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ボヌッチがウォーカーより20億円も安いという事実…ミランは世紀の大型移籍を成立させた

21:30 JST 2017/07/21
Leonardo Bonucci Juventus
ミランにとってボヌッチはチームを変える大きな存在となり、移籍金の違いはイングランドのクラブが常識を超えた金を有しているということを強調している。

スラヴェン・ビリッチはこう嘆いた。

「サッカー界の財政事情は馬鹿げている。他のスポーツやショービズの世界でも同じようなことかもしれないが」

「(ジャスティン)ビーバーは、レッド・ツェッペリンやエルヴィス・プレスリーなどよりと言うまでもなく、あのローリング・ストーンズよりも稼いでいるんだ」

「すべてのことがおかしくなっている。ノーマルなことなんて何もなくなってしまったようだ」

そして先週の金曜日に起きた出来事は、サッカーがさらに狂気の世界に急降下してしまったことを証明する一件であった。カイル・ウォーカーが5700万ユーロ(約73億円)もの大金でマンチェスター・シティに移籍し、それはACミランがユヴェントスからレオナルド・ボヌッチ獲得のために発生した移籍金よりも1500万ユーロ(約19億円)も上回るものであった。

ボヌッチは言うまでもなく世界でも指折りのDFである。足元にも優れ、ユヴェントスが前人未到のセリエA6連覇という偉業を成し遂げた中でチームの礎を築き、史上最高のディフェンスラインの中心として君臨した選手である。一方で、ウォーカーはトッテナムでここ数シーズン、好プレーを見せていたにすぎない。

そして、ウォーカーはDFとして史上最高額の取引が行われた選手であるとともに、イングランド人選手としても史上最高額な選手となる。そこには何かおかしなことが起こったとしか思えない。

この移籍金の差は2つのことを強調している。一つは、アーセン・ヴェンゲルが以前サッカー界におけるマネーゲームについてこう述べたことに関連している。

「今日のヨーロッパのサッカー界には2つの市場がある。イングランドのクラブのものとそれ以外のクラブのものだ」

アベレージをわずかに上回る程度の右サイドバックにそれだけの費用をかけられるのはプレミアリーグだけである。今日、裕福なイングランドのクラブは常識の範囲を優に超えて金を持っている。リーグ自体のレベルの高さはプレミアリーグの長所であるが、選手獲得のための争いもかつてなく過熱しており、獲得にかかる費用も馬鹿げたほど跳ね上がっている。

そして夏になれば、クラブのフロント人は必死に選手獲得に走るのである。マンチェスター・シティは先週、ダニエウ・アウベスをバーゲン価格で獲得に成功したものと思っていたが、アウベスはシティを裏切り、パリ・サンジェルマンへの移籍にサインした。

そしてシティ陣営は、ウォーカー獲得に急遽切り替える必要性を強いられている。シティにとって、ウォーカーは長く獲得を狙っていたターゲットであったとはいえ、7月末までに少なくとも一人はサイドバックの選手を獲得しなければならないという焦りが交渉に影響したことは確かだ。トッテナムのオーナー、ダニエル・レヴィのいつでも高い要求を呑むしかなく、結果として「史上最高額」と名の付く移籍が成立している。

もちろん、ウォーカーも妥当な金額での獲得であったことを証明するチャンスはある。とはいえ、かつてないほど高額な移籍金に見合うほどの活躍を見せることはかなり難しく、タレント性、経験、チームへの影響力などすべての面で異なるレベルにあるボヌッチとは比べるべくもない。

ウォーカーの新しいボスとなったペップ・グアルディオラも、ボヌッチを彼の好みの選手の一人と話していた。世界中のどんな監督でもボヌッチを欲しがることだろう。ただし、もちろんマッシミリアーノ・アッレグリを除いての話だが。

■アッレグリとの確執

ボヌッチとアッレグリの関係は、昨シーズンのセリエA終盤のパレルモ戦でボヌッチがアッレグリに対して戦術に異議を唱え、アッレグリからの「黙れ、馬鹿野郎! 試合にだけ集中しろ」という類の返答があって以来一向に改善されていない。ボヌッチはその一件後すぐにチャンピオンズリーグのポルトとの試合のメンバーからも外された。そしてそれ以後も2人の間には議論があったという報道やうわさが数多く出ており、その問題はなんら解決されていないということは明らかであった。おそらく我々はチャンピオンズリーグ決勝のハーフタイムの間に何が起きていたのかを正しく知ることは今後もないだろうが、ただひとつ言えることは、アッレグリは次のシーズンに向けてボヌッチを必要とはしていないということだ。したがって、2人の別れは避けられないものであった。

しかし驚きだったのは、ユヴェントスがこれだけ選手の価値が高騰している市場において、信じられないほど安価でボヌッチを売却したということだ。ボヌッチは30歳になるが、少なくともまだあと3、4シーズンはトップレベルを維持することができるであろうし、36歳のアンドレア・バルザーリがいい例で、イタリア人のディフェンダーは齢をとっても良いパフォーマンスを他の国の選手よりも維持できる傾向がある。

■得るものの大きいミラン

ミランはこの夏すでに良い補強を進めているが、ボヌッチに関してはもう一段上のレベルの補強であることを付け加える必要がある。深い位置からのピンポイントで正確なフィードと、若く経験の少ないチームに大きな影響を与えてくれるパーソナリティがチームを新たな次元に導くはずだ。ボヌッチはユヴェントスからの退団を余儀なくされたが、昨シーズンはフィールドでのリーダーシップを欠いたミランで重要な存在となるだろう。

面白い選手のそろったチームに、勝者のメンタリティが備わることになるだろう。金曜朝のコリエレ・デッロ・スポルト紙の1面にはこのような見出しが躍った。

「ボヌッチを獲得したミランは、スクデット獲得に値する」

ダニ・アウベスの去ったビアンコネリのディフェンスラインの右サイドを埋めるために、ミランからマッティア・デ・シリオが加入する。ユヴェントスはボヌッチ放出を回避する道がなかったと感じているだろうが、ミランの野心溢れ、そして金持ちのオーナーにもっと多くの金を捻出させなかったことには首を傾げざるを得ない。

「冗談みたいな話だ」

この出来事に唖然とした様子でアレッサンドロ・デル・ピエロは、『スカイスポーツ』のインタビューにこう答えた。

「寝耳に水の出来事だよ。本当に信じられない移籍だ。こんなことが起こるなんて思ったこともなかった」

デル・ピエロが、シティがウォーカー獲得にいくらの移籍金を払ったかを知った時に、どれだけ驚くかを考えてみてほしい。純粋なローリング・ストーンズのファンであるデル・ピエロはサッカーが狂ってしまったというビリッチの意見に賛同する最初の人となることだろう。

文=マーク・ドイル/Mark Doyle

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