生み出したのである。最初に一つのサイドでボールを動かし、いきなりサイドを変えて鋭い攻撃を仕掛ける……。定石ではあるものの、しかしウルグアイはその攻撃をつかまえ切れずに2失点を喫することになった。1点目、柴崎岳は右サイドの三好康児がディエゴ・ラクサールを前にして、優位なポジションを取っていたことを理解。彼のサイドチェンジからゴールが導かれている。また2点目は左サイドを起点に生まれ、そこでは中島翔哉と杉岡大暉が2対1の状況を生み出していた。フィニッシュを請け負ったのは、またも三好であり、初めてフル代表の先発に抜擢された選手としては、これ以上ない成果を収めている。

■解決しない課題

Luis Suarez Naomichi Ueda Uruguay Japan Copa America 2019

Getty Images

日本の守備から攻撃のトランジションは、適切な判断が光り、まばゆいばかりだった。その一方で、ポジショナルな攻撃は流麗ではなかった。世界に轟くウルグアイの組織立った守備は、日本が遅攻からゴールを奪う可能性を可能な限り低くしている。久保建英であれば、ウルグアイのMF＆DFのライン間で多くの意味を持つ動きを見せられたかもしれないが、森保監督は彼をベンチに置いていた。唯一、中島だけがチャンスを生み出せるクオリティーを有していたものの、彼は自分のプレーをどのようにして終えるか、ぼんやりとしている場合が多かった。

日本の素早いトランジションからの攻撃は、ウルグアイにとっても驚異的だったが、しかしその攻撃は脆弱な守備と完璧なコントラストをなしている。エディソン・カバーニ＆ルイス・スアレスの2トップは、まだ青臭い日本の守備陣にとって、乗り越えることが極めて厳しい試練だった。日本はチリ戦で生じた問題を一向に解消していない。柴崎と板倉滉の2ボランチの背後はウルグアイの攻撃にとって、じつに有効なスペースだった。日本はゴール前で然るべき守備網を敷くことはできなかった。L・スアレスは誰の監視下にも置かれず、そこから危険なシュートを2本も放っている。またサイドの守備についても、中島のポジショニングが改善されて杉岡大暉のカバーに入ることも間々あったものの、それでもウルグアイの進行を完全に食い止めていたわけではなかった。

日本はウルグアイが終盤に仕掛けた猛攻にしっかりと耐えていた。ただし、センターバックの選手たちがその前に見せていたパフォーマンスは気がかりである。日本の2ゴールが確かな理由で持って生まれたのと同じく、ウルグアイの二度にわたる同点ゴールにも確かな理由が存在していた。

植田が犯したPKについては、接触があろうとなかろうと、絶対に生じてはならない場面だった。三好のゴールから5分も経たない内に決められたあのゴールは、日本にとっては自らの足に発砲したようなものである。日本の守備陣は、ウルグアイの陣地から放たれたボールがバウンドした後にペナルティーエリア内に入り込むことを許した。そうした類のミスは、戦術的規律を一気にかき乱す。日本の選手たちの有り様と関係付けることもできる、雑なミスと言えた。

そして日本の歴史的勝利がその手からこぼれてしまった2失点目は、またもやセットプレーから……。チリがCKからのエリック・プルガル弾によって日本を大量得点で葬り去るための口火を切ったとしたら、今回ウルグアイはニコラス・ロデイロのCKからホセ・ヒメネスが決めた。アトレティコ・デ・マドリーのセンターバックは、冨安健洋を先んじる動きで持ってネットを揺らしている。日本はいつだって、空中戦で失点の予感をふんだんに漂わせる。

■Un empate optimista（楽観的になれる勝利）

(C)Getty Images

日本の守備は、残念ながら惨めな現実であるとしか言いようがない。とはいえ、実質的にU-23のチームである彼らが、威厳あるウルグアイを相手に負けなかったことは、言葉通り大きな一歩である。彼らはどんなチームを相手取っても、怖気付くことなく競い合っていけるクオリティーを有している。個人でも集団でも、修正すべき過ちを何度も繰り返しているとしても、だ。

日本のパフォーマンスがチリ戦から改善されたことは間違いない。今回の引き分けには確かな手応えがあり、森保監督の確かな仕事ぶりを確認できた。次のエクアドル戦で勝利を収められるとすれば、日本の若い世代にとっては、さらなる成長を果たすための大きな糧となるはずだ。

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