アザール不在は問題なし?新生チェルシーにメスを入れるランパードの改革

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Goal / Getty
新指揮官フランク・ランパードのもとでチェルシーが若返る。この夏スタンフォード・ブリッジにもたらされる大改革の全容とは。

■レジェンド帰還で士気は上向き

Frank Lampard Chelsea

スタンフォード・ブリッジに新たな時代が到来した。

波乱に満ちた2018-19シーズンは、前指揮官マウリツィオ・サッリが地元ファンたちの心をつかむことができないままに幕を閉じ、そのポジションにはクラブのレジェンドであるフランク・ランパードが帰ってきた。

サッリが次にユヴェントスの監督を務めることは、彼が一流であることの何よりの証拠だ。結局のところ彼は、ウェスト・ロンドンではわずか1シーズンでヨーロッパリーグを制覇し、トップ4でリーグを終わらせたという結果に満足していたに違いない。

しかし、彼のスタイルには反感を抱いていたファンも多く、このイタリア人指揮官が率いるチェルシーはしばしば批判にさらされていた。そして、エデン・アザールのレアル・マドリーへの移籍を回避することができず、今夏の選手獲得を禁じられているチェルシーのサポーターたちは、未来に希望を抱くことができずにいた。

そんな中でのレジェンド帰還。現役時代にミッドフィルダーながらにして211ものゴールを挙げ、11のメジャータイトルを掲げたランパードの帰還は、ファンたちの士気を自然と上げた。

一方で、ビッグクラブであるチェルシーが、監督経験の浅い指揮官を迎え入れるのは異例のことだ。ランパードは指導者としては、たったの1年間ダービーで監督を経験したのみ。つまりこの41歳の新監督とチェルシーとの強い結びつきが、今回の特別なケースを実現させたのだ。

経験の浅いランパードだが、チェルシーは、彼がクラブの文化にフレッシュなアイデアと知識をもたらし、過去2シーズンにわたってマンチェスター・シティに大きな遅れをとってしまったチームを活性化してくれると信じている。

昨シーズンを3位で終えたチェルシーとペップ・グアルディオラ率いるチャンピオンとの間には、26もの大きな勝ち点差があった。

そしてチェルシーは現在、FIFAから今後2度の移籍市場における補強禁止処分が下されており、スカッド強化のために選手を獲得できないといったハンディキャップまで背負っているのであり、それほどまでに開いた大きな差を縮めることはなかなかに困難だ。

■改革進むチェルシー

Claude Makelele Frank Lampard Petr Cech

チェルシーは、29人の18歳未満の選手に関する契約違反をすべて否定して、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に上訴を申し立てた一方で、クラブは一時的な処分凍結を求める訴えを起こしてはいない。

これは、チェルシーの重役であるマリナ・グラノフスカイアの戦略的な決断であることが考えられる。彼はひそかに、コブハム(チェルシーの練習場)における大刷新を決行しているのだ。

ほぼすべてのカテゴリーで新たな監督が任命され、ランパードはファーストチームのコーチとしての仕事をジョディ・モリス、エディ・ニュートン、ジョー・エドワーズらと共に担うこととなった。彼らは皆、過去にこのクラブで成功を収めてきた人物たちだ。

モリスは、チェルシーがユースレベルの大会で前代未聞の4冠を果たした際に、U18チームの監督を務めていた人物だ。モリスと同様に、かつてこのクラブでプレーしたニュートンは、以前ローン選手のテクニカルコーチを務めていた人物であるが、数人の監督のもとでファーストチームの指導に当たった経験もある。そしてエドワーズは、過去に非常に多くの役割を担ってきた。彼はU8やU23の監督だけでなく、ローン選手のコーチとしての仕事をしていたこともある。

これは、チェルシーに縁のある人事を行うといった明確なプランの表れだ。他にもチェルシーへの帰還を果たしたレジェンドを挙げれば、テクニカル&パフォーマンスアドバイザーに任命された偉大なるゴールキーパー、ペトル・チェフ、クロード・マケレレなど、確固たる信念の下で改革は進んでいる。

■タレント豊富なアカデミー育ち

Mason Mount Chelsea

そして新生チェルシーは、若きスターやアカデミーのプレーヤーをトップチームで試すことにも重点を置いている。近年アンダー世代で大きな成功を収めてきたブルーズだが、若きスターたちが十分なプレー機会を与えられていないことには大きな批判があった。しかし彼らはついに、ファーストチームでチャンスを与えられることとなりそうだ。

