ヴィッセル神戸MFアンドレス・イニエスタとサガン鳥栖FWフェルナンド・トーレスが『DAZN(ダゾーン)』の企画で初の対談を行った。トーレスは1984年3月20日、イニエスタは1984年5月11日生まれの同い年。今年で35歳になる。第一印象や記憶に残っているプレー、スペイン代表の強さ、そして迎える直接対決について語り合った。
■初めて会ったのは12歳のとき
トーレス:アンドレスとの対談は初めてじゃない?
イニエスタ:そうだね。
トーレス:初めて会ったのはブルネテの大会だったかな。
イニエスタ:12歳だったね。
トーレス:君はアルバセテで有名になって。そのあとバルセロナに行って、僕はアトレティコに行った。国際試合デビューもこのころだね。
イニエスタ: 14歳くらいでお互い代表になった。12歳から今まで長い付き合いだね。
トーレス:一緒にたくさんのことを経験してきたね。U-17ワールドユースは勝てなかったけど、僕にとっては素晴らしい経験だった。あれからいいことも悪いこともあったけど、困難に立ち向かうことで絆が強くなる。いい時代を一緒に過ごせてラッキーた。
イニエスタ:U-19欧州選手権でも優勝したし、ともにいろいろな経験をしてきた。
トーレス:今もだね。
イニエスタ:クラブではたくさん対戦したし、代表ではいろいろな大会で一緒に戦った。僕たちはほとんどスタメンで楽しくプレーできた。ユーロもワールドカップもすごくいい思い出だ。U-19で欧州を制したし(2002年U-19欧州選手権優勝)、君とは無数の思い出があるよね。たくさん練習もしたしね。数えきれないよ。
2003年ワールドユースも忘れられないな。何年も一緒にやってきたから無数の思い出がある。
トーレス:やっぱりタイトル獲得が印象的だよね。U-16は負傷した君のために勝ったし、U-19は素晴らしい大会だった。特にワールドカップやユーロでの優勝の瞬間は心に残っている。
イニエスタ:スペイン代表はユーロとワールドカップで3大会続けて優勝した唯一のチームだからね(※)。
トーレス:今でも勝って当然と思われている。だから負けたら悲劇だ。選手たちは簡単そうにやっているけれど、実際は難しい。僕たちへのプレッシャーは理解されにくい。
イニエスタ:そう、そのとおりだ。
※二人はスペイン代表として、2008年のユーロ制覇、2010年の南アフリカW杯で同代表W杯初優勝に貢献、2012年にはふたたびユーロを制し、主要国際大会3連覇を果たした。
■日本で一緒になったのも運命かもしれない
――お互いの印象的なプレーは?
イニエスタ:昔からたくさん覚えているよ。僕よりも得点しているしね(※)。いろんな瞬間があって、ゴールがあって、その時々のプレーが印象に残っているよ。スペイン代表では、2008年のユーロ決勝でドイツから決めた先制ゴールかな。
敵としては、君がアトレティコにいたときのゴールには苦しめられたよ。バルサはたくさんのゴールを決められたからね。とにかくこれまでのキャリアすべてが印象に残っている。長い間、最高峰にいるのは大変だからね。
トーレス:僕はワールドカップ決勝のゴールに感動したよ。延長後半の難しい状況で決めてくれてた。君がゴールを決めて僕たちは優勝したんだ。感動したよ。あのゴールが多くの人を幸せにしたんだ。本当に感謝しているよ。
※イニエスタ:スペイン代表国際Aマッチ136試合出場13得点、トーレス:スペイン代表国際Aマッチ110試合出場38得点
――お互いの長所と短所を聞かせてください。
イニエスタ:欠点について語るのはよしておくよ。それより長所について話そう。フェルナンドは単に優秀な選手というだけではなく、人としても最高だ。選手としても人としても素晴らしい。いい関係を築けてうれししいよ。
トーレス:たくさんの偉大な選手とプレーするチャンスがある。でも、君ほどの親友はいないよ。家族やサッカーへの考え方はもちろん、共通点も多いし長い時間を共有してきた。君の周りにはいつも人がいて、それが君の人柄を証明している。この関係は引退後も一生続けていきたい。日本で一緒になったのも運命かもね。
■スペイン代表、強さの秘密
©Getty Images――スペイン代表の強さの秘密を教えてください。
トーレス:秘密なんてないよね。大事なのは練習と…。
イニエスタ:練習と、謙虚さ、勝利への執念。そして素晴らしい仲間の存在と。スタイルを持って指導してくれる監督も必要だね。そして才能ある選手が重要だ。ただ、すべてがそろっていても、成功しないこともある。
トーレス:真価を発揮するためには勝ち続けたいという強い信念が必要だ。ブラジルW杯では勝てなかったけど、僕たちにはクオリティも技術もあった。ただ、ずっと勝ち続けてきた難しさがあったのかな。
イニエスタ:6年間ずっとだったからね。
トーレス:ユーロとワールドカップの3大会連続優勝は簡単じゃなかったからね。これから僕たちの戦いがあらためて評価されていくと思う。
――そんな二人が明治安田生命J1第2節で対戦します。
イニエスタ:とにかく勝ちたいし、いいプレーをしたい。ホーム初戦だから、特に結果がほしいね。
トーレス:昨年はホームではハットトリックを、アウェイでは勝ち点3を目標にしていたんだよ。最善を尽くしたんだだけど、なかなか思いどおりにはいかなかったな。Jリーグはあまり実力差がないからホームでもアウェイでも関係ないよね。
イニエスタ:理論的にはホーム側が有利に見えるけど、実力が伯仲しているから簡単な話じゃない。
トーレス:なかなか計算できないからね。昨季終盤、神戸はリージョ監督に率いられていいサッカーをしていたし、今年はビジャも加わってチームは良くなるはず。勝てば自信がつくからまずは一歩ずつ進んでいかないと。シーズン全体の目標を設定しながらね。
イニエスタ:一試合一試合が大事だ。
トーレス:エル・グアヘ(ビジャのあだ名)がたくさん決めてくれるよ。でも鳥栖以外だと助かるな。
イニエスタ:彼に言っておくよ。今日はすごく良かった。楽しかったね。
トーレス:今度はオフにプライベートで会いたいね。
イニエスタ:そうだね。
――おすすめの日本の観光地は?
イニエスタ:おすすめしたい場所はたくさんあるよ。まず神戸。僕が住んでいる町。それから奈良、京都、大阪、東京、富士山も。僕にはほかにも行きたいところがたくさんあるんだ。
――最後に、日本のファンに一言
イニエスタ:日本のファンの皆さん、サッカーとJリーグを引き続き楽しんでください。僕たちも最高のプレーをしますので、最高のショーを見てください。
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