Thiago Alcantara - Barcelona

チアゴ・アルカンタラが語るバルサ育成時代。ペップとコバチの違いとは?/インタビュー

チアゴ・アルカンタラはイタリアのサン・ピエトロ・ヴェルノーティコで生まれ、スペインとブラジルで育った。そして現在はドイツの名門クラブ、バイエルン・ミュンヘンでプレーする。

今回は、プレシーズンのアメリカツアー中のロサンゼルスで、『Goal』はこのクラックにインタビューを実施した。

インタビューでは、チアゴの少年時代、レアル・マドリーからのアプローチ、父親から受けた最も重要な教えについて、そしてペップ・グアルディオラと交わした最初の会話などを話してくれた。さらに、バルセロナに降り立ったときのことや、ラ・マシア(バルセロナの育成組織)で最も印象的だったこと、物議を醸し続けるニコ・コバチ監督についての印象も語った。

■バルセロナ加入までの経緯

Thiago Alcantara - Barcelona

――チアゴ、少年時代の一番の思い出について教えてもらえますか?

おっと、いきなりそれは難しい質問だね。子供の頃のいい思い出はたくさんあるんだよね。僕は長い時間を弟(ラフィーニャ)と過ごしたんだけれど、彼は2つしか歳が変わらない。小さい頃、父の試合が終わった後、いろんなスタジアムの芝生で遊んでいたのを覚えているよ。

――あなたのお父様、マジーニョはブラジル代表選手でしたね。彼はブラジル、イタリア、そしてスペインでプレーしていました。彼の最も重要な教えを教えていただけますか?

サッカー選手として父が教えてくれたのは、自由にプレーして、楽しみ、そして同時に責任感を持ち、一定の真面目さを見せることだ。それを同時にやることをいつも心に留めているよ。観客には喜びと、そして同時にチームにとっていい決断を見せていきたいんだ。

――少年時代には、あなたは最初にスペインの小さいクラブでプレーしています。そして、その後にブラジルのフラメンゴで、次にスペインに戻ってウレカ・ネグランに所属しました。スペインのサッカーはブラジルとどのような違いがありますか?

ブラジルでは、サッカーは宗教なんだ。最初の1年はフットサルから始める。いくつかの大会に出て技術を磨くんだ。2年目には普通のグラウンドで普通にサッカーをやる。このコンビネーションがブラジルのサッカーを作り上げているんだ。フットサルはスピードやフェイント、そして小さい地域での最適な動きについて学ぶことができる。そこで学んだことをサッカーに持ち込むことができれば、最高に役に立つんだ。一方、スペインではサッカーしかしない。選手たちがやっているトレーニングは印象的だったよ。

――2005年、14歳の時にバルセロナに移籍しました。クラブからどのようなコンタクトがあったのでしょうか?

当時はビーゴ(セルタのあるスペインの都市)のクラブでプレーしていた。母は僕がセルタでプレーすることを許してくれなかった。セルタは父がプロだったとき、少々問題があったクラブだったからだ。だから僕は学校の友達数人と一緒に小さいクラブにいた。そのチームにいた僕たちはあるシーズンに、レアル・マドリーを打ち負かして、さらにセルタやデポルティボも倒した。実際、スペインのどんなチームにも勝つことができたよ。そんなある日、僕たちはバルセロナで試合をした。すると、試合の後で父が僕にこう言ったんだ。「チアゴ、試合の前には伝えたくなかったんだが、バルサが来シーズンお前とプレーしたいと言っている」とね。その瞬間僕は完全にまごついてしまった。バルサなんて言ったら、とてつもなく大きなクラブじゃないか。すると、レアルや他のクラブも僕にコンタクトしてきた。けどそのときには僕の心は決まっていたんだ。

――そしてあなたはあの有名なラ・マシアでプレーしました。どの選手が最も印象に残っていますか?

ガイ・アスリンという、イスラエルから来た子供がいたんだ。彼は僕と同い年だったけれど、いつでも僕の一歩先を行く存在だった。その後彼はセカンドチームに行くことができたけれど、プロに行くことはできなかった。結局、彼はスペインリーグの2部と3部でしかプレーしていないんだ。それでも、僕がマシアで見た中で一番才能ある選手だったよ。

■ペップとの忘れられない思い出

Thiago Alcantara Pep Guardiola FC BarcelonaGetty Images

――2009年にあなたは、ペップ・グアルディオラのもとで18歳にしてプロデビューを果たしました。ペップと交わした最初の会話は覚えていますか?

それよりずっと前だったかな、U16のトレーニングセッションの時だった。ポジショナルプレーについてのセッションだったけど、戦術や技術に関して、彼がとてつもない考えを持っていることにすぐ気がついたんだ。そしてよくわかったことは、彼はコーチ職が天職であり、リスペクトできる存在だということ。彼自身も学ぶことの多い偉大なプレイヤーだったからね。けど、彼が監督としてあれだけ突出したキャリアを築くことになるとは、当時は誰も予想できなかったね。

――グアルディオラに関して、印象に残るロッカールームでのスピーチはありますか?

