リヴァプールが完勝した理由とバイエルンの敗因。そして、影のMVPと14年ぶり優勝へのキーマンは?

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(C)Getty Images

ユルゲン・クロップ監督が率いるリヴァプールは、いわゆる格下チームが相手ならボールを握り、敵陣で試合を進める形でゴールを襲う。だが、同格のトップチームを相手にすると、クロップはポゼッションをあっさりと放棄してオフ・ザ・ボールのプレッシングを強調し、相手のミスを誘って奪ってからのショートカウンターで勝負を決めにかかる。

その意味で言えば、42%のボール支配率で3-1と勝利を収めたバイエルンとのチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16セカンドレグは、クロップ監督にとって狙い通りのゲーム展開だったと言える。この日のリヴァプールは、中盤でのプレッシングが非常によく効いていた。0-0だったファーストレグで獅子奮迅の活躍を見せたキャプテンのジョーダン・ヘンダーソンは残念ながら13分で負傷交代となったが、代わりに投入されたファビーニョ、アームバンドを受け継いだジェイムズ・ミルナー、そしてジョルジニオ・ワイナルドゥムの中盤3センターは地味ながら堅実に仕事を遂行した。よく走り、敵にアプローチし、ボールを回収し、3トップへとつなげる。そういった面では実にクロップのチームらしい働きをしていた。

■バイエルン撃破の影のMVP・ファビーニョ

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特にファビーニョの存在は大きかった。この試合のMVPは2ゴールを決めたサディオ・マネ、もしくは出場停止明けでさすがの守備を見せてセットプレーから決勝点も決めたヴィルヒル・ファン・ダイクのどちらかだろうが、ホーム&アウェーの2試合を通じて見ればファビーニョが影のMVPだったと言えるのではないか。

第1戦ではファン・ダイク出場停止の穴を埋める形でセンターバックとしてロベルト・レヴァンドフスキを完封。第2戦でもアクシデントによる前半途中からの出場という難しい状況ですんなりとゲームに入り、“潰し屋”として鋭い出足でハメス・ロドリゲスをはじめとしたバイエルンのMF陣から次々とボールを奪い取った。昨季までクロップのチームには見られなかった層の厚さを証明したのが、ファビーニョの存在だった。

■主力欠場の穴を埋めたリヴァプール、埋められなかったバイエルン

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このファビーニョの起用法を含め、出場停止や負傷のアクシデントに対して的確に対応したのがクロップとリヴァプールだったとすれば、ニコ・コバチとバイエルンの敗因はそのカバーがうまくいかなかったことだろう。

試合後、レヴァンドフスキは「我々はプレーの重心が低すぎたし、リスクを冒さなかった」「たくさんのデュエルがあったが、1人で戦うのはとても困難だった」と話し、チームが守備的で自身へのサポートがなかったことを嘆いたが、2試合とも出場停止だったトーマス・ミュラーがいればエースの近くでよりコンビネーションが生まれていたかもしれない。

またセカンドレグはジョシュア・キミッヒが出場停止だったが、代役を任されたラフィーニャが穴を埋めたとは言い難い。組み立てやアシストに長けたキミッヒと特長は違う選手とはいえ、自身の持ち味である縦への推進力やオーバーラップを見せるシーンはほとんどなく、逆にファン・ダイクのフィードがマネにつながった1失点目の場面ではマヌエル・ノイアーとの連携不足を“狙い撃ち”されてしまった。

■ファン・ダイク復帰で攻守にハイパフォーマンス

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ホームゲームということもありアンフィールドでの第1戦ほどではなかったにせよ、レヴァンドフスキが指摘したようにバイエルンは全体の重心が低かった。第1戦に続いてレオン・ゴレツカではなくハビ・マルティネスを先発させる4-2-3-1で臨んだことからも、ある程度守ってカウンターがコヴァチ監督のプランだったことはわかる。

だが、リヴァプールにボールを“持たされる”展開になったことでこれが裏目に出た感はある。そうなると、どうしてもハビ・マルティネス起用の一長一短が気になってくる。彼は守備面での貢献度は高いが、攻撃面におけるアイデアプレーで比べるとゴレツカよりも一段落ちる。必然的にパス出しの仕事はチアゴ・アルカンタラが一手に引き受けることになるが、彼のプレーにはワイナルドゥムとファビーニョが常に目を光らせていて、効果的なビルドアップはさせてもらえなかった。

結果論になってしまうが、バイエルンとしては69分に勝ち越しを許すより前にゴレツカを投入し、より攻撃的に振る舞っていれば、また戦況は違っただろう。

このようにバイエルンが攻撃に意欲と工夫を欠いた部分はあるにせよ、この日のリヴァプールがチーム全体で質の高いディフェンスを見せたことは確かだった。バイエルンはマッツ・フンメルス、またはチアゴのところからサイドに展開する形が多いが、ボールがワイドに渡ってもフランク・リベリ、セルジュ・ニャブリが単騎駆けで突破する以外にビッグチャンスは作れず、そういうシーンもリヴァプールはトレント・アレクサンダー=アーノルド、アンドリュー・ロバートソンの両サイドバックが最小限に食い止めた。

単純なクロスはジョエル・マティプとファン・ダイクがすべて跳ね返し、ボールを下げればそこを狙ってMF陣と3トップが激しいプレッシング。ダヴィド・アラバ、ラフィーニャの両SBの攻撃参加もマネとサラーがうまく牽制していた。ニャブリに左を崩されてオウンゴールを献上した1失点はあったものの、バイエルンに撃たれた枠内シュートはわずか2本と、ファン・ダイクが戻って統率された守備陣は非常に安定していた。

やはり、ファン・ダイクがいると安定感が違うし、彼が後ろに構えていることで攻撃陣もより自信を持ってプレーできるようになる。ファン・ダイクの存在は、ここから2年連続のCL決勝進出、そして2004-05シーズン以来となる欧州制覇を目指す上で重要になりそうだ。

■プレミア勢は10年ぶりに4チームが8強へ

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かくしてリヴァプールは、苦戦はしたものの接戦をモノにし、ベスト8に駒を進めた。すでにドルトムントを破ったトッテナム、パリ・サンジェルマンに劇的な逆転勝利を収めたマンチェスター・ユナイテッド、そしてシャルケを2試合トータル10-2で圧倒したマンチェスター・シティも準々決勝進出を決めており、これでイングランド勢は2008-09シーズンから10年ぶりに4チームすべてが8強に残ることとなった。

その他に残ったのは、順当にリヨンを下したバルセロナ(スペイン)、クリスティアーノ・ロナウドのハットトリックでアトレティコ・マドリーを破ったユヴェントス(イタリア)、王者レアル・マドリー相手に下剋上を起こしたアヤックス(オランダ)、ローマとの死闘を制したポルト(ポルトガル)と各国1チームずつ。

次のラウンドの組み合わせ抽選は3月15日にスイスのニヨンで行われる。ここからはイングランド勢同士が対戦する可能性も高いが、ドイツ王者を破って波に乗るクロップと仲間たちが次に戦うのは果たしてどのチームになるだろうか。

文=寺沢 薫

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