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Filip Kostic Frankfurt 31032019

フランクフルトの歴史に名を刻む戦い。「史上最強」を続けるための“サバイバルマッチ”へ

ドイツ・ブンデスリーガ最後の砦、アイントラハト・フランクフルトが正念場を迎えている。

ウィンターブレイク明けからのフランクフルトは快進撃を続けていた。ブンデスリーガでは第18節から第28節までの11試合を7勝4分の無敗で乗り切り、並行して戦っていたUEFAヨーロッパリーグ(EL)でも決勝トーナメントに入ってからベスト32でシャフタール・ドネツク(ウクライナ)に1勝1分、ベスト16でもインテル(イタリア)を1勝1分で下し、公式戦9勝6分という成績を引っさげてELラウンド8第1戦の地、ベンフィカのホーム・リスボンへと乗り込んだ。

フランクフルトサポーターはドイツでも屈指の熱狂度を誇る。また昨季30年ぶりにDFBポカールを制したことで地元での人気が一層高まり、『コメルツバンク・アレーナ』のホームゲームはリーガ、ELを含めて、今季残り試合がすでに完売している。またフランクフルトにはドイツ国内屈指のハブ空港であるフランクフルト国際空港があって交通の利便性も高い。その影響も相まって、リスボンには約1万人のフランクフルトサポーターが押し寄せ、ゲームへの期待度を如実に醸し出していた。

■システムの微調整が仇に

2019-04-12 Hasebe Frankfurt

一方で、フランクフルトはシーズンも終盤を迎えた中で主力選手の相次ぐ負傷離脱に悩まされていた。FWアンテ・レビッチ、MFセバスティアン・ローデ、MFジェルソン・フェルナンデスといった中核が一時的に戦列を離れる中、アディ・ヒュッター監督が依る術として白羽の矢を立てたのはチーム最年長の長谷部誠だった。

今年35歳を迎え、ブンデスリーガでも6番目の年長者となった長谷部は自らの最適ポジションとも言える3バックのリベロで獅子奮迅の活躍を見せ、キャプテンのG・フェルナンデスが負傷欠場した際にはキャプテンマークを巻いてチームメイトを鼓舞した。ヒュッター監督はそんな彼に全幅の信頼を寄せ、彼を様々なポジションで起用することでチーム戦力を補完して難局を乗り切ろうとしてきた。

ベンフィカとの初戦では攻撃の要であるFWセバスチャン・アレが腹部の筋肉損傷で欠場を余儀なくされた。そこでヒュッター監督は潔く専守防衛の守備的布陣を選択して中盤に3人のディフェンシブミッドフィールダーを擁する3-5-2を採用し、ローデ、フェルナンデスの両インサイドハーフの後方にアンカー役として長谷部を据えた。

しかし、この采配は裏目に出る。試合開始から20分が経過する直前、中央にマルティン・ヒンターエッガーを配する急造3バックの裏を相手MFジェドソン・フェルナンデスに突かれ、慌てた左ストッパーのエヴァン・エンディカが彼を背後から倒して退場とPKの二重罰を受けた。このPKをベンフィカの新星ジョアン・フェリックスに決められたフランクフルトは、40分にエースFWルカ・ヨヴィッチがレビッチとの連係から同点弾をマークしたものの、10人での戦いで徐々にダメージを蓄積させ、フェリックス、ルベン・ジアス、そしてフェリックスのハットトリック達成で後半途中までに4失点を喫して窮地に陥った。

結局フランクフルトはFWゴンサロ・パシエンシアが意地のゴールを決めて2点のアウェーゴールを携えドイツへ帰還したが、ホームでの第2戦で3点差を付けての勝利、あるいは2-0、もしくは3-1で勝ち抜け、4-2では同スコアで延長戦というシチュエーションに立たされた。