素晴らしいスピーチはたくさんあったよ。一つ選ぶとしたら、2011年にマンチェスター・ユナイテッドと戦ったCL決勝戦のときかな。あのような試合を前にして、普通の試合とも、もしかするとレアルとのエル・クラシコとさえも違った気分になっていたんだ。

――そこでグアルディオラは何を話したんでしょうか?

うーん、申し訳ないけれど、ロッカールームでのことはロッカールームにとどめておかなくちゃいけないんだ。

――それでは、グアルディオラから学んだ最も重要なことは何でしょうか?

フットボールへのすさまじい情熱かな。

――2013年にはグアルディオラを追ってバイエルンに移籍しました。彼はどのように進化していましたか?

ペップは年々素晴らしい監督になっていた。よりマジカルで、経験を積んでいて、戦術に抜け目がなくなっていたよ。

■ケガから学んだこと

Müller Lewandowski Thiago Bayern Supercup 2019Getty

――バイエルンに移籍してすぐの時点で、一番印象に残った選手は誰ですか?

フィリップ・ラームだね。彼にとってみればすべてがシンプルで、でも完璧なものだったんだ。彼は正しい判断しか下さなかった。それを見ることができて、そして彼に率いられたことは素晴らしいことだった。彼と同じチームでプレーできたことを誇りに思うよ。

――すでにバイエルンで6シーズンをプレーしました。一番波乱に満ちたシーズンはいつでしたか?

僕にとって一番ハードだったのが、ケガをした2014年の4月から2015年の4月までの間だね。

――そこから学んだことは何ですか?

ドイツ語さ。ケガのおかげでドイツ語の勉強に集中することができたんだ(笑)。それまでは語学に十分な時間を割くことができなかったんだよね。けど、真面目に言えば、あれは本当にハードな時期だった。ああいうことは二度と起こってほしくない。そのために毎日トレーニングしているんだ。

――ニコ・コバチについては昨年たくさんの議論が巻き起こりました。他の監督が持っていないどのような力を、彼は持っていますか?

ニコは若い監督だ。彼はバイエルンですべてのタイトルを取りたいと思っているし、クラブと一緒に成長したいと思っている。いい仕事をしているし、僕らは全員彼のことが好きだよ。

――では、グアルディオラとコバチの異なる点はどこでしょうか?

ペップはビデオをふんだんに使って説明していたね。例えば、活用できるスペースはどこか、とか、なぜこの局面でこれをしなきゃいけないのか、とかね。ニコは違って、もっと自由にやらせてくれる。試合の中で選手個々に判断してほしいと思っているんだ。

■「計画は立てたくない性分」

Thiago Alcantara FC BayernGetty Images

――マッツ・フンメルスがドルトムントへと戻って行ってしまいました。バイエルンは彼の放出を悔やむことになるでしょうか?

マッツは素晴らしい選手だし、これまでに築いてきたキャリアはとても偉大だ。本当にすごい選手だよ。絶対に彼を惜しむことになるだろうね。素晴らしい選手であるだけではなく、人間性も素晴らしかったから。

――フンメルスの他に、アリエン・ロッベン、フランク・リベリ、ラフィーニャ、そしてハメス・ロドリゲスもバイエルンから離れます。クラブは彼らに匹敵する選手を求めていますか?

僕はサッカーをするためにバイエルンに雇われている。だから僕の仕事は移籍についてあれこれ心配することじゃない。そういう心配をするのであれば、僕には別の役職が必要だよ。僕が責任を持てるのは、ピッチでやることだけだね。

――大きな目標は、またチャンピオンズリーグ(CL)で優勝することですよね。最近は資金力のあるクラブが増え、数年前よりCLで栄冠を戴くのは難しい情勢になっていると思います。いかがでしょうか?

いつだってCLで優勝するのは難しいよ。毎年毎年ビッグクラブがどんどん敗退していくのを見ればわかると思う。質問に答えるとすれば、これまで通り難しいし、それは何も変わらないということだね。

――あなたはバルサとバイエルンに所属し、世界の素晴らしいスタジアムで試合をした経験をお持ちですね。どのスタジアムでのプレーが一番の経験でしたか?

海外でプレーするのが大好きなんだ。サンティアゴ・ベルナベウ(レアル・マドリーのホームスタジアム)やジグナル・イドゥナ・パルク(ドルトムントのホームスタジアム)が僕にとって特別なスタジアムだ。そこで所属クラブの最大のライバルと試合をしたからね。そういう状況では、僕のモチベーションはいっそう跳ね上がるんだ。最大のライバルと相手のスタジアムで対戦するというのは、ものすごいチャレンジなんだ。だからこそとても面白いと感じるよ。

――3、4年後にはあなたはどこでプレーしているでしょうか?

明日暮らしている場所さえ保証はできないな。今後3年どう過ごしているか、わかるものだろうか? 僕は自分の仕事を楽しんでいるところだ。毎朝起きた時に感じる気持ちを維持したいと思っている。3年後に何が起こっているかは誰にも分からない。僕は計画を立てたくない性分なんだ。計画は嫌いだよ。ここで今を生きようじゃないか。

インタビュー・文=ジョセフ・ヒッポリート/Joseph D'Hippolito

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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

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