史上2クラブ目となる“3連覇”を目指す川崎フロンターレと、2007、08、09年と前人未到の3連覇を果たした鹿島アントラーズ。両者が等々力陸上競技場で行われる明治安田生命J1リーグ第2節で激突する。川崎Fは開幕ゲームのFC東京戦でドロー発進。鹿島はホームで大分トリニータに黒星を喫した。
リーグ初勝利を懸けた一戦を前に『DAZN(ダゾーン)』では、川崎F、鹿島それぞれのOBにインタビューを実施。ここでは2004年から13年に鹿島のセンターバックとしてプレーした岩政大樹氏に、当時の鹿島の強さ、リーグ王者奪還のためになすべきこと、そして試合の見どころを聞いた。
■チームのためか、個のためか
――第2節の川崎フロンターレ対鹿島アントラーズに向けて、まずはJリーグ最多タイトルを誇る鹿島の強さの秘訣について岩政さんのご意見を伺えればと思います。
最初にジーコさんが来られてから、鹿嶋という地域で勝ち続けることがチームの存在意義になり、そこにチームのスタンダードが置かれたことが大きいんでしょうね。他のチームも勝ちたいとは思っていても、『勝たなければいけない、勝つべきだ』という意識まで行くのは非常に難しい。でも鹿島の場合は、最初にそれをスタンダードにすることができたのが大きかったと思います。
――日々の行動では具体的にどのようなことを求められていたのでしょうか?
勝つことがすべてなので、そこからいろいろなことを判断します。サッカーはチームスポーツですから、『当然チームのために』ということになります。試合が終わった時、あるいはシーズンが終わった時に、一番高いところにあるものを勝ち取るということを踏まえて行動を選んでいくのは、すべてに共通することでしたね。
――練習でも勝つための準備をしていた、と。
当時は僕にとって当たり前のことで、それが変わったものだと捉えてはいませんでした。勝つために練習しただけですね。
――他のOBの方にお話を伺うと、練習からすごくガツガツしていて、少しケガのリスクは高くなるけれども、常に本番のような雰囲気を作っていたから、試合にもスムーズに入れたそうですね。
よくそう言われますけど、僕は半信半疑です。他のチームがガツガツしていないわけではないはずですし、アントラーズも毎日ガツガツしていたわけではありません。僕がガツガツした時に浮いてしまうような状況になった時もありましたし。チームが勝っているからそういうふうに取り上げられるだけであって、どのチームでも頑張っている時は頑張っているし、そこに差があるとは思いませんね。
――そうなんですね。
どうしてもプロとして、個人事業主として、生きていかなければいけないのですが、『それはチームのためというところから逆算できているのか』、それとも『個のためになってしまっているのか』という判断は、チームの各所で行われます。それが個人のためにつながってしまうものであれば、良くないと判断されることはあると思いますね。
©J.LEAGUE■勝ち続けるのはやはり難しい
――鹿島の強さという部分で、岩政さんの印象に残っている試合はありますか?
やっているほうは強いと思っていないんですよ。むしろ失っているタイトルのほうが多いわけで。周りがタイトルを獲ったことを思い出してくれても、毎年三冠ずつあると考えたら、失っているタイトルのほうが多い。そうすると僕らは強いと思っていないんですよ。3連覇中も強いと思ったことがないですよ。
悔しかったのはたくさんあります。2012年はチームとしてうまくいかなくて、ジョルジーニョが監督だった年ですけど、リーグ戦は11位で終わりました。ただ、ナビスコカップの決勝で清水エスパルスと対戦して、柴崎(岳)が2点取って勝った試合は印象が強いです。清水には若い選手たちもいて勢いがあったのですが、あの試合で昌子(源)が左サイドバックで起用されて、大前(元紀)をしっかり抑えて。高卒2年目の選手たちとタイトルを勝ち取って、鹿島にとっては2007年から6年連続のタイトル獲得になりました。
――その間、さまざまな苦労があったと思います。
2007年から2008年にかけては、僕らもまだふわふわしていたんです。でも、その後の2009年から2012年ぐらいは、一発勝負の試合やシーズン終盤のリーグ戦で勝ち切れる強さみたいなものがあって、自信とまではいかないけど、行けそうだという感覚になっていきました。だから、リーグ戦で低迷していても、決勝まで行ってしまえば、みたいなところはあって。実際それで勝った印象はありますね。
――鹿島で勝利やタイトルを常に求められて、プレー面やメンタル面で難しかったことはありますか?
