チアゴ・アルカンタラは今シーズン、バイエルン加入後最高の時間を過ごしている。
今季から指揮を執るニコ・コバチ監督に大きな信頼を置かれ、リーグ戦27試合出場。これはバイエルンに加入してから最多タイの数字となる。チームの浮沈を握る存在として、首位へと返り咲いたバイエルンで躍動。また今季は、ドイツ誌『キッカー』による平均採点ランキングで長谷部誠やマルコ・ロイスと首位争いを広げるほどの安定感を見せている。
そんなブンデスリーガが誇る屈指の司令塔に、『Goal』は独占インタビューを実施。ジョゼップ・グアルディオラとの切っても切り離せない関係性や、バイエルン復活の理由、そしてチャンピオンズリーグ制覇の夢について語ったもらった。
■加入から5年…

――君は今シーズンがバイエルンでの5年目だね。ドイツでの生活は君や家族にとってどうだい?
僕たちはドイツでうまくやれているよ。特に、ここに住む人たちのことが好きだ。フットボールとともに暮らしているからね。選手としては集中できるし、リラックスして生活できるんだ。ミュンヘンは子どもたちを育てて、家族と住むのにとても良い街だよ。
――では、ドイツとスペインでの生活にはどんな違いがあるだろう?
僕はいつも物事のポジティブな面に目を向けるようにしているんだ。スペインは母国だしね。僕も家族もスペインを愛している。でもドイツも僕たちにとって特別な場所なんだ。異なることや文化に触れることで、人間として成熟することができて感謝している。これは僕にとってとても大切なことなんだ。
――ミュンヘンで5年が経ち、バルセロナからミュンヘンに移った決定は正しかったと言えるかい?
それに答えるのに5年も必要ないね。こんなビッグクラブと契約して、クラブの進化を見ることができて、良い決断だったよ。
――君は4月11日に28歳になったばかりだ。ミュンヘンで暮らす間に、人間としてどういった変化があっただろう?
ここでのプライベートで経験した素晴らしい日々を通じて、僕はより成熟した人間になることができた。息子が産まれたのもそのひとつさ。馬鹿げたことや無駄なことを考えるのはやめて、人生の大切なことにだけ集中すべきだ。僕にとってそれは家族のこと、そしてフットボールのことを指すね。
■ペップという存在の大きさ
Getty Images――バルセロナから移籍してきた大きな理由として、ペップ・グアルディオラの存在があるだろう。彼は君のキャリアにおいてどれくらい大事な存在なんだい?
とても大事だね。ペップは僕をユースからトップチームに呼んでくれたんだ。それにとても多くのことを教えてくれた。若くしてプロになった選手は、日々学び続けないといけない。彼がコーチにいることで、より早く、かつ詳細まで学ぶことができたんだ。キャリアの最初から彼は僕にとって大きな助けになったし、それはバイエルンでも同じだった。彼は世界最高のコーチの一人だ。そしてきっと今後もフットボール界に多くのことをもたらしてくれるはずだ。
――グアルディオラが恋しいと思うことはある?
ペップはクラブに大きな足跡を残していった。彼のアイデアは僕たちチームの形を作っている。それはピッチ上で感じ取れるはずだ。試合中の状況によって、僕たちは今も彼に教わったプレーをしているからね。でもそれは、ともに働いたコーチたちの良い面を吸収してチームとして成長していると考えることもできる。
――2年半前にグアルディオラがバイエルンを去ってから、チームのプレースタイルは変わったね。以前ほどティキ・タカが失われているようだけど…?
ティキ・タカとかタカ・タカとかどう呼ばれても構わないけど、僕にとってはあらゆる状況で試合をコントロールすることが大切だ。つまりボールを支配している場合は、守備も上手くやらないといけない。逆に相手にボールを持たれている時には、相手のミスをうまくついてカウンターに出る準備をしておくべきだ。ボールが自分たちの元にあるかないかを問わず、優位に立つことこそが僕にとっては大切なんだよ。優位に立てていれば、ボールポゼッションの優劣は関係なくそれは成功しているってことだ。
――君の役割も変わってきているね。ニコ・コバチが監督になり、ユップ・ハイケンスやカルロ・アンチェロッティが指揮官だった頃よりもより守備的な役割も担っている。どちらのポジションが好きなんだい?
僕は自分をセントラル・ミッドフィールダーだと考えている。それが6番、8番、10番だろうが問題じゃないね。攻撃参加は好きだし、同じくらい守備のタスクも好きだ。6番だとより守備的になるけど、つまりそれはいち早くボールを奪って、攻撃に移ることができるってことなんだ。でも、ペナルティーエリア近くでのプレーが減ったから、確かに8番や10番としてプレーするよりもゴール、アシストともに少なくなるだろうね。
――もっとゴールやアシストを決めたいと思う?
それは誰だってそう思うだろう。
――人々は後方でプレーする選手より、ゴールを決めるアタッカーの話ばかりをするけど、それに思うことはあるかい?
いや、それは受け入れないといけないよ。フットボールビジネスにかかわっている以上、人々の関心が最も高いのはゴールを決める選手であって、アシストをしたり相手のゴールを防ぐ選手じゃないってことをね。
■バイエルン復活の背景

