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今季のJで最も活躍した若手選手を決める「NXGN Jリーグ 2021」、最優秀若手選手は湘南GK谷晃生に!

 2016年にGOALグローバルでスタートした「NXGN(ネクストジェネレーション)」。世界で活躍する若手選手を紹介する表彰企画だ。

 GOAL Japanでは今回日本版独自企画として、読者参加型の「NXGN Jリーグ 2021」を開催。今季のJリーグを沸かせた21歳以下(2000年1月1日以降生まれ)のヤングプレーヤーの中から年間最優秀若手選手とベストイレブンを選出した。

 選考にあたっては、サッカージャーナリスト・河治良幸氏、ミルアカこと「MILKサッカーアカデミー」のノーミルク佐藤氏、そしてGOAL編集長吉村美千代がそれぞれベストイレブンを選定、ファン・サポーターによる投票結果を加味して「選出会議」を実施した。ここではその会議の模様を振り返りつつ、次世代のヤングスターを紹介していく。(文中敬称略)

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ベストイレブン選手紹介はこち

■圧倒的な読者の支持を受けた谷 

2021_NXGN_Tani(C)Getty images

 最優秀若手選手賞は湘南ベルマーレの守護神・谷晃生が輝いた。選出にあたっては、鹿島アントラーズMF荒木遼太郎と、谷との一騎打ちとなったが、選出会議でも意見が分かれたため、決め手は読者投票に委ねた。

 「五輪代表の正GKとして、そしてアジア最終予選の日本代表選出、残留争いの中得失点差-4(最終的には-5)」「オリンピックでの活躍は他の追随を許さない。特にPKストップはあの舞台で鳥肌もの」といった多くの声に代表されるとおり、やはり東京五輪でのインパクトが大きかった。得票率では圧倒的なGK部門45.5%と、他ポジションではここまで一人に偏っていない。湘南で実戦経験を積み、五輪代表からA代表へ。「日本の未来を支える守護神」谷は多くのJリーグサポーターからの支持を集めた。

■ベストイレブン

2021_NXGN_Best11(C)Getty images

【GK】
谷晃生(湘南ベルマーレ)

「谷選手は試合に出ていることの価値が大きい。決定的なミスもほとんどない」(河治)。ベストイレブンGK部門、ダントツの1位は谷だが、実は読者投票の2位争いは熾烈で、佐々木雅士(柏レイソル)、鈴木彩艶(浦和レッズ)、梅田透吾(ファジアーノ岡山)がほぼ同数だった。選出会議でも同様な議論となっている。

 「鈴木彩艶選手はライバルが西川周作選手という事実」(河治)。「梅田選手はデータがすごい。Jリーグ全体でもセーブ率はかなり上(※)。そして、谷、鈴木、梅田は2017年のU-17W杯の3人。その時からこの3人のポジション争いのレベルは高い」(佐藤)。また、佐々木に関しては「キム・スンギュ選手の高い壁がありなかなかチャンスは来ないが、出場した試合の存在感は圧巻」との読者からの推薦の声も多く届いた。

 GKは「実戦」が大切なポジションでもある。そのため、若手選手の期限付き/育成型期限付き移籍が積極的に行われているのも特長の一つ。いわてグルージャ盛岡のJ2昇格に貢献した野澤大志ブランドン(←FC東京)、梅田(←清水エスパルス)がそうだ。また谷もガンバ大阪からの期限付き移籍。実戦を積んで成長する、「そのポジティブな理由の象徴が梅田選手だと思う」(河治)。※Jリーグ公式:梅田のペナルティエリア内セーブ率70.2%。

【DF:センターバック】
瀬古歩夢・西尾隆矢(セレッソ大阪)

2021_NXGN_Nishio(C)Getty images

 瀬古は昨年のJリーグベストヤングプレーヤーに選出された実力者。読者からは「安定した守備能力の高さ」「CBのパートナーがさらに年下の西尾選手ということで、リーダーシップを発揮した」との声が届いている。C大阪U-18後輩の西尾もプロ2年目で開幕先発をつかむと、コンスタントに出場を重ねた。

 「このコンビは夢がある」(河治)。Jリーグで力をつけた21歳と20歳の桜のCBコンビは、年明けのキリンチャレンジカップ・ウズベキスタン戦の日本代表メンバーにも揃って選出されている。

 選出会議ではこのほか、江川湧清(V・ファーレン長崎)、大城蛍(Y.S.C.C横浜)、佐古真礼(藤枝MYFC)、木村誠二(SC相模原)らの名前も挙がった。「江川選手は松田監督のゾーンディフェンスの体現者。長崎の昇格はならなかったが、守備は明らかに向上した」(佐藤)。「木村選手は夏にFC東京から期限付き移籍して、残留争いという厳しい場で果敢に戦っていた」(吉村)。いずれの選手も来季への期待が膨らむ。

