■2人の入れ替えで修正を施したペップ
文字通りの激闘だった。チャンピオンズリーグ(CL)準々決勝のセカンドレグは、ホームのマンチェスター・シティが4-3で勝利したもののトータルスコアは4-4となり、アウェーゴール差でトッテナムがクラブ史上初のセミファイナル進出を果たした。
撃ち合いも望むところ。開始からわずか11分で両者に2ゴールずつが乱れ飛ぶ壮絶なドラマの幕開けは、ジョゼップ・グアルディオラにとって、ある程度は意図するところだったように思える。0-1で敗れたファーストレグのマン・Cは、トッテナムのハードかつ緻密なプレッシングでビルドアップを阻害され、攻撃の形を作れなかった。最も問題だったのは、相手のDFとMFの「ライン間」やハーフスペースをまったく使えなかったことだった。スパーズ(トッテナムの愛称)のハイプレスに対応するためにイルカイ・ギュンドアンとフェルナンジーニョの2枚をホールディングMFに置いたが、その代償としてトップ下の位置でダビド・シルバが孤立無援の形になり、中盤からの裏抜けもなかったのが無得点の原因だった。
この日、ペップはファーストレグから先発を4枚入れ替えた。うち攻撃陣の2枚、ケヴィン・デ・ブライネとベルナルド・シルヴァが入ったことで、この問題は大きく改善された。第1戦はD・シルバに頼りきりでそこを封じられたマン・Cだったが、この夜はギュンドアンがアンカーでD・シルバとデ・ブライネがその前に配され、右ウイングはリヤド・マフレズからB・シルヴァに代わった。そしてこの2人が入ったことで、流動的な攻撃が復活。機動力のあるB・シルヴァが中に動き、そのスペースにデ・ブライネが飛び出すといった動きがよく見られ、デ・ブライネは持ち前のキック精度を武器に3つのアシストをマークし、この試合のマン・オブ・ザ・マッチと言っていい活躍を披露した。
攻撃に流動性やメリハリを取り戻せば、たとえ撃ち合いになっても勝てる――。ペップはそう踏んでいたはずだ。アイメリク・ラポルテの珍しいミスから早い時間帯でソン・フンミンに2失点を許したのは多少誤算だったかもしれないが、それでもフェルナンジーニョをベンチスタートにしたことからも分かるように1、2失点は想定内、それ以上にゴールを奪って、2点差以上で攻め勝てる。それがペップの思惑だったはずだ。
■スパーズに戦術変更を強いたマン・C
Getty Images実際、その目論見は当たっていた。21分にラヒーム・スターリングのこの日2点目でスコアが3-2になった時点で、トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督は戦術変更を施している。4-3-1-2だったシステムを4-4-2に変更し、前にルーカスとデレ・アリを残した上で、ソン・フンミンを最前線から、エリクセンをトップ下から両サイドに移動させ、この2人の守備タスクを増やすことでD・シルバやデ・ブライネに使われていたワイドのスペースを潰すやり方に修正をしたのだ。
この調整によって試合はしばらくこう着状態になるが、展開としてはマン・Cがボールを保持し、スパーズが耐えてカウンターを狙うという構図になった。だが頼みのソン・フンミンが守備に追われるスパーズは、ここからチャンスの数が激減することになる。ハリー・ケインの欠場に加えてムサ・シソコの負傷交代というアクシデントもあり2トップはルーカスとフェルナンド・ジョレンテになったが、ケイン&ソン・フンミンのコンビに比べればハイプレッシングの強度も落ちる。ゲームタイムもまだ70分残っていた状況を考慮し、マン・Cは余裕を持ってボールを握り、丁寧に攻めていけば必ずゴールを奪えると自信を持ってプレーしていた。
そして59分、その時は訪れる。自陣からギュンドアンが繰り出した縦パスを受け、デ・ブライネが中央をドリブルで切り崩す。彼からスルーパスを受けたセルヒオ・アグエロが右からコンパクトなひと振りでニアサイドをぶち抜き、スコアは4-2に。2試合トータルでも4-3となり、シティがこの対戦で初めて勝ち抜けの条件を満たした。
■幕切れはセットプレーであっけなく……
Getty Images勝ち越しとほぼ同時にD・シルバを下げてフェルナンジーニョを投入し、スパーズの出方によってギュンドアンとのダブルボランチで守勢にも回れるよう相手のカウンターを牽制する交代策。ここまで、ペップとマン・Cはほぼ狙い通りの試合運びができていた。
だが、そんなプランはたった1本のCKで崩壊することになる。73分、バンジャマン・メンディがジョレンテのマークを外してしまい、遠いサイドからエリクセンのキックに飛び込んだジョレンテは太ももにボールを当ててゴールに押し込んだ。マン・C陣営はハンドをアピールし、判定はVARに委ねられたが、結果はゴール。再度スパーズが勝ち越すことになるゴールは、意外なほどあっけなかった。そして残り15分、シティはパワープレーも交えて懸命に攻めたがあと1点が遠く、準決勝への切符はスパーズのものになったのだった。
攻撃の信念を貫き、撃ち合いも辞さない構えで戦い続けたにも関わらず、最後はセットプレーでやられてしまう――。その展開はどこかで見覚えがあった。ペップ就任1年目、16-17シーズンのCLラウンド16、トータルスコア6-6でアウェーゴール差によって敗れたモナコ戦だ。あの時は第1戦を5-3で制した後に追いつかれての敗退だった。今回と少し状況は違うが、攻め気を前面に押し出して打ち勝とうとした結果、セットプレーであっけなく失点して敗退という点では似ている。今回も残酷な幕切れだったが、このレベルではディテールが差を生むセットプレーの守備は大きな課題だろう。2年前の“トラウマ”が、再びマン・Cを襲ったのだった。
■負けられない“第3ラウンド”
Getty Imagesとにかく、これで欧州王座への夢が潰えてしまったマン・Cは、リヴァプールと優勝を争うプレミアリーグに全精力を傾けることになる。そして、次のゲームは再びエティハド・スタジアムで、奇しくも同じトッテナムとの一戦である。CLの雪辱を晴らすために、そしてリーグ制覇を手繰り寄せるためにも、絶対に負けられないゲームとなる。
対するトッテナムもトップ4争いの渦中にいるためモチベーションは決して低くないはずだが、現状3位という順位、その後の残り4試合で上位陣との対戦がないことを考えれば、たとえ次節でマン・Cに勝てなかったとしても痛手は少ない。チームとしてより照準を合わせるべきはアヤックスとの準決勝を控えるCLだろう。
何より、スパーズは故障者が多く、チームの台所事情が非常に厳しい。今回のセカンドレグはエースのケインやハリー・ウィンクス、エリック・ダイアーらが欠場し、そけい部を痛めて負傷交代を強いられたシソコも離脱。特に中盤は駒が足らない状況で、4日後に再びエティハドへと乗り込むリーグ戦でもベストメンバーはとても組めない状況だ。
マン・CはCL敗退のショックをプレミア優勝への反発力に変えられるか。CLでの勝利で意気揚がるスパーズは手負いのチームでどこまで奮起できるか。注目の“第3ラウンド”も面白くなりそうだ。
文=寺沢薫
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です





