ついに念願のブンデスリーガ1部の舞台。しかし、今回話を聞いたのはフットボールから少し外れたことである。話を聞くのに最適な人物は今、ニュルンベルクでプレーしている。
ハンブルガーSVとダルムシュタットを経て2015年の夏にニュルンベルクへ加入。2年後にはキャプテンとなり、クラブとともにブンデスリーガへ昇格した。今季は初のドイツトップリーグで21試合に出場している。
そんなベーレンスは『Goal』の独占インタビューに応え、趣味のサーフィンやコスタリカで経験したとんでもないエピソード、プロフットボール界の “バブル”、フランク・リベリの金箔ステーキのことを語る。
■「プロのフットボーラーになれなくても幸せになれただろう」
――ベーレンスさん、あなたのインスタグラムのプロフィールはごく短くて簡単ですね。「フットボール、サーフィン、旅行」、これだけなんですから。フットボールのせいでサーフィンと旅行を思う存分楽しめないのは残念ですか?
僕が選んだ職業は時間の融通を利かせるのが非常に難しいから、確かにそういう点ではちょっと残念だよ(笑)。代わりに休暇はいつ取れるかわかっているけどね。たとえ、この冬みたいに忌々しいほど短い休暇しか取れなかったとしてもね。今からもうはっきりしているのは、キャリアが終わったら、サーフィンや旅行が僕の生活の中で大きな部分を占めることになるだろうってことだよ。
――ブンデスリーガの選手の半分がそうしているように、あなたも冬の休暇をドバイで過ごしたんですか? それとも、ドバイにはサーフィン向きの波がないんでしょうか?
そうなんだ、波の点ではドバイはダメなんだ。長い休暇の時には、それが僕にとって一番重要な基準になるんだよ。だから、僕はガールフレンドと一緒にバルバドスで6日間過ごしたんだ。腹筋にケガをしていたから、休暇の間中リハビリをしていなくてもいいのかどうかずっとはっきりしなかったんだ。けれどそれから医者や監督と話し合って、何日間か旅行に出てもいいってことで話がついたんだ。独りぼっちも同然でニュルンベルクで過ごさなくてもね。それは精神的な意味でも大事なことだったし、僕にとってはすごくいいことだったよ。
――あなたにとって “水” を愛する気持ちは生まれながらのものなんでしょうね。ハンブルクの海辺で生まれ育って、おじいさんは2人とも船乗りだったんですから。それでもあなたはずっと、いつかプロのフットボーラーになりたいと思っていたんですか?
そうだよ、小さな頃からね。ただ大きくなるにつれて気づいたんだけど、プロのフットボーラーになるためには、ほかの人にとってはまったく当たり前のことをたくさん諦めなければならないんだ。僕はきっと、プロのフットボーラーになれなくてもごく幸せに過ごせていただろうね。ほかの仲間たちを見ていてもそうだ。仲間の中には学生がたくさんいるけど、彼らはたとえば “ワーク&トラベル”(外国で働きながら文化や言語を学ぶプログラム)に参加するために、とにかく1年ほどクラブの外へ出ていくんだ。僕もぜひ経験してみたかったね。
――あなたは青少年期をHSVでフットボーラーとして過ごしましたが、当時アメリカへ留学したいと考えていたそうですね?
そうなんだよ。当時の僕はHSVのリザーブチームにいて、プロへの道が滞っていたんだ。だから奨学金をもらってアメリカへ行って、向こうの大学で勉強することを真剣に考えていた。思い切ってそうするべきか、それともドイツに残ってもう一度フットボールで頑張ってみるべきか、長い間悩んだよ。そしたら3部リーグのダルムシュタットからオファーが来たんだ。で、今考えると本当に良かったと思うんだけど、僕はその話を受けることに決めたんだ。
――あなたにとってはフットボールから離れて過ごす時間が非常に重要な意味を持っていて、頻繁にフットボールの歯車の外に出て過ごす必要があるんでしょうか?
確かに、そういう時間が僕にとっては重要だ。最近の僕たちのようにチームがいい結果を出せていない時には特にね。結局こういう仕事をしていると、しばらくの間頭を休ませてやることに特別な意味があるんだよ。僕の場合、夏になって、特に大好きなサーフィンをやっていれば、たいていそれがうまくいくんだ。それからまたフットボールに戻ってくると、最初の何日間かはちょっと遠くの世界が恋しく思えるけれど、それからまた新しい期待とエネルギーで一杯になっている自分に気づくんだよ。
■「キャリアが終わったらオーストラリアへ」

――あなたは旅行の時にホテル暮らしの快適さを求めますか? それとも、むしろ自給自足的なタイプですか?
