【徹底分析】久保建英という「日本最高の選手」。西紙分析官が見た森保ジャパン確かな成長と“足枷”

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(C)六川則夫

コパ・アメリカ2019に臨んだ日本代表は、グループリーグでその歩みを終えることになった。

グループC第3節、エクアドル戦では決勝トーナメント進出のために勝利が絶対条件であった。優勝候補ウルグアイを苦しめた第2節(2-2)からは、久保建英のみを変更。そして、その18歳を中心に攻撃を組み立て、15分にはベテランFW岡崎慎司の抜け出しからチャンスを作り、背番号10を背負う中島翔哉のゴールで先制に成功する。しかし、35分に長いクロスに対処しきれずに失点。後半には決定機を数度生み出したが、決めきれず。1-1で引き分け、大会を去ることになった。

それでも、欧州で長らく試合を分析する者の目には確かな成長が映ったようだ。スペイン紙『as』で試合分析担当を務めるハビ・シジェス氏は、今大会の森保ジャパンが見せた戦いぶりに感心している。レアル・マドリー移籍が決まった18歳については「日本最高の選手」と絶賛した。その一方で、日本の成長の足枷は“譲り合いの精神”と言及する。今回は、そんなスペイン人分析官がどのようにエクアドル戦を見ていたのかを紹介する。

文=ハビ・シジェス (Javi Silles)/スペイン紙『as』試合分析担当
翻訳=江間慎一郎

■La conviccion intacta de Japon(日本の確信に傷はなし)

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チームの実情をテストする場所――もし、日本代表が今回のコパ・アメリカをそう見立てていたならば、しゃんと顔を上げて大会に別れを告げられる。チリとの試合で味わったほろ苦い大敗(0-4)は、ウルグアイ、エクアドルとの戦いを終えた後では、もはや遠い過去の出来事のようだ。

日本は両ペナルティーエリア内での自信のなさを、最後まで埋め合わせることができなかった。しかし彼らが披露したパフォーマンスは、まるで聖火のように、東京五輪に向けて希望を灯している。このエクアドル戦では、大会を通じての成長が確かに感じられた。エクアドルがチリやウルグアイと比べれば与し易いチームであることは間違いない。が、それでも日本は、ボールとともにプレーする喜びを忘れることなく、より一枚岩のチームとなっていた。彼らの価値は、結果のみに否定されている。

森保一監督はウルグアイ戦でも先発させた10人に久保建英を加えたが、このスタメンは間違いなくパフォーマンスの向上を導いた。最も決定的な役割を務められるのは久保で間違いないが、とはいえ日本は彼の存在だけで輝いたわけでは、決してなかった。

■久保という日本最高の選手

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日出ずる国のチームが見せたビルドアップは良質なものだった。守備時のエクアドルは自陣に後退することなく、日本の攻撃の構造を破壊しようと前からプレスを仕掛けたものの、川島永嗣のぞんざいなミスを除けば、それを巧みにかいくぐっている。彼らの後方からのビルドアップの方法は2つ存在し、その軸は柴崎岳(83本ものパスを成功)が担っていた。実践したビルドアップの一つは、植田直通と冨安健洋のセンターバックが横に開いてサイドバックの位置を押し上げ、その間に柴崎が入り込む、いわゆる「サリーダ・ラボルピアーナ(アルゼンチン人監督ラ・ボルペ流の攻撃スタート)」。また一つはセンターバック2枚の位置はそのままに、柴崎がその前方でプレーすることでトライアングルを形成し、最終ラインを押し上げていく方法。日本はこの二通りのビルドアップによって、エクアドルのプレスをかわしていった。

日本がそこから仕掛けたのは、垂直の攻撃である。森保監督のチームは、試合のリズムを支配するためにパス数やポゼッション率を膨れ上がらせようとはしない。彼らの意思は、相手のDF&MFのライン間に入り込んで、ワンタッチを重視した鋭利なプレーを見せることにあった。ライン間でボールを受け取る役目を引き受けたのは、前線から下がってくる久保だったが……、彼については並外れているとしか言いようがない。レアル・マドリーの新加入選手は、まだ完全には加工されていない、極めて純度の高いダイヤモンドであり、全世界のマドリーファンが完全に魅了されてしまっている。そんな久保に対しては、植田、冨安、そして柴崎からパスが供給され、久保からは中島翔哉、三好康児にボールがつなげていった。過剰にテクニックを見せつけることなく、スピードを落とすことなく実行されるこのシークエンスは、この試合中に何度となく繰り返されており、運の要素を多分に含みながらゴールまでたどり着こうとしていた。

