6日のチャンピオンズリーグ(CL)準決勝2ndレグ、インテル対バルセロナは4-3でインテルが勝利した。2戦合計でも7-6と上回ったインテルが、2023年以来2年ぶりのCL決勝進出を果たしている。
1stレグは派手な打ち合いの末に3-3で終了。バルセロナはリスク上等の攻撃的フットボールでヤマルらの個人技を生かしてゴールを奪い、インテルは激しいプレスや堅守からの速攻でバルセロナのハイラインを突いていったが、2ndレグもその展開を踏襲する。
前半、バルセロナは序盤からボールを保持したものの、インテルの組織的な守備を前に攻めあぐねる。インテルは攻撃の回数こそ多くないものの、強度の高いプレスからボールを奪えば、一気にバルセロナゴールへと襲いかかった。
そうして21分、インテルが先制点を決めている。バルセロナのビルドアップで、中盤底に位置したダニ・オルモが致命的なボールロスト。速攻に転じたインテルは、DFラインを突破したマルクス・テュラムがシュチェスニーを眼前に横パスを出し、ラウタロが無人のゴールにボールを押し込んでいる。
2戦合計スコアでもビハインドを負ったバルセロナは、さらに前傾姿勢となって攻撃を仕掛けるものの、まだゴールに届かない。フェランのシュートはバストーニに弾かれ、ダニ・オルモのスルーパスからペナルティーエリア内に侵入したヤマルのフィニッシュは枠の左に外れた。
すると42分、インテルが再び鋭いカウンターを繰り出して追加点を記録。ペナルティーエリア内に侵入したラウタロがクバルシに倒されると、オンフィールドレビューの結果PKの判定に(スライディングタックルを仕掛けたクバルシはラウタロの足を削り、ボールには触れていなかった)。キッカーのチャルハノールがGKシュチェスニーの逆を突くシュートでネットを揺らし、スコアは2-0(2戦合計5-3)となって前半終了を迎えている。
後半は、堅守を誇るシモーネ・インザーギ監督のインテルが、このまま逃げ切ることも想像できた。しかしフリック監督のバルセロナが、その攻撃的フットボールの真価をついに発揮している。
ぺドリが踊るようなプレーと正確無比な長短のパスでゲームをつくり、ヤマルが右サイドから圧倒的個人技で違いをつくったバルセロナは、まず54分に1点を返す。左サイドバックのジェラール・マルティンが送ったクロスがファーに流れ、そこに詰めていた右サイドバックのエリック・ガルシアが、狙い澄ました右足のシュートでGKゾマーを破った。1点差に迫ったバルセロナはさらに60分、再びジェラール・マルティンを起点としてゴールを奪う。23歳DFがファーに向けてクロスを送ると、ダニ・オルモがヘディングシュートを突き刺して、スコアをタイに戻している。
バルセロナはその後も一方的にインテルを押し込み続けたが、ゾマーが圧巻のセーブを連発したこともあって逆転ゴールまでは決められない。しかし87分、ついにその執念が実った。高い位置でのボール奪取から、ぺドリがダイアゴナルなスルーパスをペナルティーエリアに通し、ハフィーニャが右足のシュートを決め切っている。
試合はこのままバルセロナが物にするかと思われた。が、ドラマはまだ終わらない。5分が取られた後半アディショナルタイムの3分、ジェラール・マルティンからボールを奪ったダンフリースの折り返しに、ニアサイドのアチェルビがうまく右足で合わせてインテルが土壇場で同点に追いつく。バルセロナはあと2分で勝利をつかめたにもかかわらず、延長戦に持ち込まれてしまった。
延長戦前半は、疲労もあってチャンスがほとんどないまま過ぎていったが、99分に突として観客の喜びが爆発した。インテルの再逆転ゴールである。ペナルティーエリア内右でマルクス・テュラム、タレミとボールをつないで、最後はフラッテージが対角線上にシュートを沈めている(インテルの最後の2ゴールでは、どちらもアラウホの守備の甘さが目立った)。
フリック監督は延長戦後半、クバルシ&ぺドリをガビ&パウ・ビクトールに代えてアタッカーの数を増やす。バルセロナは後半終了間際にフェランとの交代で入れたレヴァンドフスキとパウ・ビクトールが前線で2トップを組み、彼らにクロスを送る形でゴールを目指すが、インテルの守備をもう一度崩すことはかなわない。114分にはペナルティーエリア内右に侵入した17歳ヤマルが、枠を捉える強烈なシュートを放つも、これは横っ飛びした36歳ゾマーの右手に弾かれた。
結局、インテルがバルセロナの決死の猛攻を凌ぎ続け、1点リードで試合終了のホイッスルを迎えている。若手が多いバルセロナはディテールの部分でミスが目につき(しかしヤマルは1stレグに続いて、凄まじいプレーを連発していた)、一方でベテランも多いインテルがその経験を生かし切った格好となった。
インテルは決勝でPSG対アーセナルの勝者と対戦。2023年の決勝ではマンチェスター・シティに敗れた同チームは、2010年以来となる優勝を目指すことになる。