――難しいシーズン序盤を経て、バイエルンはリーグ首位に返り咲いたね。何が変わったんだい?
最初の1、2カ月は良くやれていたんだ。まず新たな指揮官について知らないといけない段階だったけど、良い結果がついてきていたんだ。そのあと、良いとは言えない結果が続いたせいで、僕たちは自分自身、そして僕たちのフットボールに対する自信を失っていた。良い姿勢で臨めていなかったと思うよ。特に9月から11月までの間、あまりに勝ち点を失ってしまった。でもそこから自分たちらしさを取り戻して、一歩ずつ首位まで上がっていったんだ。
ウィンターブレークが役に立ったよ。家族と過ごしてうまく充電して、メンタル的に回復できたんだ。それから、カタールでシーズン後半に向けて準備を進める中で、選手間でベストな状況ではないことや、何かを変える必要があると話し合ったんだ。そうして変わっていけたんだよ。
――監督の話が少し出たけど、コバチはどのようにして選手のリスペクトを集めていったんだい? 彼はハインケスやアンチェロッティ、ペップのような経験も経歴も無いわけだけど。
バイエルンのようなビッグクラブで働くことはどんな指揮官にとっても難しいことだ。求められる目標やかかる期待は大きいからね。それに慣れようと奮闘するのは普通のことだ。選手も一歩一歩慣れていくし、監督も同じだ。多少の時間はかかるものだよ。
――では、コバチとはどんな人物だろう?
ニコはとてもポジティブな人で、教養があり社交的なんだ。人とともに働くうえで必要なものを持ち合わせていて、選手との関係も良好だよ。
■「貪欲に。たくさんのタイトルが欲しい」

――ドルトムントとのタイトル争いはますます白熱しているね。リーグ優勝に向けてどちらがリードを奪っていると思う?
今は僕たちが首位だし、優勝候補かな。ドルトムント次第じゃない、僕たち次第でタイトルを獲れる状態だからね。
――ただ、残る試合の相手はライプツィヒやフランクフルトといった強敵相手だね。
数週間前、ドルトムントとは勝ち点8差をつけられていたけど、今では僕たちが勝ち点2上回っている。またチャンピオンになれると思うよ。だってここ6年間は僕たちが優勝してきたわけだし、今は最高のコンディションだからね。
――逆にもしタイトルを逃したら、大きな失敗となる?
ドイツ最大のクラブでプレーしているからね。獲得できる限りのタイトルを獲りたいと思っているよ。それはクラブが望むことでもあるし、僕たち選手が望むことでもある。貪欲なんだよ。以前に獲ったことがあるものでも構わない、たくさんのタイトルが欲しいね。そのために僕たちはプレーしているんだ。
■リヴァプール戦のパフォーマンスに不満
Getty――ここでチャンピオンズリーグを獲ることも君の使命の一つだよね。
その通り。僕がここに来たときからずっとそれを目指している。いつも準決勝までは進出してきた。残念だけど今季は決勝トーナメント1回戦でリヴァプールに敗れてしまった。来シーズンはまたチャンスがあるはずだ。それまで自分たちに足りないことを改善して備えていくよ。
――リヴァプールにあってバイエルンに足りないものとは何だろう?
たくさんあるね。ハート、勇気、フットボール自体もそうだ。ああいった強敵相手に勝ちたいのであれば、もっと集中して、100%の力を発揮しないといけない。
――ファーストレグではスコアレスドローだったから、比較的優位に立っていたと思うけど?
個人的に僕はファーストレグでの自分たちのパフォーマンスにあまり満足していないんだ。アンフィールドでの試合はとても難しい、とは言え僕たちは少々守備的すぎた。0-0で終えられたのは守備的には成功だったけど、ゴール前で何も生み出すことができなかったということでもあるんだ。そういう意味で、僕たちは2試合を通して良いプレーができなかったと言える。
――チームのみんなが同じ意見なのかい?
それはわからない。ただ僕の意見ってだけだ。ロッカールームで話すことはそこにとどめておくようにしているからね。
――ドルトムントもシャルケも、イングランドのチームに敗れてしまった。プレミアリーグは資金が潤沢なこともあるだろうが、ブンデスリーガのクラブはここのところ少しずつ欧州大会のタイトルから遠ざかりつつあるように思える。ドイツ・フットボールの将来についてどう考えているんだい?
ブンデスリーガではプレミアのようなビッグディールは生まれない。ブンデスは別のリーグとしてしっかり確立されていると思うよ。もちろん、来年はもっと良い結果が欲しいね。
――CLではどこが優勝候補だと思う?
マンチェスター・シティが敗退した今、バルサかリヴァプールが優位なのは間違いないね。個人的にはアヤックスのプレーが大好きだ。とても印象的な攻撃サッカーを見せてくれている。
■大刷新の夏に…
Getty Images――目標とするCLに向け、バイエルンも移籍市場で多額の資金を投じている。それについてはどう思う?
選手としては、今いるメンバーでできるだけの成功を収めて、クラブを助けたいと思っている。でもクラブが力になってくれる新たな選手を獲得するなら、もちろん温かく歓迎するよ。
――新メンバーの一人、リュカ・エルナンデスについてはどうだい?
彼はとても勇敢で、試合開始から90分間力強くプレーする頼れる選手だ。複数ポジションでプレーできることや持ち前のアグレッシブさで、アトレティコ・マドリーで重要な選手だったね。ここでもきっと同じような存在になってくれるだろう。彼のプレースタイルは僕たちのモチベーションを高めてくれるだろうからね。
インタビュー・文=ケリー・ハウ/Kerry Hau
構成=Goal編集部
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です