ピッチの中央でボールを受ける久保は、何かをやってのけると感じさせてくれるが、彼ほどに期待を生じさせる選手は世界を見渡してもそうはいない。中島のゴールは、久保が中央でボールを受けて攻撃を形づくったことで生まれ、(40分の)中島のミドルレンジからのループシュートに関しても同じ経緯をたどった。そして試合終了間際にも同じコンセプトの攻撃が繰り返されたが、久保のプレーは圧巻そのものである。巧みなライン間のポジショニングでボールを受け、そのポジショニングとテクニックの妙で前を向いて、ギリギリを突いたアシストを実現……。上田綺世、中島、前田大然は、彼からゴールを決める権利を享受していたのだった。

久保が日本最高の選手という事実は、彼らの攻撃におけるほかの長所をかき消すものにならない。三好はウルグアイ戦より目立たなかったとはいえ、それでも快いプレーを披露。とりわけ素晴らしかったのは前半で、ポジション取りが抜群だった。エクアドルのサイドバック、センターバック、中盤の間で、一体誰かその前進を止めるのかという問題を彼らに投げかけ、混乱をもたらしていた。三好に加えて久保と岡崎慎司の慌ただしい動き、岩田智輝の高いポジション取りは、日本の戦術的駆け引きを洗練されたものにしている。

その一方で、逆サイドでは杉岡大暉と中島が似たような形で攻め込もうとしたが、しかし中島は「あまりに自由」だったことでチームへの貢献が減少していた。彼は、またもその光と陰を見せたのだった。中島という選手のクラスと、ドリブル突破の能力に裏打ちされた勇敢さについては、議論の余地など一切ない。が、どうプレーを終わらせるのかという選択で、血迷ってしまうことが多々ある。

■足枷

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そして守備面に関して、日本はチリ、ウルグアイの試合で露呈したような生易しさを捨て去っている。森保はエクアドルのボール保持時に、各ラインが規則正しく動き、全ラインがコンパクトにまとまる1-4-4-2を保っていた。久保と岡崎が急先鋒として仕掛けるプレスは、エクアドルにサイドにパスを出すことを強要。そしてサイドでは密集してボールを奪うための用意がなされており、各選手が高いインテンシティーを発揮して相対する選手にしっかりと寄せていた。

テクニックに乏しいエクアドルの選手たちは、サイドチェンジによって日本のミスを引き出そうとしたものの、日本はセンターバックとボランチがロングボールをことごとく跳ね返し、セカンドボールに対しても余念なく人数を集中させた。こうなれば、エクアドルに残る適切な攻撃の手段はカウンターのみとなるが、今回の日本の後退の動きは失望させるものにならなかった。板倉滉と柴崎は中央とサイドを的確にカバーし、植田と冨安がアグレシッブな姿勢によって24回もボールを取り返している。

日本が犯したミスは、集団としてのプレーではなく、個々人のものに集中していた。メナが決めたエクアドルのゴールは、岩田が飛び上がるタイミングを間違えなければ、絶対に生まれ得るものではない。空中戦は、やはり日本のアキレス腱である(大会を通じての勝率は45%にとどまる)。加えて、攻守が激しく入れかわった試合終了間際には、守備に力を削ごうとせず、各選手のポジショニングがでたらめなものになってしまったが、それは引き分けが意味を持たない状況では致し方なかったと言えるだろう。

日本はコパ・アメリカを去ることになった。だが大会を通じて右肩上がりにパフォーマンスを上げていったことには、手応えをつかんでいなくてはならない。チリ戦で大敗を喫しながらも、彼らはレベルという名の階段を確かな足取りで上っていた。日本の最大の強みとなるのは、ゲームプランである。そのプランは明瞭であり、ピッチに立つ選手たちはちゃんとそれを履行できる。あと必要なのは……、日本に受け継がれているという“譲り合いの精神”を、芝生の上では捨てることか。決定機を逃すこと、パスの方向が狂うこと、守備で単純なミスを犯すことは、対戦相手に命を捧げることと同義だ。アジアの外の大会でそうした精神を見せたとしても、ただ一方的に譲っているに過ぎない。彼らがさらなる躍進を遂げるためには、それが足枷になっているようにも思える。

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

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