iwata01.jpg©J.LEAGUE

勝利が何よりの良薬。完封劇の磐田、守備的スタイルに見えた可能性

最後まで諦めない姿勢が結実した瞬間だった。ジュビロ磐田は3日に行われた明治安田生命J1リーグ第10節で浦和レッズと対戦し、1-0で勝利。リーグ戦4試合ぶりの白星を収めた。守備的なスタイルに振り切った磐田だったが、そのなかで見えた収穫と課題とは。

■超守備的布陣が奏功

iwata02.jpg

 リーグ戦3連敗のなか迎えた浦和戦の後半アディショナルタイム、浦和MF青木拓矢のバックパスを奪ったロドリゲスが、ドリブルで切り込んで放った一撃がゴールネットを揺らした。

 耐え抜いてつかんだ1カ月ぶりの勝利――。

 正直なところ、勝ち点1でも評価に値するゲームだった。カミンスキーが「今日の勝利はラッキーだったと言われるかもしれない」と話すように、決して満足のいく内容ではなかった。それでもいまの磐田が渇望していたのは、何よりも勝利であり、そこにプライオリティを置くならば、最高の展開だったと言える。

 連敗脱出を至上命題に掲げて臨んだ浦和戦。3試合連続完封中の相手を前に、磐田は大胆な作戦に打って出た。

 本来サイドで生きるアダイウトンを最前線に置き、ロドリゲスと山田大記を2シャドーに配置する3-4-2-1の布陣でスタートしたが、守備時には両ウイングバックが落ちてフラットな5バックを形成。そこに中盤の選手を加えた強固なブロックをセットする超守備的な布陣を組んだ。

 スペースを掻き消して浦和の裏への飛び出しを制御する明確な狙いがあったが、ラインが低くなってしまうリスクも生じた。それでも、開幕節以来の復帰を果たした大井健太郎を中心に、選手間の意思疎通を徹底。最終ラインに入った新里亮が「個人の判断でついていくところはついていこうと。そこに合わせてカバーする動きもスムーズにできていた」と話すように、人数をかけたケアも欠かさなかった。

 また、これまでは守備ラインのバラつきが散見され、つまらないミスから得点を許す場面もあったが、「健太郎君が真ん中に入ったことで、まとめてくれるしラインコントロールも的確にやってくれた」(新里)。大井をはじめとする最終ラインの緻密なコントロールにより、浦和のダイナミックな攻めも影を潜めた。もちろん、まったくピンチがなかったわけではないが、球際の激しさやセカンドボールへの反応においては90分を通して磐田が勝っていた。

■攻撃面では課題が浮き彫りに

iwata03.jpg

 一方で攻撃面では課題も見えた。ビルドアップ時に無理な組み立てを行わず、前線のアダイウトンとロドリゲスに当てるシンプルな手法に出た。奪ってからの速攻、すなわち高速カウンターで鋭さを見せたが、それ故にバリエーションの少なさを露呈。単調なフィニッシュに終始してしまった。

 シュート数では浦和を上回ったものの、最前線でのプレーを好むロドリゲスと、サイドで仕掛けることを得意にするアダイウトンのポジショニングにズレが生じたことで、危険なエリアでのプレーが少なかった。名波浩監督もそのズレを指摘する。

 「特にアダイウトンが真ん中にいてロドリゲスが左にいる時が、一番チャンスが出るのかなと思ったのですが、半分とは言わないですけど3分の1がその逆、アダが左サイド、ロドがセンターフォワードになってしまって、その時はなかなかタイミングも合わずに行きづらかった」

 守備に重きを置いたことで、攻撃が単調になった部分もあるが、選手同士の距離感やポジショニングが定まれば、守から攻へのシフトチェンジはスムーズに切り替えられるはず。相手のミスから奪った1点で終えたものの、「勝ちゲームが無いなかでも、内容の良いゲームが増えてきていたのは事実」と、指揮官からは今後の戦いを悲観するような言葉は一つも出なかった。

 それは選手も同じだ。カミンスキーは「改善しなければいけないことはまだいっぱいあるけど、この一勝でチームに自信が戻ってきたことは確か」と話せば、決勝点のロドリゲスも「前半と後半を通してアグレッシブな姿勢を見せることが出来た」と胸を張る。

 名波監督は言う。「まだまだサポーターへのみそぎは終わっていない」と。試合後、劇的な勝利に感極まって涙を流すサポーターもいた。「選手はもちろん、サポーター、クラブスタッフにも非常にモヤモヤした時間をたくさん過ごさせてしまった」からこそ、勝ちにこだわる姿勢はめっぽう強い。

 浦和戦で収穫と課題は明らかになった。この完封劇を次の戦いにどう生かすか。勝利が何よりの良薬――。キッカケをつかんだサックスブルーが、意気揚々と逆襲に転ずるときがきた。

取材・文=大西勇輝(Goal編集部)

▶Jリーグ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【関連記事】
DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZNが「テレビで見れない」は嘘!6つの視聴方法とは?
DAZNの2019年用・最新取扱説明書→こちらへ ┃料金体系→こちらへ ※
【簡単!】DAZNの解約・退会・再加入(一時停止)の方法を解説 ※
【最新】Jリーグの試合日程・放送予定一覧/2019シーズン
Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です

Goal-live-scores
広告
0