Theo Hernandez Alaves

レアル・マドリーが30億円を投じたテオ・エルナンデスとは?禁断の移籍が為す意味

レアル・マドリーが来る2017-18シーズンに向け、1人目の補強選手獲得を発表した。同都市のライバルであるアトレティコが保有権を持つテオ・エルナンデスを巡る獲得レースには、バルセロナやそのほかヨーロッパのトップクラブも参戦するかと思われていた。しかし白い巨人は5日、すでにメディカルチェックを終えていたテオの完全移籍を完了したのであった。

19歳のテオは昨シーズン、レンタル先のアラベスで目覚ましい活躍を見せた。昇格組でありながら、早々とリーガ・エスパニョーラ残留を確定させたチームに貢献。コパ・デル・レイでは準優勝に終わったものの、決勝のバルセロナ戦ではファンタスティックなフリーキックでゴールネットを揺らしてみせた。

スピード、パワー、強さ、素晴らしいテクニックを兼ね備えるテオは、シーズン終盤でも力を発揮。5月のリーガ・エスパニョーラ第36節アスレティック・ビルバオ戦で、19歳とは思えぬ見事なシュートをペナルティボックス角から放ち、決勝ゴールを挙げた。しかもこれは彼の才能の片鱗を見せたに過ぎない。

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アラベスでのセンセーショナルな姿を目の当たりにし、アトレティコはテオをローン移籍させずにチームに残した方がよかったと後悔しただろうが、同選手はローン移籍前の出場機会の少なさにショックを受けていた。ディエゴ・シメオネ監督率いるトップチームでは一度も出場機会に恵まれなかったことは事実であるし、その結果としてレアルからのオファーに心を奪われたのだろう。

Theo Hernandez stats 2016-17

言うまでもなく、レアルはすでにマルセロという世界最高の左サイドバックを擁している。そのため、この移籍に驚く人々もいた。だが昨シーズン、ファビオ・コエントランが精神的にもフィジカル面でもレアルのようなクラブでプレーするレベルに達していないと認めてしまったことは忘れるべきではない。レアルにとっては、左サイドバックはマルセロが出場できない時に課題となるポジションである。そこで、コエントランを故郷ポルトガルのスポルティング・リスボンにローン移籍させ、ついに左サイドに優秀なバックアッパーを手に入れたのだ。“禁断の移籍”をやってのけたテオが、白い巨人でプレーするのに気後れするのは考えづらいという点でも、レアルにとってはプラスの補強だ。

レアルは非常に強力なメンバーを擁している。実際、ジネディーヌ・ジダン監督はファーストチョイスの選手を欠場させても、世界クラスの選手をピッチのどのポジションにも送ることが可能だ。しかし、左サイドバックは唯一の例外だったのかもしれない。5月のリーガ・エスパニョーラのグラナダ戦で、チャンピオンズリーグ(CL)アトレティコ戦を控えたマルセロを休ませ、コエントランを初先発させた時にその弱点が露見した。

マルセロもテオ・エルナンデスと同じように10代で入団したが、すぐに誰もが認める先発メンバーになったわけではない。テオも同様に、レアルで成長し学ぶ機会を得た。ゆっくりと時間をかければ、多くの出場機会に恵まれ、先輩同様ワールドクラスのサイドバックに成長する可能性だってあるだろう。

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レアルとアトレティコの間では「紳士協定」が結ばれ、両クラブ間で選手の移籍は認められないはずだったが、今回の移籍ではそれが破られた。スペインでは、レアルがテオに関してライバルのアトレティコに総額3000万ユーロ(約39億円)を支払うと報じられている。

万が一、テオ本人がレアルへの移籍を望まなければ、バルセロナやバイエルン・ミュンヘンのようなその他のヨーロッパクラブへ行くことだってできた。しかし、彼は喜んで白いユニフォームに身を包むことを選んでいる。

テオを獲得したことで、マルセロが欠場した際の左サイド守備陣の問題は過去のものとなった。ダニエル・カルバハルが右サイドで成し遂げたように、クラブはU-20でフランス代表を担うテオが最高のサイドバックに変貌することを期待しているだろう。

文=ベン・ヘイワード/Ben Hayward

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