2019_06_18_kubo©Norio Rokukawa

【徹底分析】安定した、不安定―。日本代表「3つの欠陥」をスペイン紙試合分析担当が紐解く

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柴崎岳とコパ・アメリカに出場する代表選手2

コパ・アメリカ2019の初戦に臨んだ日本代表は、チリ相手に0-4と大敗を喫した。大会2連覇中の王者に、まざまざと力の差を見せつけられたのである。

試合序盤こそ攻勢を仕掛け、決定機を作る場面もあった。しかし、前半終了間際という最も警戒すべき時間帯にセットプレーから最初の失点を許すと、54分に2点目を奪われる。その後前がかりとなって攻めたが、その空いたスペースを使われてさらに2失点。20年ぶりに参戦した南米王者を決める大会において、東京オリンピック世代中心のメンバーは厳しい洗礼を受けたのである。

では、なぜ森保ジャパンは大敗を喫することになったのだろうか。今回は、スペイン大手紙『as』で試合分析担当を務めるハビ・シジェスに、試合の分析を依頼。選手たちが発揮した長所、そして「3つの欠陥」を紐解いてもらった。

文=ハビ・シジェス (Javi Silles)/スペイン紙『as』試合分析担当
翻訳=江間慎一郎

■機能した攻撃

2019_06_18_kubo©Norio Rokukawa

飛び切り若い日本代表のコパ・アメリカ初陣は、今世紀における日本フットボールの長所と欠点を反復するものとなった。森保一監督が率いる、まだあどけない若者たちは屈託なく、創造的であり、ボールを保持するとそのテクニックの高さと絶え間ない動きを披露していた。しかしながら、ペナルティーエリア内での決心のなさ、空中戦の弱さ、最後まで改善されることのなかった戦術の乏しさによって、厳しい罰を受けてしまった。

チリ代表は2015、2016年とコパ・アメリカ連覇を果たした頃よりも力が衰えているとはいえ、それでも厳しい相手に変わりはない。日本はまるで大型トラックのような彼らに簡単に好機を許してしまい、最後にはそのタイヤに踏み潰されている。

日本は4バックを敷いて、MFでは中央に柴崎岳&中山雄太、サイドに前田大然&中島翔哉を配置。久保建英がチリのDFとMFのライン間で動き、上田綺世が最前方でプレーした。攻撃時に1-4-2-3-1、後退する時には1-4-4-2となる変則システムで、なおかつ攻撃の選手たちはのべつ幕無しにポジションを交換していた。チリは序盤、日本の極めて高いプレーリズムによって試合に入り込めず、捗々しくない状況でまず彼らの勢いを削ぐことに努めたが、まさに日本のフットボールの強みが表れていた時間帯だったと言えるだろう。

日本のビルドアップは手入れがなされたものだった。攻撃のシークエンスでは、森保監督とそのコーチ陣がしっかりと指導をしていたことがうかがえる。両サイドバックが中盤まで上がり、柴崎が中央で建築技師としての役割を請け負い、中山が柴崎をサポート。きっちりと段階的な配置がなされてパスコースを確保し、そしてレアル・マドリー移籍が発表されたばかりの久保が快い印象を与えるプレーを披露した。さらには久保と同様に中島も、左サイドでプレー理解力の高さを示している。彼の加速、ボールを扱う技術、深い視野を生かしたパスというレパートリーは見事に機能。久保と中島、彼らに加えて好戦的な姿勢を示した前田は、チリの出鼻をくじいた。

チリはかてて加えて、ボールを持ってもアンカーのエリック・プルガルにパスが通らず、満足に攻撃を仕掛けられなかった。日本は誰かが必ずプルガルをチェックしており、チリはセンターバックが攻撃を操縦するほかなかった。日本の戦術は、“ここまでは”間違いなく機能していたのだ。

■3つの欠陥

170619 Japón Chile Erick Pulgar Arturo Vidal Eduardo VargasGetty

だがしかし、森保監督率いるチームの膨らんだ期待は、次第に萎んでいくことになる。日本のボールロスト時の無秩序ぶりは、いまだに、あまりにも目につくものだった。彼らの相手はもちろんのこと、自分たちすら過剰に揺り動かすような攻撃、そしてその攻撃を仕掛ける選手たちの特徴は、多くの場合は適切な守備を実践する上で不都合なものとなる。日本は過去の試合でも見られた根本的な「3つの欠陥」を、このチリ戦でも露呈してしまった。

日本は高い位置でプレスを仕掛けることを決して止めないが、しかしそのプレスは連動したものではなく、てんでに相手選手を追い回す。攻撃と守備の選手たちの間にはスペースが広がり、5選手のブロックが二つずつ存在するような有様である。DFラインがついてこないことによって柴崎と中山は中央に取り残されていたが、チリはアルトゥーロ・ビダルを指揮者として、そこに空いたスペースでのプレーを時間が経つ毎に的中させていった。日本の2ボランチが自分たちの背後で暗躍するエドゥアルド・バルガス、そして両ウィングを監視することはかなわなかった。

以上が日本の一つ目の欠陥だが、二つ目の欠陥はサイドで混乱をきたしたことである。チリの大量得点は、右サイドでの優位性を生かせたことを抜きに語れない。中島は中央に寄り過ぎるきらいが、対面するチリの右サイドバック、マウリシオ・イスラのオーバーラップに注意を払っていなかった。そうならば、杉岡大暉の仕事量は彼だけでこなせるものではなくなってしまう。チリの2、3ゴール目は、イスラの貢献抜きにしては生まれ得なかった。

そして最後の欠陥は、ペナルティーエリア内の支配である。日本はまたもや、そこで断固たる決意を有していなかった。そこで決断できていれば、高い集中力でもって先んじたプレーを見せていれば、シュートを許すことはなかったはずなのだ。サイドからクロスを放たれた時にはニア、ファーサイドのどちらの守備も怠ってはならず、セカンドプレーでも集中を解いてはならない。フィジカル、身長的な問題により、空中戦に弱いのは当たり前なのだから。プルガルが打点の高いヘディングシュートによって記録したチリの先制点は、皆の記憶に残っているあのロシア・ワールドカップのベルギー戦で決められた得点と、同じ手口だった。

■安定した、不安定

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0-4での敗戦というのは、確かに厳しい結果だ。が、まだ経験が不足しているこの日本代表からは光を見出すこともできる。彼らは明確な決定機を4回も迎えていたのだ(その内の2回は上田のものだったが、経験不足がたたりゴールという褒賞までには至らなかった)。日本は、攻撃することを決して止めなかった。サイドで2対2の状況を生み出し、有機的な連係と個人技から均衡を崩すことができていた。その攻撃は、とても魅力的である。それは戦術的な過ちと、ペナルティーエリア内での決意及び解決能力のなさと同様に、しっかりと認められるべきだ。

兎にも角にも、日本はアイデンティティーがまだ確立されていないチームというレッテルを剥がすことができていない。安定して、不安定である。このコパ・アメリカは彼らにとって切り立った崖のような大会だが、来年の東京五輪に向けて、大きな学びを得られるものとして臨んでいくべきだろう。

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

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