何でもそろった混じりけなしのホテル暮らしは、あまりにも退屈に思えるよ。僕はほかにもいろいろなことに興味があるからね。サーフィンをやりに何度もバリ島へ行ったことがあるんだ。バリ島ではどこへ行っても美味しいものが食べられるし、朝食はどこかのカフェでとるんだ。たとえば僕たちが10人でバリ島へ行ったとき、セバスティアン・カークやティム・ライボルトも一緒だったんだけど、小さな家を5つ借りたんだ。大きな台所とラウンジ、それに真ん中にはプールがあったよ。自分たちだけで好きに過ごせるんだから、ホテルよりずっとクールだと思ったね。僕たちは3年前にはとにかくバリ島をあっちこっち旅行して回って、毎日その日に泊まる宿を探したんだ。狭苦しい空間に古いベッドが備えつけられた簡単な宿にも泊まったよ。だけど今じゃ、ちゃんとした寝室で眠りたいと思うようになっちゃったけどね(笑)。
――旅先での土地の人々との交流も、あなたにとって重要な意味を持っているんですか?
無理して土地の人たちと交流しようとは思わないね。だけど僕はオープンな姿勢で生きることにしてるから、バリ島のような土地では自然とそういうことが起こるし、一緒に一杯やったりおしゃべりしたりしているよ。そういう経験はいつだってすごく興味深いことだと思うし、そうやって話しているといろいろと学ぶことがあるんだ。現地の人たちの暮らしは僕たちとは全然違っていて、すごく興味深いんだよ。それに、もちろん向こうの人たちもいろいろ質問してくるよ。ドイツで僕たちはどんなふうに暮らしているのかってね。
――何週間も続く休暇を一人だけで過ごすことにも魅力を感じますか?
うん、感じるね。これを読んだら、僕のガールフレンドは気を悪くするかもしれないけど(笑)。 以前インターナショナルブレイクの期間中に、ローマで2日間一人きりで過ごしたことがあるんだ。誰かといる時よりも意識して周りを眺めることになるから、あれはすごく面白い経験だったよ。仲間と一緒だともっとふざけたりして過ごすものだけれど、ローマでは僕は自分一人だけで情報を集めたり、何をするか決めたりしなければならなかった。とにかくあんなふうに旅行すると、まったく違った経験ができるんだ。自分だけで行動していると、馴染みのない環境の中でいつもと違った自分を知ることができるんだよ。
――以前あなたは旅行中にサーフボードで太腿にケガをしたことがありますが、今ちょっと考えてみて、ほかに何かエピソードが思い浮かびますか?
コスタリカで過ごしたある日のことは、フットボールを別にすれば、この5年間で一番はらはらどきどきした経験だったね。あの時は、ティム・ライボルトとほかに2人のチームメイトも一緒だった。僕たちは午前中にクアッド(不整地を含む様々な地形を進むことができる原動機付き車両)を何台かレンタルした。それから5時間の間、ほぼ海岸に沿って北へ向かって車を走らせた。ひっきりなしにわりと小さな川が現れて、海へ流れこんでいた。僕たちはそういう川を突っ切って走ろうとしていたんだけど、僕の乗ったクアッドが最初の川を3m進んだだけで、はまりこんで動かなくなったんだ。そのクアッドをまた引っ張り出すのに、僕たち4人全員が力を合わせなければならなかったよ。
――そのエピソードには続きがあるんですよね?
もちろん。それからさらに僕のクアッドのタイヤがパンクしたんだ。しかも出発した場所から50kmくらい離れた地点だった。それからレンタカーの店の担当者に電話をかけると、彼が言うには、僕たちは10km以上遠くへ行ってはいけなかったんだ(笑)。 おまけにその日は大晦日で、彼には僕たちをかまっている時間はないって言われたんだよ。
――それはまた面白くなってきましたね。
それから僕たちは最寄りのバーへ行くことにしたんだけど、偶然その隣が修理工場だったんだ。工場の若者たちに頼んで、クアッドを運んできてタイヤを修理してもらった。修理はしてもらったけど、それからまた戻るにはもう暗くなりすぎていたから、僕たちはそこに居座ることにして、工場の人たちを招待して一緒に酒を飲んだんだ。彼らにとってはかなりクールなことだった。そこは絶対観光客が来るような所じゃなかったし、ヨーロッパ人はめったに立ち寄らなかったからね。バーの建物の奥にはいくつか貸し部屋もあった。わりとつつましい部屋だったし、昼間にいろいろ苦労したせいで僕たちは全身泥だらけだったけど、そこで眠って次の日に戻ったんだ。
――素晴らしいエピソードですね! では旅の話の最後に、あなたはいつかオーストラリアへ行きたいと思っているそうですが、どうしてまだ実現してないのでしょうか?
3週間しか過ごせないとしたら、オーストラリアはあまりにも広すぎるんだよ。ある場所から別の場所へ急いでいくには、たぶんトラックを使うしかないだろう。キャリアが終わって、何か月も時間を使えるようになるまで、オーストラリア行きの夢は楽しみに心の片隅に取っておくよ。オーストラリアではサーフィンもすごく楽しめるって聞いてるしね。
■「いわゆるフットボーラーらしくない選手もたくさんいる」

――コスタリカでのエピソードからもわかるように、あなたはブンデスリーガのクラブのキャプテンでありながら、自分の自由になる時間にはある程度匿名の存在としても過ごすことができます。必ずしもプロのフットボーラーの誰もができることではありません。あなたは、自分がマリオ・ゲッツェのような有名選手でなくてよかったと思いますか?
