強いバイエルンが戻ってきた。ゴールを重ねても、攻撃陣が満足せずに前へ前へとボールを運ぶ姿は3冠を獲得した2013年を思い出させ、そこに相手への慈悲はない。
チームは直近2試合で11ゴールとまさに“オン・ファイア”。その相手も欧州カップ戦出場圏内をうかがうボルシア・メンヒェングラードバッハとヴォルフスブルクであり、圧倒的な格下を蹴散らしたわけではない。リーグ戦では5連勝で、得失点差ながらついにドルトムントをかわして首位に躍り出た。まさに最高の状態で13日のリヴァプール戦を迎えることとなる。
そこには慢心もない。印象的だったのはニコ・コバチ監督の表情。ヴォルフスブルク戦では大量6ゴールを最終的に奪ったが、5点目を奪ってもなお腕組みをしたままタッチライン際に立ち、頬を緩めず。すでに強敵との戦いへ向け、覚悟を決めているような立ち居振る舞いだった。
試合後に「とても、とてもいい試合だった」とパフォーマンスに賛辞を贈ったのと同時に、「まだ何も勝ち取っていない」と言葉でもチームを引き締めている。
今季は、パリ・サンジェルマンが2-0から史上初の逆転を許し、レアル・マドリーもサンティアゴ・ベルナベウでまさかの4失点を喫するなど、ここまでセカンドレグをホームで戦うチームがアドバンテージを生かせずにいるが、バイエルンには無縁なデータとなりそうだ。CLではホーム直近20試合でわずか2敗と、ミュンヘンでは強さを見せてきた。
ファーストレグの前、バイエルンの選手たちは口々に初のアンフィールドを心待ちにするコメントを残していたが、逆にリヴァプールの選手たちにフースバル・アレーナ・ミュンヘンを楽しむ余裕はないだろう。ホームチームが何度ネットを揺らそうとも、「早く次のゴールを」とでも言うようにファンは大歓声を飛ばす。ミュンヘン屈指の観光地ゆえに熱狂的なコアサポーターが根付いていないという批判もあるが、大一番では燃えるようなスタンドを作り上げてきた。アウェーチームにかかる圧力は計り知れないし、そこに「容赦」の二文字は存在しない。
■強さのキーワードは…
Getty Images現在の強さについて、特筆すべき点を挙げるとすれば、その「凶暴性」だろうか。
スコアボードに新たな名前が刻まれても選手たちは獣のように次のゴールへ向かい続ける。満ち足りることは決してないかのようだ。得点の直後から次のゴールシーンを思い浮かべる。5得点を奪ったボルシアMG戦後にもコバチ監督は「もう1、2点取るチャンスがあったし、取るべきだった」と語り、その獰猛さこそ指揮官が掲げる理想なのだろう。試合中は仏頂面を貫く指揮官とともに、ヴォルフスブルク戦で5点目を決め、なお吠えるヨシュア・キミッヒの姿にチームコンセプトが見えた。
ボルシアMG戦にしてもヴォルフスブルク戦にしても、大量ゴールが生まれるような圧倒的支配を繰り広げていたわけではない。それでも、要所でかける人数の多さやゴールへの集中力で得点率を飛躍的に上げている。ボルシアMG戦の2点目(ミュラー)はここぞという場面で多くの選手がペナルティーエリアへと流れ込み、生まれたもの。逆にヴォルフスブルク戦の5、6点目(キミッヒ、レヴァンドフスキ)は人員をかけていないにもかかわらず、数人の意識の共有と得点への強い渇望からゴールを陥れた。いずれにせよ、チャンスがそれほど与えられない強豪相手にこそ発揮されるバイエルンの真骨頂と言える。
■メンバー選考にも注目
(C)Getty Imagesファーストレグはスコアレスでのドロー。どちらにとっても悪くない結果に終わったが、下馬評でやや不利と目されていたバイエルンに与えた影響はポジティブなものばかりだった。
一つはハビ・マルティネスの復調である。守備の防波堤としてリヴァプール戦で先発すると、対人の強さを発揮して「並外れたパフォーマンス」(コバチ監督)でシャットアウトに貢献。この一戦をきっかけに、以降の2試合で連続して先制点を挙げるなど攻撃面でもキーマンとなり、復活の立役者に。今シーズン前半戦は出場機会に恵まれなかったことから、「監督を見返したかったのでは?」という意地の悪い質問をリヴァプール戦後にされたが、「いや、そんなことはないよ。ただ、チームを助けたかったんだ」と100点満点の回答を披露している。
さらに、主力選手たちの戦線復帰も頼もしい。アンフィールドの地を負傷により踏めなかった選手が、ジェローム・ボアテング、レオン・ゴレツカ、フランク・リベリ、アリエン・ロッベンなど多数いたが、ロッベンを除いて実戦復帰済み。メンバー選考はコバチ監督にとって嬉しい悩みとなる。
守護神はマヌエル・ノイアーで変わらないが、DFラインは左からダヴィド・アラバ、フンメルス、ニクラス・ジューレ、そして出場停止のヨシュア・キミッヒの代わりに入るのはラフィーニャが濃厚だ。中盤は好調のハビとチアゴ・アルカンタラがコンビを組むだろうが、トップ下はハメスと復帰したばかりのゴレツカが一枠を争うこととなる。右サイドはセルジュ・ニャブリ、左サイドは大一番にベテランの精神力を頼る意味で、キングスレイ・コマンではなく、フランク・リベリが入るのではないか。最前線はもちろん、ここ2戦4発で波に乗るロベルト・レヴァンドフスキである。
■勝負を分けるのは攻撃力
Getty Images他方、リヴァプールは直近のバーンリー戦で4-2と勝利。2失点は気になるものの、先発復帰を果たしたロベルト・フィルミーノに2ゴールが生まれたのは朗報だ。マンチェスター・シティにプレミアリーグの首位を譲ったとは言え、バイエルンやマンチェスター・ユナイテッド、エヴァートンといった強敵たちを含むここ10試合で負けていない。
「勝てばいい」というシンプルな状況で戦いやすいのはリヴァプールも同じである。リーグのみならず、CLで残虐な(クロップ風に言えばハードロックな)攻撃力を見せたのは、昨季の決勝トーナメント準々決勝マンチェスター・シティ戦など記憶に新しいだけに、狙うは敵地での白星だ。
バイエルンにとって突破条件は勝利のみ。1-0の勝利でもベスト8進出は決まるが、打ち合いになっても、今の凶暴性を持ってすればリヴァプールすらも食う可能性はある。“同胞”のドルトムントはトッテナムに完敗し、シャルケに関してはマンチェスター・シティに2戦合計2-10と叩きのめされた。バイエルンがドイツ王者の威信と、そして無慈悲さを持ってホームでねじ伏せにかかる。「最後の砦」として威厳を示すために。
文=平松凌(Goal編集部)
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