チェルシーの若きプレーヤーの扱いに関して、特に非難されていたのがサッリだ。彼はクラブ在籍時、ユースの試合を直接観に行ったことは一度たりともなかったのである。

こうした風潮は、ランパードのもとで一新されるだろう。彼が一定の成果を残したダービーでのシーズンで、若いプレーヤーたちを登用して、チームを昇格プレーオフ進出に導いたことはよく知られている。

ダービーで活躍したスター選手の1人に、メイソン・マウントがいる。レンタル期間を終えた彼は、チェルシーと新たに大型契約を結んでおり、中盤の選手としてチャンスが与えられることになる。

また、バイエルンが獲得を狙っていたカラム・ハドソン=オドイも、契約更新後にクラブに残ることが見込まれている。このウインガーは、世界で最も有望な10代フットボーラーの1人として認められており、すでにイングランド代表にも招集されている。他の才能豊かなアカデミー卒業生としては、ルーベン・ロフタス=チークがいる。彼は大きなケガに苦しんでいる最中だが、依然として未来は非常に明るい。

タミー・エイブラハムも、すでにイングランド代表キャップを経験した選手であり、バルセロナとのプレシーズンマッチではゴールも挙げ、今シーズンには「9番」のユニフォームに袖を通すことが決まっている。

前監督のもとで、チェルシーの若きタレントたちは冷遇され続けた。それが原因でチームを離れたプレーヤーもおり、ハドソン=オドイも昨シーズンにクラブを去ることを検討していた。

2018-19シーズンのプレミアリーグにおいて、ビッグ6の中で最も平均年齢の高いスタメン起用をしていたのがチェルシーだ。しかし今シーズン、ランパードがこの状況を変えようとしている。

2004年から2018年までチェルシーのアカデミーで育ったサンダーランドのミッドフィルダー、ルーベン・サミュートは、前述した若きスターたちの多くについてよく知る人物だ。

彼自身が、出場機会を求めてクラブを去る決意をした張本人だが、彼は若きプレーヤーたちの長きに渡った不遇の時代が終わり、ランパードとモリスの就任によってついに潮目が変わると信じている。

「(今が)チェルシーのアカデミープレーヤーにとっては最高のタイミングだ。彼ら(ランパードとモリス)が来ることをニュースで聞いて、とてもエキサイティングなことになると思ったよ」

「ジョディ(モリス)はアカデミーで多くの選手を見てきた。だから彼らの門戸は少しだけ広がったと思うよ」

「多くのアカデミー出身の選手たちが、『この機会にファーストチーム入りを果たせるかもしれない、プレシーズンに食い込んで、アピールができるかもしれない』と考えていることだろう。フランクは多くのアカデミーの選手を実戦で見ているし、ジョディは一緒に戦っていた人物だからね」

「メイソン・マウントとフィカヨ・トモリが、ランパードを絶賛していたよ。彼がプレーヤーとして成し遂げたことを誰もが知っているから、ファーストチームの面々は彼を尊敬して、認めており、彼が言うことのすべてに耳を傾ける。いい仕事をするためには、彼の言うことを聞くべきなんだ」

最近になって、この世界屈指のタレント工場から輩出された素晴らしいヤングスターとしては、オラ・アイナが挙げられる。過去にチェルシーのアカデミーで8年を過ごした現在22歳の彼は、レンタル期間に成功を収め、この夏に870万ポンド(約11億円)でトリノへの完全移籍を果たした。

そんなアイナもサミュートと同様に、チェルシーの若手の未来には非常に明るい見通しを持っている。

「若い選手は(ファーストチームでの)プレーで自分の力を示すことができると思うよ。それに移籍禁止処分のおかげで、彼らに過度なプレッシャーはかからないだろうから、彼らにとってはいいことだろうね」

「チェルシーは、レンタル先やアカデミーの才能豊かな持ち駒の多くを利用して、なんとかしなければならない。多くの選手にはその準備ができていると思うよ。メイソン・マウント、フィカヨ・トモリ、タミー、さらに若いリース・ジェイムズもそうだね」

「リースはレンタル先で1シーズンを過ごしたばかりだけど、彼のような選手を最終ラインに置いておけば、活躍してくれるに違いない。それに、ハドソン=オドイがチェルシーでプレーすることの重圧に耐えうる選手であることは周知の事実だしね」

