2019_3_5_Dortmund(C)Getty Images

エース&得点源復帰で逆襲なるか。ドルトムントはトッテナム戦で「小さな奇跡」を信じる

■ロイスとアルカセルの戦列復帰でゴールに期待が

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ドルトムントが国内外で正念場を迎えている。トッテナムとのチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16ファーストレグでは敵地で0-3の完敗。直近5試合のブンデスリーガでは1勝しか挙げられず、3月2日の第24節アウグスブルク戦で8試合ぶりの黒星を喫し、2位バイエルンに勝ち点で並ばれた。チーム状態を考えれば、日本時間6日5時キックオフのCLセカンドレグで、3点差をひっくり返すのは不可能に近いだろう。地元紙『デア・ヴェステン』のダビド・ヘアテン記者も「準々決勝に進むには小さな奇跡を必要とする」と綴っている。

もちろん、当事者たちは諦めていない。リュシアン・ファーヴル監督は前日会見で「難しいが、全てが可能だ。最高のパフォーマンスが必要だし、我々は非常にクレバーにプレーしなければならない。ゴールを決められることは自分たちが分かっている」と前向きにコメント。主将のマルコ・ロイスも「このスタジアム(ジグナル・イドゥナ・パルク)には歴史に刻まれる試合がいくつか存在する。僕らは不可能を可能にできる。重要なのはチーム全体がそれを信じていることだ」と奇跡を起こすだけに照準を絞っている。

ファーストレグを負傷欠場したそのロイスを起用できるのは、ホームアドバンテージ同様に特大のメリットだ。ここまで公式戦28試合に出場し、17ゴール10アシストを決めている大エースは文字通り「代えが利かない存在」(チームメイトのトーマス・ディレイニー)になっている。5戦ぶりに復帰したアウグスブルク戦では66分にピッチを退いたが、攻撃の軸として悪くないプレーを見せていた。中3日で臨むトッテナム戦ではコンディションがさらに上向いているはずで、本人は「必要なら120分だっていける」と意気込んでいる。

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やはり怪我でファーストレグを棒に振ったパコ・アルカセルが戦列に戻っているのも、とにかくゴールが必要なドルトムントにとって朗報だ。リーグ戦で12ゴールを挙げた前半戦の勢いが途絶えたものの、アウグスブルク戦で自身8試合ぶりとなるゴールを挙げている。このスペイン代表FWとロイスの復活に伴い、詰めの甘さから一度もネットを揺らせなかったロンドンでの失態を繰り返す可能性は低くなっているはずだ。

■試合の行方を大きく左右しうる両サイドの攻防

2019_3_5_Dortmund3(C)Getty Images

むしろ懸案は守備陣だ。アウグスブルク戦では自滅のような形で2失点した。一つはタッチライン際に釣り出されたCBダン・アクセル・ザガドゥの“空振り”で、もう一つは右サイドバックのアクラフ・ハキミによる自陣での痛恨の“パスミス”がきっかけだった。アウグスブルクとは比較にならない豪華攻撃陣を擁する(ファーストレグを欠場したハリー・ケインも復帰済み)トッテナムとの一戦で、守備時に集中を欠くことは1秒たりとも許されない。プレスの強度が低かった部分を含め、直近の試合で得た教訓を活かす必要がある。

UEFA公式サイトと『キッカー』誌によるドルトムントの予想スタメンは以下の通りだ。

GK:ビュルキ
DF:ヴォルフ、アカンジ、ザガドゥ、ディアロ
MF:ディレイニー、ヴィツェル、サンチョ、ロイス、ゲレイロ
FW:ゲッツェ

注目すべきは主戦のウカシュ・ピシュチェクが負傷離脱中の右サイドバック。アウグスブルク戦で批判されたハキミではなく、ヴォルフという予想になっている。クロスから2失点したファーストレグの出来を考えても、サイドの守備はきわめて重要だ。グループステージで大暴れしたウインガーのヤコブ・ブルーン・ラーセンのように、ここまで影が薄いヴォルフが“ラッキーボーイ”になるか。両サイドの攻防は試合の行方を大きく左右しうるポイントであり、ファーブル監督がだれをスタメンに起用するか注目が集まる。

また、現地紙『ルール・ナハリヒテン』はロイス、ゲッツェ、アルカセルをスタメン起用する可能性にも触れている。ロイスとアルカセルに加え、2019年に入ってから先発したリーグ戦6試合で3ゴール・2アシストを決めている好調のゲッツェも攻撃陣のキーマンになるのは間違いないだろう。同紙はアウグスブルク戦で精彩を欠いたザガドゥのCBにメスを入れてもおかしくないと指摘。その際のDFラインは、右からヴォルフ、アカンジ、ディアロ、ハキミになるだろう。超攻撃的なサイドバックを両翼に配した強気の布陣だ。

■先制点必須も焦りは厳禁

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期待したい試合展開は言うまでもなく、早い時間帯に先制ゴールを決め、トッテナムにプレッシャーをかけること。得点を挙げられないまま、時間が経過して窮するのはドルトムントの方だ。ただ、のっけから前傾姿勢を強めるのはリスキーに過ぎる。トッテナムにアウェーゴールを許した瞬間、ドルトムントがベスト8に進むには5ゴールが必要になるからだ。そもそもファーブル監督は「攻守のバランスをとることが何より重要」という考えの元、チームを構築してきた。玉砕覚悟で臨むのは先にネットを揺らされた時だけでいい。

4-2-3-1の基本システムをほとんどいじらず、スタメンのチョイスも奇を衒うタイプではないファーブル監督の志向を考えれば、トッテナム戦に向けた特別な“秘策”は用意していないのではないか。これまで積み重ねてきたものを出すことに注力するだろう。同様に“秘密兵器”となりうる選手はいない。試合前日にトップチームの練習に初参加した18歳のアラー・バキルは、U-19ブンデスリーガで6ゴール4アシストを記録しているウインガーの成長株だが、CLの登録メンバー外。オプションにはなりえない。

プレミアリーグの直近3試合で白星から見放され、デレ・アリとキーラン・トリッピアーが負傷離脱中、さらにはエリック・ダイアーとハリー・ウィンクスもケガで出場が疑わしいトッテナムの状態も決して芳しくない。今シーズンのホームゲーム17試合で53得点を挙げているドルトムントが付け入る隙はあるはずだ。なによりグループステージでアトレティコ・マドリーを4-0で撃破しているのだ。ドルトムントが“小さな奇跡”を起こす可能性は残っている。

文=遠藤孝輔(サッカージャーナリスト)

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