ベンフィカ戦のダメージは続くリーグのアウクスブルク戦にも波及している。フランクフルトは後半開始直後の47分にキャプテンのG・フェルナンデスが2枚目のイエローカードを掲示されて退場処分となり、2戦連続で数的不利な戦いを強いられた挙げ句に1-3の逆転負け。この試合ではヒンターエッガーが大腿部の違和感を訴えて途中交代を強いられており、チームはまたしても主力の離脱を余儀なくされた。

■アレ不在が響いている現状

Sebastien Haller Frankfurt 2018-19Getty Images

ベンフィカ戦、アウクスブルク戦で露呈したフランクフルトの課題は、前線の起点として多大な貢献を果たしてきたFWアレの不在による戦略オプションの欠乏だ。アレはフィニッシャーとしても出色の働きを見せるが、それ以上に類まれな空中戦能力を備えていて、彼のポストワークからチーム全体をプッシュアップできる効能があった。長谷部はアレの希少性についてこう語っている。

「アレはとにかくヘディングが強いので、相手にプレッシャーを掛けられているときはひとまず彼目掛けてロングボールを蹴れば状況を打開できる。シーズン中盤戦以降はリベロの自分が攻撃起点として認識する対戦相手が多くなってきて、僕に厳しいプレスを掛けてくるようになりましたけども、そのときはシンプルにアレへボールをフィードする。そうすれば前線でタメができて、ヨヴィッチやレビッチなどがセカンドボールを回収して攻撃を仕掛けることもできますからね」

アウェーのベンフィカ戦ではフランクフルトに前線の起点役がいなかった。アレの代わりに出場機会を与えられているパシエンシアもヘディング能力は高いが、彼の頭はフィニッシュワークに特化していて、ポストプレーではそれほどの機能性を示せていない。

フランクフルトの攻撃陣はスピード&パワーの両輪を備えるヨヴィッチやレビッチに目が行きがちだが、そんな彼らの能力を引き出す上でもアレの存在は必須だったわけだ。ちなみにアレはベンフィカとの第1戦の中継局だった『DAZN(ダゾーン)ドイツ』の特別コメンテーターとしてハーフタイム時に『エスタディオ・ダ・ルス』のピッチ脇に立ってコメントを述べていたが、その心中は穏やかではなかっただろう。そしてアレは、第2戦ホームの出場可否もいまだ不明である。

■頼るべきは古巣戦のヨヴィッチ

Luka Jovic Eintracht FrankfurtGetty

ただ、それでも今のフランクフルトにとって最大最高の武器は、今季一気にブレイクした感のあるヨヴィッチの神通力だろう。ヨヴィッチは母国セルビアの名門レッドスターを経てベンフィカへ勇躍移籍したが、そこではBチームでの出場に限られ、2017−18シーズンからフランクフルトへレンタル移籍してから徐々にトップカテゴリーの戦いに順応してきた。

そんなヨヴィッチのプレー面の特長は卓越した基本技術に裏付けされた驚異的なボールコンタクト能力だ。左右両足、または手以外の身体全体を駆使して面でボールを合わせる能力は突出していて、味方から来るパスをピンポイントで捉えて相手ゴールへ入れ込んでしまう。プロレスラーのような屈強な体躯はフィジカル面というよりも、その技術面を支える素地となっていて、対戦相手の脅威であり続けている。

またヨヴィッチは21歳でありながらも自らの責任を果たす気概に溢れていて、体調不良に苛まれながらもゴールを挙げて試合後に激しく嘔吐していたというエピソードもあるほど、チームの勝利のためにその身を削ることを厭わない。ちなみに長谷部とヨヴィッチの年齢差は14歳で一回り以上離れているが、ヨヴィッチは敬語ではなく同い年のような振る舞いで長谷部と接しているという。裏を返せば、それほどのふてぶてしさと強烈なプライドが、今の彼の躍進を支えているのだろう。

■フランクフルト逆転突破のカギは

Filip Kostic Frankfurt 31032019

ベンフィカとの第2戦でフランクフルトが逆転突破を果たすカギはふたつある。まず攻撃面では、アレが出場できないことを見越して現有戦力のポテンシャルを引き出す攻撃パターンの徹底を図るべきだ。