■だが、アザールの抜けた穴は大きい

Eden Hazard Real Madrid

確かに今、若手選手たちには大きな成功のチャンスが与えられている。それは20年前、ジョン・テリーがチェルシーのアカデミーから大出世を果たした以来のことだ。

しかし、大きな問題となるのは現在のファーストチームの状況だ。5800万ポンド(約79億円)で加入を果たしたアメリカ人プレーヤー、クリスチャン・プリシッチをはじめとした彼らの実力は、どの程度のものなのだろうか? そして何よりも、彼らにアザールの穴を埋められるほどの力があるのだろうか?

このワールドクラスのベルギー人アタッカーは、スタンフォード・ブリッジで輝きを放った7年間において、紛れもないスーパースターとして君臨していた。

この夏に8800万ポンド(約121億円)でレアル・マドリーに加入したアザールは、昨シーズンには21ゴール18アシストといった圧倒的な数字を残してチームに貢献した。

そんな彼の代役が簡単には見つかるはずもないことは、チェルシーのアイコン的存在の1人であるディディエ・ドログバも認めている。

「彼はレジェンドだ。彼がクラブに残した功績は素晴らしい。2度のリーグ優勝にFAカップ制覇、そして年間最優秀選手賞にも輝いた。これらはすべて、エデン・アザールが成し遂げたことなんだよ!」

「彼は、私たちが長い間求めていたものを現実にしてくれたんだ。彼に最も近いプレーヤーを挙げるとすれば、ジャンフランコ・ゾラだね。ドリブルが武器で、1対1で違いを作ることができる。それがアザールなんだ!」

今シーズンでの成功を手にするためには、ランパードは「元チームメイト」の代役について、解決策を見出す必要がある。早速、懸念されているのがストライカー選びだ。ランパードは選考に絶対の自信を持てないままに新シーズンを迎えることは請け合いで、エイブラハムがオリヴィエ・ジルー、ミシー・バチュアイと争うことになるだろう。

ブルーズはおそらく、4-2-3-1のフォーメーションで新シーズンに臨む。しかし前任者のサッリとは異なり、ランパードはフレキシブルな戦術を用いるだろう。リヴァプールのようなプレスのかけ方はすでに実践済みであり、ランパードがプレシーズンで選手たちにハードワークを求めていたことからも、その戦術の肝が運動量であることがうかがえる。

今夏に日本で行われた親善試合では、バルセロナを2-1で下して抜け目のないディフェンスを披露して、今のメンバーでアザールの抜けた穴を埋めるために必要なものを確認していた。その点、エヴァートンから復帰したクル・ズマは、ブルーズにとって大きな力になってくれるだろう。また、その他にもランパードは、多くのミッドフィルダーのオプションを有している。ジョルジーニョ、エンゴロ・カンテ、マテオ・コヴァチッチ(4000万ポンドで完全移籍)らは皆、ダブルボランチの一角を担える存在だ。

オプションはあるにせよ、指揮官にとっては簡単な仕事ではない。わずか1シーズンしか監督経験を持たず、結果を出すことができなければ疑問の声が上がるのは当然のことだろう。チームを昇格プレーオフへと導いたダービーでは結果を残したが、チェルシーのマネジメントは次元が異なるレベルの仕事だ。

チーム内の多くの選手と同様に、ランパードはまだ若いうえに経験が浅く、実績を持たない。しかし、彼は才能豊かで野心に溢れ、アイデアに満ちている。そして何よりも彼は、2001年にウェスト・ハムからプレーヤーとしてチェルシーに移籍したときのように、自らに対しての批判を口にする人々を結果で黙らせることを熱望している。

ロマン・アブラモヴィッチが2004年にクラブを買収して以来、チェルシーはイングランドで大きな成功を収めてきたが、オーナーの惜しみない出資にも陰りが見えており、その勢いは衰えつつある。

マンチェスター・シティやリヴァプール、そして他のヨーロッパの金満クラブとの競争力を保つためにも、チェルシーには賢く、クリエイティブな行動が求められている。アカデミーで育った才能あふれる若きスターたち、そして、誰よりもクラブのことを理解している若き指揮官。彼らによって未来を形作ることが、チェルシーが成功を収めるための最良の選択だといえるのかもしれない。

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