■闘将プジョルとの逸話
©Getty Images「カルレス・プジョルがいないバルセロナなど想像できなかった」
かつてそう語ったのは、他ならぬジェラール・ピケであった。ピケがレジェンドについて思い出すのは、常にストイックで、ピッチ上で声を張り上げ続ける姿だという。
「彼が(2010-11シーズンのケガから)復帰した日のことを覚えているよ。試合の途中で僕はこう言ったんだ。『プジー(プジョルの愛称)、君がいなくて寂しかったよ』。そうしたら彼は、『喋ってないで集中しろ!』と僕に言ったんだ。彼はそういう姿勢で進み続けるんだ」
また、ある時はと語りだすピケの口から出る逸話は、いずれもプジョルらしいものだった。
「ある試合で、負傷者が出てストレッチャーで運ばれていた時のことだ。プジョルが僕に向かって叫んでいたんだ。だから僕は彼にこう言ったよ。『落ち着いていい。4-0だ。ただ、まだ3分残っているぞ!』とね。そしたら彼はこう言ったんだ。『だから何だ? いいから集中しろ! そんなことは分かっている!』」
■序盤の不調から欠かせない選手に
Getty Imagesそして時は流れ、現在。
当時バルサのディフェンス陣を統率していたのはプジョルだったが、今やその役割はピケが担っている。それは彼の不在時に顕在化した。
リーグ戦で全試合フル出場を果たしていたピケは、4月のビジャレアル戦で遠征を回避。しかし、その試合でバルサは空中分解するように4失点を喫した。
ルイス・スアレスやリオネル・メッシがいなければ、エスタディオ・エル・マドリガル(ビジャレアルのホームスタジアム)で敗戦を喫していただろう。彼らの得点によって4-4の引き分けに持ち込んだバルセロナは、タイトル獲得に向けてなんとか勢いを保ったのだった。
もちろん、スター揃いのアタッカーたちが常に紙面を賑わしてきたが、ピケも3冠を狙うバルサで重要な役割を担っているのだ。
しかし、今シーズンは暗い話題からのスタートであった。
昨夏のロシアW杯終了後、ピケはスペイン代表引退を発表。その際、休養が必要であることが引退の理由であると説明したのだ。
確かに彼は今季序盤、疲労に悩まされているようだった。それはポゼッション時の緩慢な動きや、マークを外してしまう彼らしくないプレーが証明していた。
事実、10月上旬だけでゴールに直結するミスを3回も犯しており、今も離脱が続くサミュエル・ウムティティの深刻なケガもあり、バルサの最終ラインのメンバー選考は常に悩みの種だった。
しかしピケはゆっくり、そして確実に、国際試合による中断を活用して回復し始め、ベストコンディションを取り戻していく。そして夏に獲得したクレマン・ラングレと最高級のセンターバックのコンビを形成したのだった。
溢れ出る統率力、レベルの高さ、そして落ち着きを身に着け、比類のない存在となったピケ。バルサはレアル・マドリーのホームで3-0、1-0の勝利を収め、ブランコス(レアル・マドリーの愛称)にコパ・デル・レイとリーガのタイトルを取り上げたのだ。
ホルヘ・バルダーノはスペイン紙『エル・パイス』のコラムで、ピケの好調ぶりをこのように記した。
「ピッチではピケは静かにピンチの芽を摘む。まるで警視総監の権限を行使しているみたいだ。ピケは自分自身に恋しているのではないかという印象を受けているよ。そして、クラシコで我々が目撃したことを考えれば、それも当然のことだろう」
■プジョルも認めた成長
Gettyそしてそのカタルーニャ人DFは、先週カンプ・ノウで行われたCL準決勝ファーストレグで、彼の到達したさらなる高みを示してみせた。
リヴァプールの新たなスター、ヴィルヒル・ファン・ダイクは世界最高のDFと称賛されながら試合を迎えたが、ピッチで相対したピケがそのお株を奪ったのである。
バルサの痺れるような3-0の勝利に終わったこの試合。ファン・ダイクは少なくとも最初の2失点で責任の一端を負わされるだろう。一方ピケはその試合で、集中力、予測、そして完璧なビルドアップを披露した。それは、彼に欠けているとこれまで批判されていた資質であった。
そして、プジョル自身も後輩の成長ぶりに目を見張っているようだ。
「彼は元々、とてもインテリジェントな男だけれど、今はもっとインテリジェントだと分かるだろう。リーダーシップについてもそうだ。彼は前からリーダーシップを持ち合わせていたが、今や彼は完全にピッチをコントロールしている。特にディフェンスラインをね。それがプラスになっている。同じくポジショニングも向上したよ。彼は自分のポジションを滅多に外さないし、試合展開を読む力や危機予測の力に長けている」
「決して冷静さを失わない。より責任感がついたような気がするね。それは時間と経験から来るものだろう」
バルサの象徴は続けて、「彼は世界最高のセンターバックだよ。私と彼は違うけれど、チームへの貢献度とリーダーシップから、彼はバルセロナのキープレイヤーだ」と熱っぽく語った。
プジョルの言うことに誤りはない。かつてのプジョルがそうだったように、今やピケのいないバルセロナなど想像ができないのだから。
文=マーク・ドイル/Mark Doyle
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の記事です





