【原博実の超現場日記/第15回】川崎F対仙台は手に汗握る大熱戦…選手たちの思いがピッチに溢れる

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Jリーグ副理事長の原博実氏がスタジアムや視察先で見たもの、感じたことを率直に語る『超現場日記』。第15回はJリーグYBCルヴァンカップ準決勝第2戦の川崎フロンターレvsベガルタ仙台を視察した。

武蔵小杉駅の変貌ぶりには驚くばかりだ。等々力陸上競技場へ向かう道中は学校のグラウンドや社宅、空き地がたくさんあったはずなのに、それが今や高層マンションが林立。JR横須賀線や湘南新宿ラインも停車する。それに伴い、駅周辺の風景はすっかり様変わりしてしまった。住みやすい街としてのランキングは急上昇中と聞く。確かに新宿から湘南新宿ラインで20分も掛からない。

しかしながら、武蔵小杉駅の横須賀線口から降りると、街が新しくなっていて迷子になってしまう。本当にお洒落な街になった。方角を確かめながら、レストラン、ショッピング街を抜けて、何とかスタジアムにたどり着いた。

この日は川崎フロンターレとベガルタ仙台のJリーグYBCルヴァンカップ準決勝第2戦が行われる。試合開始の90分以上前でもスタジアム外の賑わいがすごい。

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武蔵小杉が人気の街となった理由の一つとして、フロンターレの存在は大きいと思う。対戦相手である仙台のサポーターも数多く、スタジアムに入る前から良い雰囲気で満ち溢れている。

注目のスタメン、川崎FはU21のメンバーに三好康児を起用。攻撃陣は小林悠を1トップに置き、2列目は右から三好、中央に中村憲剛、左に家長昭博。中盤はエドゥアルド ネットと森谷賢太郎。DFは右からエウシーニョ、奈良竜樹、谷口彰悟、登里享平。そしてGKはチョン・ソンリョン。

対する仙台はGK関憲太郎、DFは右から平岡康裕、大岩一貴、増嶋竜也の3バックで、中盤は右サイドに古林将太、左サイドに蜂須賀孝治。セントラルMFに奥埜博亮と三田啓貴が入り、中野嘉大と西村拓真のツーシャドーに、1トップはクリスラン。

引き分けでも決勝進出が決まる仙台は試合序盤に慎重な戦いを選択するが、ちょっと下がりすぎているように見える。一方、もはや勝つしかない川崎Fは積極的に攻める。

均衡が破れたのは29分。川崎FはU21枠の三好がゴール。

森谷からのパスを憲剛がヒールでつなぎ、三好が冷静にゴールを決めた。

これで2戦合計3-3となり、アウェイゴールの差で仙台は得点を奪いにいかなくてならなくなった。失点直後に仙台が右サイドから崩して同点かというシーン、ところがこれはファウルの判定で仙台は得点ならず、前半が終了する。

そして後半早々、川崎Fが追加点。49分、森谷から走り込んだエウシーニョへスルーパス。ここでエウシーニョのシュートのこぼれ球をまたもや三好が押し込み2-0。川崎Fが決勝進出へかなり優位な位置に立つ。

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しかし、52分にクリスランへの対応が遅れて奈良にイエローカードが提示され、この日2度目の警告で退場に。奈良は前半に1枚目のイエローカードをもらっていたが、この2枚目は不要だった。奈良がセンターバックとしてさらに成長するためには、余計なカードをもらわないことが大事だ。今シーズンはAFCチャンピオンズリーグのイースタンSC戦で不運な判定ではあったかもしれないが退場になっている。もしイエローカードをもらってしまった場合は、退場になる可能性を意識してプレーすることをもっと心掛けてほしい。自らの不在によるチームへの影響を考えなくてはいけない。

ここでACL準々決勝……車屋紳太郎の退場で浦和に逆転負けを喫した悪夢が蘇る。鬼木達監督が交代のカードをどう切ってくるか興味深い。56分、森谷に代えて板倉滉。実はこの日、U21枠でスタメン出場するのは板倉だと思っていた。第1戦では先発起用されながら前半に3失点。ハーフタイムに交代させられた悔しい思いもあるはず。これで憲剛が一つポジションを下げ、4-4-1システムになった。

59分、そんな中で川崎Fから仙台に期限付き移籍中の中野の素晴らしいゴールが決まる。ショートコーナーからだった。

これで一気に仙台が押せ押せムードになる。川崎Fは三好、家長の両サイドはかなり守備の負担が大きくなっている。65分、三好に代わって長谷川竜也。その後、家長のサイドを幾度も破られながら何とか踏ん張る川崎F。仙台はさらに攻勢を掛け、野沢拓也、JFA・Jリーグ特別指定選手のジャーメイン良を投入。両クラブが初の決勝進出を目指して必死の攻防が続く。

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試合を見ていると川崎Fはやはり憲剛が効いていることに気付く。ボールを受けてタメを作る時、そしてカウンターを仕掛ける時にしっかり試合をコントロールしている。

川崎Fの3点目は、その憲剛から生まれた。

このシーンになる前、憲剛がしっかりとマイボールを落ち着かせていた。みんなを押し上げさせてネットへつなぎ、そしてこの長谷川のゴールが生まれた。これでスコアは3-1。リーグ戦ならほぼ大勢が決してしまうところだが、ホーム&アウェイで行われるこの試合は違う。仙台があと1点取ればトータルスコアで同点となり、延長戦に突入することになる。最後まで諦めずにゴールを目指す仙台の必死さは、スタンドまで伝わってくる。対する川崎Fも集中して守る。手に汗握る展開が続きながらタイムアップ。

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ホイッスルがなった瞬間、両チームとも何人かの選手がピッチに倒れこんだ。スタジアムに詰めかけた2万2,385名に気持ちが伝わってくる試合だった。川崎Fサポーターはもちろん、敗れはしたものの、仙台サポーターにも選手たちの頑張りは伝わったはずだ。とはいえ、本日はまさに“川崎劇場”だった。

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帰りも歩きながら武蔵小杉駅に向かうが、この日の天気のように、この日の試合のように爽やかな気分。ルヴァンカップは次がいよいよ決勝。カードは川崎フロンターレ対セレッソ大阪に決まった。どちらが勝っても初優勝だ。みんなで盛り上げていきましょう!

文=原 博実

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