フランクフルトは大量得点を目論んでヨヴィッチ、レビッチ、パシエンシアの3トップを形成する可能性が高いが、この際にレビッチが左サイドアタッカーのフィリップ・コスティッチとコンビネーションを図って主に左エリアで局面打開を図りたい。ヨヴィッチの秀逸なボレー能力、パシエンシアの正確無比なヘディングシュートを生かすためにはサイドアタックからの崩しが最も効果的で、右のダニー・ダ・コスタの単騎突破も含めて、フランクフルトの突破口はずばりサイドにあると見る。

一方、守備面では難題を抱えている。ローデとフェルナンデスのボランチコンビが先発濃厚な中、長谷部に任されるのはもちろんバックライン中央・リベロでの役割だ。ただ今回、その両脇はバックアッププレーヤーで固めることになりそうだ。右ストッパーのエンディカは第1戦の退場で出場停止。また左ストッパーのレギュラーであるヒンターエッガーに関しては前日会見でヒュッター監督が「マルティンは最終的なトレーニングに参加する。その後、彼がどんな返答をするかで(出場可否を)見極める」と述べ、強行出場に含みを持たせた。

ただ、もし彼の出場までもが叶わないとなると、経験豊富なダビド・アブラームの先発は当然として、もうひとりは今冬にモナコ(フランス)から移籍加入して先のアウクスブルク戦にも出場した22歳のアルマミ・トゥーレ、もしくは今季公式戦5試合出場に留まるシモン・ファレットらに大役を任せねばならない。そうなれば長谷部は連係に不安を残すバックラインの統率を任されるわけだが、相手にはパス配球能力に優れ、ゴールハント力をも備えるジョアン・フェリックスという要注意選手がいるのが厄介だ。

他にもベンフィカにはポルトガルリーグで24試合19得点をマークしているFWハリス・セフェロヴィッチ、他にも中盤のポジションながらリーグ12得点をマークしているラファ・シウヴァなどもおり、彼らへの警戒を怠って攻撃に軸足を移せば致命的な失点を喫する可能性もある。

■「最強」が見られるのは今季が最後?

ANTE REBIC LUKA JOVIC EINTRACHT FRANKFURT

今季のフランクフルトはクラブ史上最強とも言われる強力布陣だが、この陣容が来季以降も維持される保証は、今のところない。

最注目はバルセロナやレアル・マドリーなどのビッククラブからオファーが噂されるヨヴィッチの動向だったが、フランクフルトはベンフィカ戦の前日にクラブリリースを出し、彼のレンタル元であるベンフィカと結んでいた買い取りオプションを行使して2023年6月30日までの完全移籍契約を結んだことを発表した。これでヨヴィッチに関しては、もしビッククラブが触手を伸ばしたとしてもフランクフルトに多額の移籍金オファーを提示しなければならなくなった。

ただ、他にもフランクフルトはローデがドルトムントから今年6月末までのレンタルで来季の去就は未定。また同じくレンタル移籍中のヒンターエッガーは所属元であるアウクスブルクのフロント陣と仲違いしていて、このまますんなりフランクフルトへ完全移籍できるかは予断を許さない。また昨夏に2022年6月までの契約延長を締結したレビッチも他クラブから高額な獲得オファーが届けば、ヨーロッパ規模では中堅クラブに留まるフランクフルトとしてはクラブの経営維持を名目に彼を手放す決断をするかもしれない。

来季のUEFAチャンピオンズリーグ出場権を得られるEL制覇を逸し、ブンデスリーガでもCL出場権圏内の4位以内を逃せば多額の放映権収入を失うこととなり、フランクフルトは必然的にチーム再編を余儀なくされる。2020年6月までクラブと再契約した長谷部がキャリアハイの充実した時を過ごしている一方で、フランクフルトはクラブ全体の“体力“を維持するためにも、ベンフィカとのホーム戦が究極のサバイバルマッチになる。

取材・文=島崎英純

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です

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