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世界にインパクトを与えるヤング・アヤックス。“最高潮”の彼らはトリノの奇跡も不可能ではない

■席捲する中盤の移籍金は1€

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NECとの契約が切れたラッセ・シェーネを、アヤックスはゼロ円移籍で獲得した。フレンキー・デ・ヨングの移籍に、アヤックスが払った移籍金は1ユーロだった。ドニー・ファン・デ・ベークはアヤックスのアカデミー育ちである。つまり、アヤックスが中盤3人の獲得に要した移籍金はわずか1ユーロ(約126円)に過ぎない。それでも、アヤックスはCLの舞台で中盤を支配してきた。育成型クラブとして、これほど痛快なことはないだろう。

オランダに住んでいると気付くことがある。それは、シーズンの深まりと共に、アヤックスの選手層が徐々に厚くなっていくことだ。アヤックスがEL決勝に進出した2016−17シーズンの後半戦は、ジュスティン・クライファルト、マタイス・デ・リフトがトップチームチームに昇格し、彼らの活躍がチームに勢いを付けた。

U-19やリザーブチームの選手に対し、常にトップチームへの門戸が開かれているアヤックスは、「シーズンを通じて補強が可能」と捉えることが出来るだろう。そこがアヤックスの強みである。

この冬もまた、リザーブチームから新たな戦力がトップチームに加わった。CL準々決勝、ユヴェントスとのファーストレグで途中出場したMFユルゲン・エッケレンカンプ(19)がその人。コントローラー型のMFで、ボールデリバリーと味方とのコンビネーションの能力を、エリック・テン・ハーフ監督は高く買っている。

13日のエクセルシオール戦で右ハムストリングを痛めたデ・ヨングは、前半途中で負傷退場した。デ・ヨングが16日のユヴェントス戦に出場可能がどうか、それはすべて当日のコンディションにかかっている。デ・ヨングのバックアッパーとしてエッケレンカンプが、何らかの形でユヴェントス戦に再び出場する可能性は大いにある。今季の戦力底上げの象徴として、どれだけ彼が活躍できるか注目だ。

ニコラス・タグリアフィコは警告累積によって出場停止のため、オランダメディアは「トリノでの大一番で左サイドバックを務めるのは誰か?」という話題で持ちきりだ。テン・ハーフ監督は試合前日記者会見で「(普段は右SBの)ノゼア・マズラウイを左SBに回すかもしれないし、デーリー・シンクフラーフェンの抜擢や、CBダレイ・ブリントのコンバートもあり得る」と明言を避けた。識者の予想では「右からフェルトマン、デ・リフト、ブリント、マズラウイで4バックを組むだろう」という声が多い。

■トリノの奇跡も…

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アムステルダムでのファーストレグを1-1で引き分けたため、アヤックスは敵地で最低でも1ゴールを決める必要がある。ユヴェントスの固い守備に対して攻めあぐね、0-0のまま試合が進んだ場合、アヤックスにはクラース・ヤン・フンテラール、カスパー・ドルベリのストラカー陣に出番が来るだろう。エクセルシオール戦で先発したフンテラールはハットトリックを達成した。そのエクセルシオール戦で途中から出番を得たドルベリは、ペナルティーエリア内左サイドスペースに走り込んでパスを匠に処理してから豪快なボレーシュートを決めた。

CLではタディッチを偽の9番に置くアヤックスにとって、好調なストライカーを2人、切り札として取って置けることはとても心強いことである。試合がPK戦にもつれた場合も、フンテラールの存在は大きな力になるだろう。

ラウンド16のレアル・マドリー戦に続き、今回のユヴェントス戦もアヤックスはアンダードッグの立場で戦うことになる。かつてアヤックス、PSV、アンデルレヒトなどで指揮をとったアード・デ・モスは「ここまでの今季のCLの戦いの中で、常にアヤックスはアンダードッグだった。しかし、彼らは良いタイミングでチームをピークに持ってきている」と、ユヴェントス戦でもアヤックスのチーム状況がマックスになることを期待している。

私が一番、納得できたコラムは、16日付の全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』にコラムニストのフーゴ・ボルストが記したもの。そこには「私は“マドリーの奇跡”を信じてなかった。だが、それは起こった。ユヴェントス相手にアヤックスが勝ち上がる可能性は30%だろう。もしアヤックスが負けてしまったとしても、今季彼らがCLで見せた活躍に対して、私は大きな敬意を払うだろう」と書いてあった。全く同感だ。アヤックスの攻撃サッカーはオランダを越えてヨーロッパ中、そして世界にインパクトを与えている。

レアル・マドリー戦のファーストレグ、アムステルダムでの試合を1-2で落としてしまう大ピンチに見舞われたアヤックスは、セカンドレグを4-1で勝ち“マドリーの奇跡”を成し遂げた。ならば、“トリノの奇跡”だって不可能ではないだろう。

文=中田徹(オランダ在住ジャーナリスト)

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です

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