【DF:サイドバック】
左:大畑歩夢(サガン鳥栖)
右:半田陸(モンテディオ山形)

2021-11-24-riku-handa-yamagaya©J.LEAGUE/Getty Images

 左はサガン鳥栖のチームメートである大畑と中野伸哉が争った。「大畑選手はオーバーラップや戻り守備に強度を出している。自身のイメージと監督の要求が一致しているように見える」(河治)。読者からも「リーグ前半から後半途中にかけての鳥栖の大躍進を支えていたと思う」という声が届いている。読者投票では大畑が僅差で勝ったためこの選出となった。

 右に関しては、「半田は現代型のプレーをしながらCBの守備もできるなど覚醒しつつある」(河治)、「世界で戦うという目標を立てて、CBではなくSBを志願して開幕から大車輪の奮闘」(吉村)。読者からは「監督交代がありシーズン途中から偽SBという難しいポジションを完璧にやり通した」という声が届いた。半田以外には、成瀬竣平(名古屋グランパス)、中村拓海(FC東京)、負傷で惜しくも離脱したバングーナガンデ佳史扶(FC東京)の名前が挙がっている。

【MF:ボランチ】
川﨑颯太(京都サンガF.C.)
松岡大起(清水エスパルス)/田中聡(湘南ベルマーレ)

2021_NXGN_Kawasaki(C)Getty images

「並び」自体は選出会議でも議論を呼んだが、3選手の選出は満場一致。「川﨑の行動範囲はすごく広い。インサイドハーフ2枚の誰と組んでもアジャストする」(河治)。「京都の心臓」「ボールを刈り取る力、捌く力、ミドルと中盤の選手としては申し分のない活躍」といった読者の意見からも、京都のJ1復帰に果たした川﨑の実力が分かる。

 インサイドハーフの二人は、J1を主戦場としてコンスタントに出場した二人を。松岡は「鳥栖の好調を支えた屋台骨。もし松岡があのまま鳥栖にいたら」「夏に移籍してきてくれた松岡はエスパルスの救世主」と両クラブのサポーターから熱烈な支持を得ている。また、田中は2種登録の昨季から出場を重ね「ベルマーレに欠かせない選手」「彼の出来が湘南の勝敗に直結した」と評される存在感を放つ。

 この3選手に共通して寄せられた読者のコメントは「チームの心臓」。まさにこのポジションの役割だと言えるだろう。

 このほか会議では、藤田譲瑠チマ(徳島ヴォルティス)、「回収力が優れている」(河治)FC町田ゼルビア・佐野海舟の名前も挙がった。

【サイドハーフ・FW】
荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)
宮代大聖(徳島ヴォルティス)
植中朝日(V・ファーレン長崎)

nagasaki-uenaka-asahi(C)Getty Images

 荒木はMF、宮代はFW部門でのエントリー。この攻撃的なポジションは、何より数字が物を言う。

 今季のJリーグのベストヤングプレーヤーにも輝き、来年の日本代表にも初選出された19歳荒木は「他サポから見ても脅威」。リーグ戦36試合に出場し10得点を挙げ、読者投票でもMF部門で24.3%と広くJリーグ全体のサポーターから票を集めた。「結果が全てを物語っている」「城彰二氏以来10代での二桁ゴール」。選出会議でも文句なしだった。

 植中は19試合出場で10得点と群を抜く。読者からも「出場時間から見た得点率」がすごいとのコメント。川崎フロンターレから期限付き移籍中の宮代は、「スタメンで大車輪の大活躍」「厳しいチーム事情の中、決める時に決める決定力が素晴らしかった」との声が届いている。

 選外とはなったが、宮城天(川崎F)も忘れてはいけない。リーグ戦14試合447分の出場で2得点。あの川崎Fというチームにいる「環境を考えたら評価すべき」(河治)。「その天性のゴール嗅覚は半端なかった」という読者の声、そのとおりだろう。

 そのほか会議では、東俊希(サンフレッチェ広島)、細谷真大(柏レイソル)、樺山諒乃介(山形)、櫻川ソロモン(ジェフユナイテッド千葉)の名前も挙がった。樺山は横浜F・マリノスからこの夏に期限付き移籍した高卒ルーキー。「マリノスの将来的中心選手」「モンテに来てくれてありがとう」と両チームのサポーターから期待が寄せられている。

 今回のノミネート条件に該当した選手はJ1・37、J2・38、J3・15の総勢90名で、J2、J3にはJ1からの期限付き移籍選手も多く見られた。やはり若手選手にとって「実戦経験」は成長にとって欠かせない。コロナ禍におけるベンチ7人交代枠5人も若手の出場機会を増やしている。これら議論については、追って別記事でお届けする予定だ。

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