一つ目のタイトルを獲ることは難しかったですけど、やはりそれを続けていくことは、より難しかったですね。負けることで生まれるものがあり、勝つことで生まれるものもあって。1チームしか勝てないわけですから、そこに至るまでの間にチームにも浮き沈みがあり、もう一度優勝まで向かっていくのはやはり難しいです。どのチームも何年かに1回くらいは勝つことができても、勝ち続けるのはやはり難しいですからね。
――昨シーズン、鹿島はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のタイトルを獲りました。ACL優勝の意味について、岩政さんはどのように捉えていますか?
鹿島の歴史上、これまで獲ったことのないタイトルだったので、やっとそこに到達したという意味ではOBとして非常に嬉しかったです。選手たちがよくやったと思っています。
――最近は植田直通選手がセルクル・ブルージュ(ベルギー)、昌子源選手がトゥールーズ(フランス)といったように若手選手が海外移籍していくこともあります。その中で注目している若手の選手は?
注目となる選手は、やはり安部(裕葵)です。彼は可能性のある選手なので、もう少しいろいろなことを整理してあげられたら結果を残せると思います。昨年はそれほど得点を取っていないですけど(編集部注:リーグ戦2得点、天皇杯1得点)、ゴールやアシストに結び付けられる選手にならないと、いずれ行き詰まりますから。若い時にいいプレーをしてもてはやされても、20代半ばになってくると、結果を出せない選手は他の選手に取って代わられていくので。結果に結び付けられるシーズンになるか、注目しています。
©J.LEAGUE■勝つことから逆算したプラン
――川崎Fが2連覇を果たした中、ACL王者の鹿島がリーグタイトルを奪還するためのポイントを挙げていただけますか?
まず、鹿島だけではなく、川崎F以外のその他のチームが包囲網を作って川崎Fを止めることが大前提になるでしょうね。力は抜けていますから。第1節で川崎Fと対戦したFC東京のように、各チームがしっかりと挑んで勝ち点1でも得られると、川崎Fの勝ち点は伸びなくなります。タイトル争いを混戦に持ち込んで、シーズン終盤にその集団の中にいることができればいいですよね。ただ、川崎Fが夏過ぎぐらいまで力を存分に発揮できると、順位に反映されてしまいます。やはり連覇しているチームは、連覇しているだけの理由が必ずありますから。
――第2節・川崎F戦で、鹿島が勝つためのポイントは?
鹿島が具体的にどのような挑み方をするか。『気持ちで』とか、『チャレンジャーとして』とか。『勝つために』とはいくらでも言えますが、それだけで収まるのであれば川崎Fの連覇はなかったはずですから。具体的なプランをどのように落とし込んで川崎Fに対峙していくか。ファーストプランでうまくいくのか、もしうまくいかなければセカンドプラン、サードプランをどうするのかが問われる試合になるでしょうね。
――随時、試合の状況に応じて変化していく、と。
ファーストプランでうまくいくかどうかは分かりません。川崎Fは押し切ってくると思います。鹿島としては勝つことから逆算して、いろんなプランを用意しておかないと勝てません。
――川崎Fの要注意人物は?
人物、ではないでしょうね。そもそも川崎Fは、(ディエゴ)マラドーナのような選手を置いて、その選手とそれ以外というようなチーム作りをしていません。チームとしてのテンポ、パスのスピード、展開の速さで勝負してくるので、誰か一人という捉え方はしていないでしょうね。
――2連覇を達成した川崎Fは、他のチームよりも一歩先を走っている印象を受けます。
昨年、鹿島はACLのタイトルを獲り、一昨年の浦和もそうですけど、ACLのチャンピオンではありますが、日本のナンバーワンは川崎Fですし、そこを履き違えてしまうと、いつまでも川崎Fに覇権を譲る状況が続いてしまいます。
――なるほど。
川崎F以外のチームは割り切って、泥くさく勝ち点1を持っていき、リーグを団子状態にする。そして、シーズン終盤に差し掛かったとき、その集団に残っていればチームの中には成長した若手もいるはずなので、そこから勝負していく。そういう考え方じゃないと、川崎Fの連覇を阻止するのは簡単ではないでしょうね。
■試合情報
明治安田生命J1リーグ第2節
3月1日(金)19:00キックオフ
川崎フロンターレ vs 鹿島アントラーズ(等々力)
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