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「前科持ち」のエースに“ドリブル小僧”?クセ者揃いのワトフォードが3冠狙うシティに立ちはだかる

12:00 JST 2019/05/17
Troy Deeney Watford Wolverhampton FA Cup

■シティの国内3冠阻止は伏兵に託された

史上最高の優勝争いが繰り広げられた末、プレミアリーグはマンチェスター・シティの戴冠でその幕を閉じた。だが、ペップ・グアルディオラ率いるシティの挑戦はまだ終わらない。今週末、彼らはウェンブリー・スタジアムでFAカップ決勝を戦う。これに勝てば、シティはイングランド史上初となる国内3冠を達成することになり、歴史にその名を刻むことができる。

そのFAカップ決勝の相手となるのが、ワトフォードだ。創設は1898年で121年に及ぶクラブ史を持つが、決勝進出は1983-84シーズンに続いてこれがわずか2度目で、優勝経験はない。そのほかのメジャータイトル獲得歴もなく、文字通りの伏兵としてここまで上がってきたチームである。今季の大会では、6部のウォーキング、ニューカッスル、QPR(2部)、クリスタル・パレス、そしてウォルヴァーハンプトンと、ビッグクラブとの対戦こそなかったが、数々の激闘を制して決勝までたどり着いた。

今季のプレミアリーグでも、彼らは序盤の開幕4連勝が話題になった程度で決してセンセーショナルな躍進を見せたわけではないが、コンスタントに勝ち点を拾いながら安定した力を発揮してきた。惜しくも1987年以来となるトップハーフ・フィニッシュはならなかったが、11位はプレミアリーグ創設後のベストで、開幕前は残留争いに巻き込まれるというのが大方の予想だった故、十分に立派な成績を残したと言える。

■スペイン人が作った“クラシックな”イングランド流

そんなワトフォードの方針はシンプルだ。基本は球際やデュエルに強い選手を多くそろえて、フィジカル勝負。システムは中盤ボックス型のクラシックな4-4-2で、リーグ屈指のクロッサーであるホセ・ホレバスを中心にサイドバックが積極的にオーバーラップを仕掛け、クロス攻勢が攻撃の基本形。格闘家のごとくパワフルな最前線のトロイ・ディーニーにボールを集め、その周囲をジェラール・デウロフェウ(もしくはアンドレ・グレイ)のようなスピードスターや運動量豊富なMF陣が衛星のように走り、ゴールを襲う。そんな古き良きイングランド流とも言えるスタイルが“ワトフォード印”である。

チームをまとめるハビ・グラシア監督はスペイン人で、アーセナルのウナイ・エメリとも親友だという彼は、やっぱり「ポゼッションサッカーが好き」だという。だが、一方で筋金入りのリアリストでもあり、チームを勝たせるためなら理想にこだわることをせず、抱えている選手のベストを引き出すための戦術やシステムを選択できる指揮官だ。

その理念の下、彼はワトフォードを極めて“イングランドらしい”チームに仕立て、プレミアリーグで戦えるチームに変えた。その功績が認められ、彼はウディネーゼのオーナーとしても知られるイタリアのポッツォ・ファミリーが2012年にクラブを買収して以降、監督の首をコロコロとすげ替えてきたチームにあって、初の「契約延長」を勝ち取った監督になれたのだ。

■刑務所帰りのエース、バルサ出身の“ドリブル小僧”

穏やかで謙虚なグラシア監督と信頼関係を築き、一枚岩にまとまるチームのメンバーを見渡せば、なかなかに粒ぞろいでもある。エースでキャプテンのディーニーは、暴力沙汰で「前科持ち」というスネに傷ある経歴の持ち主だが、力強いポストプレーやゴールへの飽くなき欲求、その熱血漢ぶりはサポーターの誰もが認めるところで、彼が好プレーを見せるとファンが異様な盛り上がりを見せる。シティとしては、決して“乗せてはいけない”選手だ。

おそらく決勝で彼と2トップを組むであろう選手が、デウロフェウだ。下部リーグからの叩き上げであるディーニーとは対照的に彼はバルセロナ育ちのエリートだが、ドリブルの美学を追求しすぎるが故に自分の居場所をつかめず、イングランドに流れてきた男。緻密なバルサのパスサッカーには馴染めなかったが、ワトフォードではカウンターの急先鋒として今季、覚醒した感がある。ウルヴズを延長戦の末に3-2で下したFAカップ準決勝の2ゴールを含むここまで公式戦12得点はチームトップだが、その多くがビューティフルゴールばかり。試合によって波はあるものの、ハマれば怖い。決勝では、バルサ時代に彼を初めてトップチームに招集したペップの前で“恩返し”のゴールを決められるか、注目だ。

中盤では、デウロフェウと同じく技巧派として攻撃のアクセントになる元ユヴェントスのアルゼンチン人MFロベルト・ペレイラも好選手だが、質実剛健のチームを象徴するセントラルMFの2人、アブドゥライ・ドゥクレ、エティエンヌ・キャプエのフランス・コンビが要注目だ。

ダイナミックさと繊細さを兼ね備えたドゥクレは、長いリーチを生かしたボール奪取から的確な散らしやスルーパス、さらに飛び出してゴールに絡む動きまでなんでもこなすオールラウンダー。今季はプレミアで5ゴール6アシストをマークし、チャンピオンズリーグに出場するようなクラブも狙いを定めている26歳の俊英だ。彼と補完性抜群のコンビを組むのが30歳のキャプエ。今季プレミアで最多インターセプト(86回)をマークし、チーム最多のタックル数(90回)を記録した彼は、中盤の“掃除屋”としてダーティーワークを一手に担う。その働きぶりは、英『スカイスポーツ』が掲載した「ビッグ6以外から選ぶ年間ベストイレブン」に選ばれたことからもよくわかる。

■オッズ「1.24倍」の王者相手に金星なるか

言うまでもなく、優位なのはシティだ。英ブックメーカー『ウィリアムヒル』の決勝オッズは、シティの勝利が「1.24倍」で、ワトフォードのそれは「11倍」と大きな開きがある。プレミアでのシティの圧倒的な無双ぶりを見れば、それも仕方がないのは事実だ。実際、シティはワトフォード相手に公式戦11連勝中、2部リーグで一緒だった1988-89シーズンを最後に16試合連続で負けていないというデータもある。

ただ、今季プレミアでワトフォードはシティに2戦2敗だったものの、実は紙一重の試合を演じている。12月4日の第15節、ワトフォード本拠地ヴィカレイジ・ロードで行われた試合はシティがレロイ・サネ、リヤド・マフレズのゴールで2点をリードしたものの、ワトフォードは終盤に猛攻を見せ、85分にドゥクレがゴールを決めると、最後までシティに息をつかせず、あと一歩で同点というところまで王者を脅かし続けた。今年3月の第30節、エティハド・スタジアムでのリターンマッチもラヒーム・スターリングのハットトリックでシティが3-1の勝利を収めたが、先制点がオフサイドかどうか微妙なゴールで、それまでワトフォードが好プレーをしていたことを考えるとシティは判定に助けられた感があった。

だから今回も、何が起こるかは決してわからない。“クセ者”ぞろいのワトフォードにも、付け入る隙がまったくないわけではない。クラブ史上初のメジャータイトル獲得に燃える彼らの愛称は「ホーネッツ(スズメバチ)」。“蜂のひと刺し”で絶対王者を慌てさせるところを、ぜひ見てみたいものだ。

文=寺沢薫

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