最初は途方もないアイディアに思われた。
チャンピオンズリーグ予選のフェネルバフチェ戦で、公式戦に初めてお目見えしたファビーニョと(ティエムエ)バカヨコのコンビは、あくまでスペアタイヤのようなものだと思われていたが、レオナルド・ジャルディム監督だけは違った。リーグ・アン開幕節のギャンガン戦でこのコンビを再び送り出したことからも指揮官の自信がうかがえる。周囲は疑念をもっていたが、彼らはピッチで実力を示し、スタッツでも指揮官の選択が正しかったことを証明した。
Getty■2人が持つ2つの武器
3-1の勝利に終わったマンチェスター・C戦の前半は、ファビーニョとバカヨコのコンビにとって、今シーズンの「ハイライト」となるにちがいない。シティがボールをキープすると、まずファビーニョが巧みなポジション取りで、相手がボールを受けるべきスペースを潰す。続いて、バカヨコが体格にものをいわせてシティ攻撃陣に対し、猛烈なフィジカルコンタクトを浴びせた。


この図はバカヨコ(1)とファビーニョ(2)がボールに触れた位置を示すものである。
1対1のデュエルで決して引かずにボールを奪う2人は、同じようにフィードの才能もあることを示した。2人から送られる前線へのパスは正確で、同時に、チーム全体がすぐさま態勢を整え、素早いカウンターに移ることを可能とする。ミックスゾーンで、ヴァレール・ジェルマンは2人の役割について次のように分析してくれた。
「2人の役割はボールを奪うことだけど、味方がボールを持っているときでも、持っていないときでも、同じように安心させてくれるんだ。2人があそこにいると、みんな自信を持って、前へ飛びだすことができる」
15日の夜、モナコは、前半にはピッチの中央を完全に支配していたが、後半はそれほど好機が生まれず先細りになってしまった。そんな中、バカヨコとファビーニョは、思いがけない形でチームを救うこととなる。フットボールの醍醐味であるゴールという形で。試合開始から3本目のシュートで得点したバカヨコは、実際のところ、ゴールネットを揺らすことが多い選手ではない。一方、ファビーニョはCLでモナコが奪った直近6得点のうち、50%に絡んでいる。この数字を見るだけでも、ファビーニョがピッチの両側で効果的なプレーをしていることがわかるだろう。ヴァレール・ジェルマンは、こうも言った。
「彼の仕事じゃないからこそ、余計に印象的だ。とても頭のいい選手で、フィードもできるし、おまけにディフェンスが堅い。ファビーニョとバカヨコがいれば、いつまででも守っていられるんじゃないかと思うよ」
2人が活躍するということは、むしろ、モナコが攻撃できる時間が少なくなることを意味するのかもしれない。それでもジェルマンは「チーム全員で監督の求めることを成し遂げようとしている」と話す。守備だけでなく、攻撃面でもチームの役に立つことを世界中に証明した2人。言うまでもなく。ジャルディム監督が2人に満足する理由は、一つだけではない。
文=ユリアン・クエレン/Julien Quelen
●サッカーのライブを観るならDAZNで!1ヶ月間無料のトライアルを今すぐ始めよう。