正直言って、とてもよかったと思ってるよ。確かに、マリオ・ゲッツェ自身がどう思っているか判断するのは難しいことだ。けれど、新聞や雑誌が彼自身や彼のプライベートな生活についてさんざん報道しているのを見ると、僕ならとても不愉快で辛い気持ちになると思うね。もし休暇中も自由に行動できないんだとしたら、ウンザリだよ。
――さきほどフットボールの歯車の外で過ごす時間について話しました。批評の際によく引っぱり出されますが、プロ選手の生活が浸かっているように見える歯車の外での “バブル” のことをあなたはどう思いますか? 本当にそういうものがあるんですか?
“バブル” は複雑で捉えにくいものだけれど、そういうものが存在するのは確かだと思うね。特にその原因を作っているのは、フットボーラーをパフォーマンスの良し悪しだけで評価したり定義したりする風潮だ。パフォーマンスがうまくいかないと、まさに現代のようなソーシャルメディアの時代には、面と向かって否定的なコメントをぶつけられる。だから、個人的な領域ではよく気をつけて控えめに振る舞わなければならないことが多いんだ。感情的になって何か発言すると、それがまた全部クラブや自分自身の上にネガティブな形で跳ね返ってくることがあるからね。それに、競技スポーツでは弱みを見せることは許されない。それはやってはいけないことなんだ。大部分の人たちから否定的な受け止め方をされるからね。もちろん、僕の友人たちの間では事情は全然違っているけど。
――世間ではフットボーラーをあまりにも性急に型にはめて考えすぎると思いますか?
そうだね。僕がいわゆるフットボーラーらしくないって言う人たちが大勢いるんだ。けれど、いわゆるフットボーラーらしくない選手というのはほかにもとてもたくさんいるんだよ。もしかするとそうは思えないかもしれないけれど。もちろん、速い車とか高価な服といった昔ながらの型にはまった話のタネがあるし、みんながみんな偏見に捉われないものの見方をするわけじゃない。それは確かにその通りだ。けれど、フットボーラーが本当はどんな人間でどんな考えを持っているのか、世間の人たちは誰も知らないんだ。だから実際問題として、多くの人たちはそれについて判断することはできないんだ。けれど、彼らはそれをやるんだよ。
Getty Images――最近ではフランク・リベリが話題を呼びましたね。彼が金箔を貼ったステーキを食べて、その動画をSNSで公開すると皆が憤慨し、次はそれに対してリベリが腹を立てました。あなたはリベリの怒りが理解できますか?
どっちの気持ちもわかるけれど、結局は、リベリの好きにすればいいんだ。それだけははっきりしている。彼は真面目に仕事をして自分の金を稼いでいるんだから、その金で好きなことをしていいんだ。彼の投稿に対するみんなのコメントは口にしたくないようなひどいものだったよ。けれどリベリは有名人なんだから、投稿するならそれに対する反応も予想するべきだろうね。
――リベリは招待を受けたのであって、金箔を貼ったステーキの代金を支払ったわけではなかったそうです。もし誰かからそういうものを提供されたら、あなたならどうしますか?
僕はステーキに金箔を貼ってもらう必要はないね。どっちみち味に関係ないのははっきりしてるんだから(笑)。
――あなたはクラブのキャプテンとしてメディアから特に関心を持たれる立場にありますし、そのせいで試合後に限らず取材に応じなければなりません。そういう時あなたはどのくらい本音で話すんですか?
僕は、信頼の置ける誠実な発言をしようと心がけているんだ。このインタビューのようなフットボールとはあまり関係のない話の場合は特にね。けれど自分の発言に注意しないわけにはいかない。試合後にはもっとそう思うよ。一方では自分の考えを正直に話したいと思うんだけど、同時に隙を見せてもいけないんだ。そしてだからこそ、ほとんど面白みのないことを言う羽目になるんだ。100%正直ではいられないよ。自分の言ったことが誇張して伝えられたり、まったくねじ曲げられたりすることがよくあるからね。ここで例を挙げることだってできるよ。
――是非聞きたいですね。
ある時僕がこう言ったんだ。「僕たちは、監督もチームも、とにかくみんながウィンターブレイクの間によく考えなければならない」って。結局、新聞の見出しは『ベーレンス、監督を批判する』だった。そうすると、多くの人たちは見出ししか読まないことがあるし、すぐに周りが騒がしくなってくるんだ。この経験から僕が何を学んだと思うかい? これから僕は、本当は全然そんなことを言いたくないとしても、とにかくありきたりな答えをしなければならないってことだよ。
――ちなみに正直ということで言えば、あなたがよく知っている選手がインタビューで答えているのを聞くと、本当にそう思っているはずがないとわかっていてニヤニヤせずにはいられないこともあるんじゃないですか?
誰だか名前を挙げようなんて気はさらさらないけど、はっきりそう思うことはけっこうよくあるね(笑)。
インタビュー・文=ヨアヒム・ティットマール/Joachim Tittmar
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