■まさに“鉄壁”
(C)Getty Imagesエース、ネイマールを欠きながらも順当にコパ・アメリカで決勝に進出。20年ぶり5度目の優勝に王手をかけているブラジルが王国の歴史で初めての快挙を達成しようとしている。
5度のワールドカップと8度のコパアメリカ、そして4度のコンデレーションズカップを制してきたサッカー王国だが、無失点優勝は過去に経験がない。
グループステージから準決勝までの計5試合(450分)でアリソンが守るゴールマウスを破られた回数はゼロ。一度もネットを揺らされぬまま決勝までの階段を駆け上がってきた。
大会を通じての決定的なピンチもパラグアイ戦の1回とポストとクロスバーに救われたアルゼンチン戦の計3回のみ。今大会のみならず3年前の就任から41試合を戦い、うち31試合を無失点で乗り切るという驚異的な堅守を誇っている。
■堅守は「チッチによるもの」
Gettyチッチ率いるカナリア軍団は、歴代で最強の守備力なのだろうかーー。ブラジルで最も戦術分析に長けると呼び声高いジャーナリストのパウロ・ヴィニシウス・コエーリョ氏にアルゼンチン戦後、話を聞いてみた。
「ワールドカップで初優勝した1958年のセレソンも非常に守備が固かったし、メキシコ大会で優勝したセレソンも守備意識は高かった。過去、強かったセレソンは守備も優れている。ただ、今のセレソンの守備の固さはチッチならではで、彼の手腕によるものだ」
ネイマールを欠く「王様」不在のセレソンではあるが、ピッチに立つ全員がハードワーク。今大会最強の敵だったアルゼンチン戦でも、チーム全員が連動した守りでリオネル・メッシやセルヒオ・アグエロら世界屈指のアタッカーを封じてみせた。
試合後に堅守の秘訣を明かしたのは守護神のアリソンだ。「僕らのチームは誰もが与えられたタスクを遂行する。(フィリペ)コウチーニョもしっかりと守備をこなす。それが僕らのチームの特徴だ」
殊勲の先制ゴールを決めたガブリエウ・ジェズスも攻撃時のポジションこそ右ウイングだが、守備時には右サイドの危険地帯をしっかりとケア。アルゼンチン戦でも、クレバーな位置どりでダニエウ・アウベスとの好連携を見せていた。
■献身性は攻撃面でもプラスに
(C)Getty Imagesもっとも、コリンチャンスを率いてクラブ世界一に輝いた当時から、「攻撃が持ち味の選手を守備に奔走させて、犠牲にしている」との批判もあったチッチ監督ではあるが、攻撃のタレントに献身性も発揮させるのはチッチ監督のカリスマ性ゆえである。
ブラジル代表の守備戦術とはやや異なるものの、コリンチャンスではかつて浦和レッズでもプレーしたFWエメルソンがサイドで攻守に奔走。時に味方のSBのポジションまで戻り、守備の手助けをしていたがエメルソンは当時「チームのために走るのは当たり前」と言い切るほどだった。
コリンチャンスを率いていた当時もブラジル全国選手権で3度、リーグ最少失点をマーク。最終ラインの4人が抜群の距離感と連携を保つのはチッチ戦術の鍵でもあるが、それはカナリア軍団を率いても変わらない。
世界最高の呼び声高いアリソンが最後尾に控え、最終ラインの4人中3人はパリ・サンジェルマンでプレーしていたこともあって、阿吽の呼吸が成立しているのである。
コエーリョ氏は「史上最強の堅守」とは断言しなかったものの、チッチ体制下で2失点を喫したのは昨年のロシア・ワールドカップで敗北を喫したベルギー戦のみ。やはり、歴史的な守備力を誇るのが現在のブラジルだ。
■歴史に残る偉業へ
聖地マラカナンで7日に迎える決勝戦で対戦するのはダークホースとして勝ち上がってきたペルーである。下馬評ではブラジルの優位は揺るぎそうにないが、かつてコリンチャンスのエースとしてチッチ監督とともにクラブ世界一に輝いたパオロ・ゲレーロや、ブラジルの名門サンパウロでもプレーしたクリスティアン・クエバらは侮れない個の力を持っている。
長いコパ・アメリカの歴史を振り返れば、過去無失点で頂点に登り詰めたのは5チームのみである。ただ、1917年のウルグアイと1919年のアルゼンチンは3試合しか戦っておらず、1987年のウルグアイも2試合無失点で優勝。現在と同様の大会フォーマットで優勝した2001年のコロンビアのみが6試合無失点で栄冠を勝ち取っている。
ペルーを下せば、チッチ監督にとってブラジル代表での初タイトル。無失点のまま頂点に上り詰めたなら、その堅守は後世まで語り継がれる偉業になる。
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です