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“オズの魔法”から見える今季の狙い。仙台戦のキーマンはプロ2年目の柴戸海【浦和視点プレビュー】

明治安田生命J1リーグの開幕戦が22日から23日にかけて開催。浦和レッズはアウェイでベガルタ仙台と対戦する。昨季に天皇杯を制し、3年連続のカップ戦タイトルを獲得した浦和だが、リーグタイトルは2006年以来獲得できていない。13年ぶりの覇権奪還へ。オズワルド・オリヴェイラ監督は今季、チームをどのように構築していくのだろうか。【文=島崎英純】

■完敗だったゼロックス杯。スロースタートの様相も

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新シーズンの幕開けを告げるゼロックス杯で、天皇杯覇者の浦和レッズはJリーグ連覇を達成した川崎フロンターレに0-1で敗戦した。その試合内容はスコア以上の完敗で、今季の浦和のチーム構築が未だ途上にあることを如実に示していた。

浦和のチームコンディションが向上していない理由として、1月下旬と2月上旬の2度に渡って実施された沖縄でのキャンプで厳しいフィジカルメニューに取り組んだ反面、実戦感覚を養う格好の機会となるトレーニングマッチを1試合しか組まなかった点が挙げられる。

浦和のオズワルド・オリヴェイラ監督はその意図について、キャンプ最終日にこう語っている。

「今年は(リーグ、ACL、ルヴァンカップ、天皇杯を合わせて)70試合プレーできます、だから、今ある時間を練習に使いたいと思います。練習で勝っても勝ち点3を得ることはできません。去年は(夏のキャンプで)清水のGKに興梠慎三のひざがもう少しでもぎ取られるところでした。トレーニングマッチでは勝ち点のかかっていない試合で負傷してしまう可能性もあるわけです。1年で70試合プレーできますので、90分の練習試合はやらなくてもいいと思っています。サッカー界に長年いると、そういったことも学んでいきます」

指揮官としては、数多くの公式戦が組まれている今季を踏まえ、本番のゲームでチーム力を高めつつ、シーズン終了時に明確な成果を得る算段をしているようだ。ただし、そのチーム構築方法はあくまでも指揮官独自のプランニングの一環であり、実際にその手法で成功を収められる保証はない。

現時点でオリヴェイラ監督が2007年から5シーズンにわたり、鹿島アントラーズを率いた時代にJリーグを3連覇し、他に天皇杯を2度、ヤマザキナビスコカップ(現ルヴァンカップ)を1度制した実績だけが、その信用度を計る基準となっている。

■先発11人はゼロックス杯をベースに

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現状の浦和が未だ発展途上の段階にあるならば、Jリーグ序盤戦での苦戦は必至と言わざるを得ない。ただしオリヴェイラ監督は、キャンプの中ですでにチーム内の序列を定め始めていて、選手の起用法については先のゼロックス杯で先発を飾ったメンバーと途中出場した選手を中心に構成されそうだ。

川崎F戦では3バック、アンカー、両サイドアタッカー、ダブルインサイドハーフ、2トップが各ユニットを形成する3-3-2-2を採用し、先発メンバーは以下の通りだった。

GK西川周作、バックラインはリベロにマウリシオ、左ストッパー槙野智章、右ストッパー岩波拓也、アンカーは負傷中の青木拓矢に代わって新戦力のブラジル人MFエヴェルトン、右サイドアタッカーは橋岡大樹、左サイドアタッカーに宇賀神友弥。そしてインサイドハーフはチームキャプテンの柏木陽介と長澤和輝がコンビを組んだ。そして2トップは、エースの興梠慎三と、負傷中の武藤雄樹に代わってセレッソ大阪から加入した杉本健勇が務めた。

川崎F戦での浦和は総じて低調なプレーに終始した選手たちが多かった。特に昨季JリーグMVP・家長昭博の対応に苦慮した橋岡が本来のプレーパフォーマンスを見せられずに途中交代を強いられた点が気になった。

そんななか、オリヴェイラ監督は後半途中に今季横浜F・マリノスから獲得した山中亮輔を左サイドアタッカーのポジションで途中出場させたうえ、宇賀神を橋岡の務めていた右へ回すことでサイドエリアの攻守バランスを改善している。

橋岡は昨年からU-20日本代表の一員として各種大会や遠征に駆り出されてオフ期間が限られた影響もあるうえ、今年の5月下旬から開催されるU-20W杯への出場も濃厚なだけに、オリヴェイラ監督はサイドアタッカーの再人選に着手するかもしれない。その場合は川崎F戦で試された右・宇賀神、左・山中というオプションは効果的な策としてクローズアップされ、シーズン序盤でも早期に採用されるかもしれない。

■仙台戦のカギを握るのはプロ2年目の柴戸

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浦和が開幕戦で対峙する仙台は、昨季の天皇杯決勝を戦った相手で、そのときは1−0で勝利している。オリヴェイラ監督の掲げるチームコンセプトは“堅守”を基盤にしたマッチアップ策で、最少得点差での勝利は浦和の意図通りに試合が推移したことを指し示している。仙台の基本システムは3-4-2-1で、今までと同じく浦和はほぼ“ミラーゲーム”の形で相手との勝負に臨めるだろう。

ただ、これまでの浦和が仙台に対して局面勝負で優位に立ちゲームを制してきたことを考慮すると、今回ばかりは思惑通りの展開にはならないかもしれない。それは先述した通り、今の浦和が発展途上で、選手たちのコンディションもそれほど高まっていないからだ。

ゼロックス杯でプレー精度が高まらずに選手たちがミスを重ねた所作を見る限り、その状況がわずか1週間で劇的に改善されるとも思えない。この場合、チームが採るべき策は現状で最もコンデションが良く、なおかつ試合出場への意欲を醸す選手の起用ではないだろうか。

川崎F戦を観るかぎり、その候補に挙げられる選手はいる。いずれも途中出場した選手で、マルティノス、山中は注目すべき存在。そして右インサイドハーフで途中出場した柴戸海はアンカーでもプレーでき、その対人能力の高さは際立っている。すばり仙台戦成否のカギを握るのは、中盤で相手との違いを生み出すプロ2年目の柴戸だと予測する。

リーグ初戦がアウェイである点は、浦和にとってハンディだが、それも堅守を保ちつつカウンターやセットプレーなど、浦和が武器とする戦法に注力する動機付けともなる。チーム状態を徐々に向上させたい浦和としては仙台戦だけでなく、シーズン開幕からの数試合は粘り強く、辛抱を重ねて慎重に試合を進める覚悟を備えねばならないだろう。

勝つためなら1点差で十分。今季の浦和はあくまでも結果を追い求める――。その真価を、まずは見定めたい。

文=島崎英純

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