バルセロナがバルセロナを一筆書きした、といったところだろうか。ボールを大事にするプレーをいまだ誇ろうとする彼らには、今なおリオネル・メッシという「解」がいる。背番号10はチャンピオンズリーグ準々決勝で6年にわたりゴールにありついていなかったが、ようやく呪いを解くことに成功し、チームを4年ぶりにベスト4へ導いた。傑出したパフォーマンスを今一度披露して、現在進行形で紡がれる史上最高級の伝説のサイズを一回り大きくしたのだ。スールシャールが仕掛けた勇敢なゲームプランをメッシが狂わせ、バルセロナは活路を見出したのである。
■立ち上がり、思いがけぬユナイテッドの攻勢
(C)Getty Imagesマンチェスター・ユナイテッドが立ち上がりに示したアグレッシブな姿勢は、確かに驚くべきものだった。スールシャールはオールド・トラッフォードでのファーストレグで使用した1−3−5−2を断念して、1−4−3−3に賭けている。リンガード、マルシャル、ラッシュフォードの起用は、あからさまなほどに意図がみなぎっていた。つまりは前からプレッシングを仕掛け、カウンターからゴールを陥れようとする意図が。実際的に、序盤のパフォーマンスは暴君のようですらあった。ボールを持って展開した最初の攻撃で、ラッシュフォードのシュートがクロスバーを直撃……このアタッカーはピケ&ラングレの間でマークを切り抜ける動きを見せ続けていたが、それはどんなセンターバックにとっても厄介な動きであり、効果的だったち立ち上がりに見せたユナイテッドの攻撃の巧みさは、今シーズン通じてほとんど見られなかった類のものだった。バルセロナは望み通りのプレーリズムを得られず。リンガード、マルシャル、ラッシュフォードはバルセロナ中盤の背後に位置して、ただひたすらにテア・シュテーゲンの守るゴールを目指したのだった。
スールシャールのチームは、守備面でもしっかりとした対策を講じている。ファーストレグで、バルベルデのチームはいつも通りブスケッツがピケ&ラングレの間に下りてきて攻撃を組み立てたが、ユナイテッドはパスコースをほぼ制限することがなかった。しかし今回は、リンガードがブスケッツ、ラッシュフォードとマルシャルがピケとラングレを追い回して中央を封鎖。バルセロナはサイドを逃げ道として、テア・シュテーゲンのパスの送り先はジョルディ・アルバとなった。
■流れを変えたのは、やはりメッシ
Gettyバルセロナはユナイテッドの勢いにリアクションを見せることができなったが、そんなときのためにメッシがいるのだ。プレーで迷子になってしまうならば、まずゴールを決めてしまえばいい。16分、バルセロナの高い位置からのプレッシングはヤングのボールロストを導いて、そこからメッシが美麗な先制点を記録。これで周章狼狽していたバルセロナは落ち着くことができ、片やユナイテッドはそれまでの努力が水泡に帰したために一気にしぼんでいった。
ここからユナイテッドの圧力は下がり、リンガードに追い回されなくなったブスケッツは中盤でボールを配り始めることが可能に(この試合では99本のパスを成功させている)。そうして、バルセロナの中央突破が牙をむいた。セルジ・ロベルト&ジョルディ・アルバの両サイドバックがまるでウイングのように振る舞い、対応するリンデロフとヤングを釘づけにしつつ、そしてメッシとコウチーニョがマクトミネイとポグバの背後、DFとMFライン間に入り込む。メッシとコウチーニョはルイス・スアレスの前線での巧みな駆け引きもあって、そのスペースで優位にボールを受け取ることができた。20分、この位置的優位性を獲得した攻撃にデ・ヘアのミスが相まって、メッシが追加点を獲得している。
■“バルセロナらしさ”を取り戻したバルセロナ
(C)Getty Imagesそこからのバルセロナは、まさにバルセロナだった。合計スコアを3−0として余裕を得た彼らは、80%のポゼッション率を実現。もはや問題は勝つことなどではなく、“いかにして勝つか”にすり替わっていた。そしてそれは「メッシの気の向くがままに」とも同義だった。戦術眼的にも優れる彼が行うことは、ほぼすべてが正解となるのだ。この神々しい10番は、すべての攻撃を司っている。タメをつくることが必要な場合にはタメをつくり、攻撃を加速することが必要な場合には加速させた。ブスケッツ、ラキティッチ、アルトゥールで構成される中盤との連係によって主導権を維持しつつ、ユナイテッドをただひたすらに疲弊させていったのだ。
バルベルデとともにトランジションをより重視するようになったバルセロナだが、この試合ではメッシの影響によって、中央、サイドと縦横無尽にパスをつなぎ、ピッチを幅広く使う以前の姿を取り戻している。そのようにして生まれたのが、コウチーニョの3点目だ。61分のこの場面では、誰もが認知するメッシ―J・アルバのホットラインの新たな可能性も見えた。中盤のメッシが浮き球のパスをJ・アルバに送り、J・アルバがそれをワンタッチで中央に折り返し、本来は10番がいるべき場所に位置していたコウチーニョがミドルを突き刺した。この攻撃の展開は、バルセロナにとって新たな武器となるものかもしれない。
ユナイテッドは、必死さや覚悟ではなく、ただただ純粋にフットボール的に勢いづくバルセロナを前に崩れ落ちた。メッシは手をつけられる存在ではなく、他選手とのデュエルにも挑めず、すべてのレーンを明け渡した。立ち上がりの鍵を握ったリンガード、マルシャル、ラッシュフォードは、もはや守備面で貢献できなくなっていた。0−3とされてからスールシャールが行ったことと言えば、マルシャルをダロトに代えて、すでに水が漏れまくっている守備の穴を防ぐこと……。彼らはチャンピオンズで再びその名を深く刻もうとするメッシを前に、ひれ伏すことになったのだった。
やはりこの世界に、彼と比肩できる選手など存在しないのだ。現在のバルセロナが今なお、ほかのチームとは異なる存在であるとしたら、その要因は「リオネル・メッシがいるから」にほかならない。
文=ハビ・シジェス(Javi Silles)/スペイン紙『as』試合分析担当
翻訳=江間慎一郎
▶UEFAチャンピオンズリーグ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう
【関連記事】
● DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
● DAZNが「テレビで見れない」は嘘!6つの視聴方法とは?
● DAZNの2019年用・最新取扱説明書→こちらへ ┃料金体系→こちらへ ※
● 【簡単!】DAZNの解約・退会・再加入(一時停止)の方法を解説 ※
● 【最新】Jリーグの試合日程・放送予定一覧/2019シーズン
● Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です





