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主役となった大分戦。だが“最高の久保建英”はまだまだ先にある!

 首位を走るFC東京のヤングアタッカーは、明治安田生命J1リーグ第14節の大分トリニータ戦で、今季ベストとも言えるパフォーマンスを披露。先制点の起点になると、さらに2得点を決めてチームを3-1の勝利に導いた。

 これまでも12試合で2得点3アシストを記録するなど、堅守速攻をベースとするFC東京の攻撃に明確なアクセントをもたらし、個性的な選手が揃うチームでもひときわ輝きを放っていた17歳(第14節時点)だが、この試合では正真正銘の主役となった。

■圧巻“久保建英ショー”が開演

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 まさしく“久保建英ショー”だった。大分の堅実なディフェンスに対して、自慢の2トップであるディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑が一発で裏を突けない状況が続いた一戦。そんななか、彼らの手前で久保が右サイドでボールを持つと、ことごとくチャンスが生まれた。そして自らの2得点を含む3得点に全て絡む。

 まずは橋本拳人の1点目の起点に。右サイドに開いた久保がオフサイドラインのギリギリで室屋成から縦パスを受ける。すると、大分の松本怜と島川俊郎がタイトにマークしてきたが、粘り強くキープ。フリーになっていた室屋に戻すと、正確な右足クロスに橋本が頭で合わせてゴール右隅のネットを揺らした。

 このシーンでは一度選択したプレーの直後に切り替え、ボールをキープしながら周囲の動きを瞬時に見極めて、次のプレーを選択していく判断力が室屋のアシスト、橋本のゴールを演出した。

 そしてチームの2点目は久保自身のゴールだった。東慶悟が大分のカウンターの芽を摘み、リカバリーに走っていた久保が素早く拾う。すると次のボールタッチで小塚和季のタックルをかわして直進。大分のキャプテン鈴木義宜が立ちはだかるが、とまどうことなく左足を振り抜く。鈴木の内股にボールが当たって軌道が変わったシュートがGK高木駿を破った。

 「ボールを持った時は前に運ぶことしか考えていなかった」と久保は振り返るが、自分が出したボールが相手ボールになった瞬間から意識を切り替えて、次のプレーを選択している。ピンチになりかけたところをカバーしてチャンスにつなげた東も素晴らしかったが、そこからすぐにボールを拾ってゴールに結びつけた久保の判断力と決断力は見事だ。

 後半1点を返されたFC東京だが、アディショナルタイムに再び久保が見事なプレーを見せる。大分がディフェンスのスローインから連係ミスを犯すと、これを見逃さない。久保が高い位置でボールを奪い、飛び出していたGK高木を左足のインサイドカットで鮮やかにかわし、冷静に無人のゴールに流し込んだ。

 久保は「あそこで得点を取れていなかったら精神的にも追い込まれていたと思う。そういう意味でも大きな1点だった」と振り返る。その言葉を裏付けるような相手のスキを逃さない集中力、そして冷静なプレーだった。高い技術が注目される久保だが、こうしたメンタリティが結果を導く原動力であるようだ。

■“最高の久保建英”はまだまだ先にある

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 バルセロナのカンテラ(下部組織)から2015年にFC東京の下部組織に入り、U-15からU-18に飛び級昇格、さらにJ3に所属するFC東京U-23でJリーグ史上最年少の出場に得点記録を樹立するなど、世間の注目を集め続けた久保。しかし、2017年にプロ契約を結んでからはトップの試合でなかなか出場機会を得られず、昨年の夏には新しい環境でのチャレンジを志願して横浜F・マリノスに期限付きで移籍した。

 しかし、ボールの主導権を握るスタイルを掲げる横浜FMでも、運動量や局面の強さが求められることは変わらない。時折、輝きを放つものの、継続的な出場はかなわずにFC東京に帰還した。筆者はシーズン前の沖縄キャンプでFC東京のトレーニングマッチを取材したが、そこには縦に速い攻撃の中で懸命に走りながら味方にパスを求める久保の姿があった。

 持ち前の卓越した技術とビジョンに加えて攻守の切り替わりで見せる集中力、試合に出られない時期に磨いたと思われる機動力、そして機を逃さない抜け目なさがすべて詰まった大分戦。昨季までの経験を糧とした久保が、Jリーグにおける最高のパフォーマンスを披露した試合かもしれない。

 大分戦後のフラッシュインタビューでは、“青赤”で染まるゴール裏に向かって「サポーターっていいですね。力になります」と活躍を喜んだ久保。しかし、報道陣に対しては「あれだけボールを受けられれば、あれくらいはやらないといけない」と冷静に語っていた。

 「変わったのは、Jリーグの公式記録を見た時に自分の名前の横に書いてあることだけ。入る時は入るので」。実際に90分の中で味方とのタイミングが合わず、ボールがラインを割ったときには悔しがる表情もあった。

 取材で直接聞くと一つひとつのプレーを具体的な描写で語る言葉が印象的だが、ゴールやアシストを含め、自分が気になったプレーはすぐに何度も映像で見返して確認するという。それも次により良いプレーをするためだろう。

 初のA代表選出については「緊張します!」と開口一番に語り、「FC東京の代表として、しっかり悔いのないように戦ってきたい」と宣言。ベンチ外となった5日のキリンチャレンジカップ2019・トリニダード・トバゴ戦翌日の練習後には、他の選手とともにスタンドのファン・サポーターにハイタッチする姿があった。

 どこまでも飽くことのない向上心と妥協ないこだわり。それこそが、久保をこの年齢にして、この高みまで導いた最大の原動力なのではないか。だとすれば、“最高の久保建英”はこれからまだまだ先にあるはず。その過程を日本のサッカーファミリーとして見守り続けることができる。これは本当に幸せなことだ。

文=河治良幸

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