レアル・マドリー番記者が明かす久保建英の移籍舞台裏。クラブ内部の狙いと現在の本当の評価とは?

(C)Getty Images
欧州ビッグクラブとの競合の末、久保建英を射止めたレアル・マドリー。古巣バルセロナへの復帰やPSGらの関心も伝えられる中、レアル・マドリーはどのような意図をもって日本代表MFの獲得を進めたのか。スペイン『マルカ』でレアル・マドリー番記者を務めるミゲル・アンヘル・ララが、移籍の舞台裏を明かす。

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■久保を追い続けたレアル・マドリー

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レアル・マドリーにとって久保建英の獲得は、長期にわたり行ってきた仕事の成果だった。久保という名前は、彼らの頭の中には常に存在していたのである。

マドリーは久保がバルセロナの下部組織でプレーしていたときから、そのポテンシャルに注目していた。彼がバルセロナを退団して日本に戻ったときには安堵とも呼べる感情を覚えることになり、以降もその成長を見守り続けていたのだ。もちろんバルセロナのほか、欧州の並み居るビッグクラブが久保の存在に注意を払っていたことは理解しており、そのため金銭面でも出し惜しみはしなかった。

18歳となって、欧州移籍への障壁がなくなった久保にはバルセロナ、パリ・サンジェルマン、マンチェスター・シティも興味を示していたものの、マドリーは抜け目なかった。私たち『マルカ』の情報によれば、マドリーのスカウトらは久保とFC東京の契約が広く知られていたような2020年1月までではなく、2019年6月4日に切れることをいち早く察知して、すぐさま動いたのである。ライバルたちを出し抜く動きに加えて、手取りで120万ユーロ(約1億5000万円)という年俸のオファーが獲得の決め手となり、バルセロナがそれに対抗するオファーを出したときには、すでに久保はマドリーの選手となっていたのだった。

■極めてリスクの少ない賭け

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14日、マドリーが正式に久保の獲得を発表すると、当然のような問いかけがされるようになった。つまりは、マドリーがどうして久保を求めたのか、という問いかけである。

神奈川出身の久保は、マドリーのどんな国、場所でも関係なく、最高のタレントたちをかき集めるという方針にぴったりとはまる選手だった。マドリーはその方針によって、スペイン国内ではイスコ、マルコ・アセンシオらを獲得し、また国外からはマルティン・ウーデゴール、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴ・ゴエスらを引き入れている(この夏にボルシア・ドルトムントからレアル・ソシエダに移籍したアレクサンデル・イサクなど、獲り逃した選手たちもいるにはいる)。

久保は来季にマドリーのBチームであり、リーガ・エスパニョーラ2部B(実質3部)に所属するレアル・マドリー・カスティージャでプレーする予定だが、2部Bの選手にとって120万ユーロという年俸は、破格中の破格だ。だがマドリーは、極めてリスクの少ない賭けと捉えて、久保に同額を支払うことを決断した。1シーズンで7億5000ユーロ(約910億円)以上の収入を誇る同クラブにとって、久保の獲得が期待外れの結果に終わったとしても、失う額は年俸5年分の600万ユーロ(約7億3000万円)ほどに過ぎない。しかし、逆にうまくいくとすれば、アジアにおいて強烈なインパクトを放つ選手を擁することができるのである。

久保の獲得は、ヴィニシウス&ロドリゴの獲得とは比べるべくもない。マドリーはブラジル人FW2選手の獲得のために約1億ユーロ(約120億円)を投じており、こちらは間違いなくリスクが伴っている。一方で久保について、無論クラブは世界トップレベルの選手になれる才能を有していることを確信しているが、たとえそうならなかったとしても、失うものはほとんど何もなく、むしろ得るものの方が大きいと言える。

■スポーツ&財政の両面でかける期待

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来季よりカスティージャで競争に臨むことになる久保だが、ジネディーヌ・ジダン率いるトップチームでデビューを果たす可能性もある。プレシーズンにはトップチームとともにカナダ、アメリカを巡って、そこで出場機会を得られるかもしれないし、シーズン突入後にはコパ・デル・レイで公式戦デビューを果たすかもしれない(コパは今季より準決勝まで一発勝負となるために、カスティージャの選手が出場するハードルは高くなるが……)。いずれにしても彼の挑戦の場はカスティージャにほかならず、今月14日にUEFAプロライセンスを取得したばかりのマドリーのレジェンド、ラウール・ゴンサレスの指導を受けることになる。

久保のマドリーにおける現在の位置付けだが、カスティージャではラウールにとってのガラクティコ(銀河系選手)になると目されながら、しかしヴィニシウス、またはロドリゴのようにすぐにでもトップチームに上がることを期待されているわけではない。マドリーが獲得を発表した直後、久保のプレー映像はここスペインでも注目されることになり、“アジアのメッシ”や“日本のメッシ” と称する声が出始めたものの、マドリーの内部ではそうした呼称は一切使われていない。内部で話されているのは「確かなポテンシャルを秘めた、これから磨かれるべきダイヤモンド」といったところで、過度な重圧をかけることをできるだけ避けている。彼らは久保が実際にスペイン、ひいては欧州のトップレベルの選手になれるかどうかを、急かすことなく見守っていく心構えだ。

ただその一方で、マドリーがマーケティング面において、久保の恩恵にあずかることを期待しているのは、覆うことのできない事実である。本拠地サンティアゴ・ベルナベウに併設されたアディダスのオフィシャルショップで、久保の名前がプリントされたユニフォームを目にして心を潤し、それを購入する日本人たちの姿は容易に想像することができる。また、先にはエスパニョールに加入したウー・レイが中国国内の89%のフットボールファンを同クラブのサポーターにしたという調査結果が発表されたが、久保にも似たような効果が見込めるのである。

マドリーはプレミアリーグのビッグクラブに支配されるアジア市場に乗り出す好機をうかがってきたが、久保は状況を逆転させる鍵になり得る。まあ、とりあえず現在の興味の方向は日本からスペインではなく、スペインから日本代表&コパ・アメリカの方に向いているのだが。何となれば、マドリー、ひいてはスペインのフットボールファンは、青いユニフォームを着る久保が、コパ・アメリカでどのようなプレーを見せるのかに大いに注目している。今回のコパ・アメリカは白いユニフォームに袖を通す久保の現在、そして未来を占うものとなったのだ。

文/ミゲル・アンヘル・ララ(Miguel Angel Lara)、スペイン『マルカ』レアル・マドリー&スペイン代表番記者
翻訳/江間慎一郎(Shinichiro Ema)

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

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