光もあり、影もあり―。アラベスで輝いた乾貴士、去就不透明も必ず歓迎される存在に【番記者コラム】

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(C)Getty Images

リーガ・エスパニョーラでの4シーズン目は、光もあり、影もあった。

昨夏の移籍市場で、その存在をスペイン全国に知らしめたエイバルを離れ、レアル・ベティスに加入した乾貴士。ポゼッションフットボールを信奉するキケ・セティテン率いるチームは、高いテクニックを有する日本代表MFにとってはうってつけのように思われた。が、蓋を開けてみればベティスのシステマチックなプレーにはうまく適応することができず、リーガ前半戦の出場機会はわずか8試合(375分)にとどまることに。乾はこの状況を受けて、冬にプレーの喜びを取り戻そうと移籍を決意したのだった。

乾が向かったのは、3年にわたって慣れ親しんだスペイン北部のバスク州。エイバルからはわずか40キロしか離れていない、州都ビトリアに拠を構えるアラベスである。

アラベスは今季前半戦、クラブ史上最高の勢いを見せて勝ち点32を獲得したが、その立役者の一人であるイバイ・ゴメスがアスレティック・ビルバオに復帰したために、その後釜として日本人選手に目をつけた。そしてベティスとの交渉を、買い取りオプションのない今季終了までのレンタル移籍によって合意に導いたのだった。

■結婚指輪

2019-02-09-alaves-barcelona

アラベスのプレースタイルは、ベティスとは真逆で、エイバルに近い。ホセ・ルイス・メンディリバルが率いるエイバルが前線からのアグレシッブなプレスからショートカウンターを繰り返すのに対して、アベラルド・フェルナンデスが指揮を執るアラベスは後方に引いてカウンター、またはセットプレーから点を狙う。アベラルドはサイドから崩すことを常とする自チームのカウンターにおいて、乾のスピードあふれるドリブルが大きな武器になると確信していたのだ。

アベラルドの乾への期待は、彼の起用方法にも反映されていた。乾がこれまでプレーしてきた左サイドハーフのポジションは、マラガからのレンタル在籍するチームのエース、ジョニー・ロドリゲスのものであり、そのために乾は右サイドハーフを務めることを余儀なくされた。しかしアベラルドはジョニーと乾のポジションを頻繁に入れ替えることを戦術に含めて、両選手の長所を生かし切ろうと試みたのだった。

乾はアラベスでの冒険を華々しい形でスタートさせた。デビュー戦は1月11日、本拠地メンディソロサで行われたリーガ第23節レバンテ戦(2−0)。アベラルドの読み通り、そのドリブルは相手チームにとって脅威となり、わずかに枠を外れたヘディングシュートなど惜しい場面もつくった。加えて、エイバル時代に養った守備能力も健在で、いつまでパスコースを切りながら我慢して、いつプレスを仕掛けるのかという判断も見事。途中交代の際には、観客からスタンディングオベーションを受けている。

アラベス加入直後の乾は強烈な存在感を放ち続け、絶対にサイズを間違えてはならない結婚指輪のように、チームにぴったりとはまっていた。第26節ビジャレアル戦(2−1)では初得点を決めてチームを勝ち越しに導き、直後の第27節、古巣エイバル戦(1−1)では先制点を記録。乾は古巣との一戦で、元チームメートやメンディリバルに敬意を払い、ゴールを決めたことを謝っていたが、スペインでも評価される誠実な人柄がその場面にしっかりと表れていた。

■去就

2019-01-27 Abelardo Alaves

ただ、それ以降の乾は徐々に存在を失っていく。インターナショナルウィークに一旦アラベスを離れ、日本代表から戻ってくると、そのパフォーマンスは鳴りを潜めるようになり出場時間も減少した。そして第33節バジャドリー戦(2-2)で右足首をねん挫して戦線離脱を強いられると、復帰戦となるはずだった第36節レアル・ソシエダ戦(0−1)のアップ中にケガを再発。結局、ピッチに戻れぬままシーズンを終えている。

乾の将来は現状、不透明となっている。契約上では、レンタル元のベティスに戻ることになるが、退任したキケ・セティエンの後任指揮官が、この日本代表MFをどのように扱っていくのかは分からない。ただ今季限りでアラベスを離れることが決定したアベラルドが後任となる可能性もあり、そうなれば確実に戦力に数えられるだろう。

その一方でアラベスは、レガネスやレアル・ソシエダなどを率いてきたアシエル・カリターノがアベラルドの後任となることが決定。現在は来季に向けて有能なサイドアタッカーを探している状況だが、もし適正な選手が見つからない場合には、乾の買い取りに動く可能性もある。ただし市場価値500万ユーロという乾の買い取りはアラベスにとってハードルが高く、ベティスが値下げ交渉に応じる必要があるだろう。

最終的にリーガを11位で終え、欧州カップ戦出場ではなく残留することに満足しなくてはならなかったアラベスだが、もし乾が同クラブでプレーし続けるとしたら、今度はチームのエース格としての活躍を期待されるはず。というのも、アラベスはマラガに出戻るジョニーを引き留めることができないためだ。果たして、この日本人選手の活躍の場は、どこになるのだろうか。一つだけ言えるのは、アラベスのファンもベティスのファンも、両手を広げて乾を歓迎するということだ。

ベティスファンは乾がアラベスの選手として本拠地ベニト・ビジャマリンに戻ってきた際に温かい拍手を送り、アラベスファンも乾を愛し続けた。日本人選手にとって鬼門であり続けたリーガだが、彼はすでに認められている存在、未来には「良い選手だった」と思い出される存在なのだから。

文=ホセ・ルイス・デル・カンポ(Jose Luis del Campo)/スペイン『マルカ』紙、アラベス番
翻訳=江間慎一郎

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

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