Dennis Melzer Arjen Robben

「まだフットボールを楽しめている」去就未定のロッベンが明かした過去と未来/独占インタビュー

■レアルからバイエルン移籍の経緯とは?

Arjen Robben Real MadridGetty

――アリエン、ちょうど10年前、あなたはレアル・マドリーからバイエルン・ミュンヘンにやってきました。どうして移籍を?

レアルの会長が交代して自分にとって難しい状況になったんだ。レアルはとても居心地が良かったし、良いパフォーマンスも見せられていたと思う。でもクラブの方針が変わって、なかなかチャンスがもらえなくなって、残ることに意味があるのかと考えた。それから、バイエルンから話があって、とても具体的だった。僕を絶対に起用したいと最初から提示してくれた。ビッグなクラブが一生懸命アプローチしてくれるのは嬉しいよ。だからミュンヘンに移ったんだ。

――その夏にレアルがクリスティアーノ・ロナウドを獲得したことは関係していますか?

ロナウドの件だけではない。フロレンティーノ・ペレス会長が戻って、カカ、カリム・ベンゼマ、シャビ・アロンソを連れてきた。クラブは大金を使って、(放出で)大金を得る必要があると伝えられた。前のマヌエル・ペジェグリーニ監督とはすごく上手くいっていたから残念だった。また、キャリアの中ではベストなプレシーズンだったからね。

――当時バイエルンでは同じオランダ人のマルク・ファン・ボメルがキャプテンを、ルイ・ファン・ハールが監督をしていました。そのことも移籍に影響しましたか?

マルクとも監督とも話をした。僕をどう使いたいか話してくれた。2人ともはっきりと意思表示してくれた、「頼む、ミュンヘンに来てくれ」とね。簡単な決断ではなかったことを覚えているよ。テラスに家族のように一緒に座って語り合ったんだ。結局、レアル・マドリーのようなビッグクラブを去ることについての話だった。引き返すことはできないからね。レアルに比べて、当時のバイエルンはヨーロッパでそれほど結果を出していなかった。だから、目標はいつもチャンピオンズリーグで優勝することだったんだ。自分がそれに値することを証明したかった。今思えば、バイエルンに移籍することは僕のキャリアの中で最善の決断だったね。

――成功もありましたが、同時に悲劇的な1年を経験しましたね。バイエルンでチャンピオンズリーグのタイトルを逃し、南アフリカワールドカップ決勝でスペインに敗れました。それは何かの転機になりましたか?

非常に残念だった。でも一方で素晴らしい瞬間もたくさん経験した。その時はチャンピオンズリーグ決勝で負けたが、決勝に進出したことはサプライズだったし、ワールドクラスのパフォーマンスを披露した。国内では2冠だったし、バイエルンにとっては最高の年だったんだ。それにオランダがW杯決勝に進むなんて誰も期待していなかった。ただ、進出したからには当然優勝したい。そんなチャンス二度とあるか分らないからね。実際、残念ながら僕にはセカンドチャンスがなかった。

■バイエルンであった苦難の時

Dennis Melzer Arjen Robben

――W杯の最中に筋断裂になりましたね。どう対処したんですか?

ひどいケガだった。バイエルンのドクターにも「様子を見ないと100%回復するかわからない」と言われた。もちろん自分のキャリアにとって大問題になりかねない。だが、難しい状況を一緒に乗り越えた。変な話だが、ある意味リハビリの時間はすごく良かったよ。時間もかかって歳もとったけど、最終的にまたトップフォームに戻れた。努力した甲斐があったよ。

――ただ、国内ではドルトムントが2011年、2012年と2シーズン連続優勝を果たしましたが、迷いは生じましたか?

チャンピオンズリーグ決勝で負けた後のシーズンは確かに厳しかったよ。残念なことにファン・ハールも解任された。その翌年は少しは良くなったが、失えるものはすべて失ったよ。

――ブンデスリーガでのドルトムント戦、チャンピオンズリーグ決勝のチェルシー戦では重要なPKを外してしまいましたね。さらにDFBポカール(ドイツカップ)ではドルトムントに2-5で大敗。その後、ファンから戦犯として責められました。どうやって乗り越えましたか?

とても失望したよ。バイエルンとオランダ代表の親善試合があったんだ。2010年の自分のケガの件もあったからね。事前に契約でこの試合ではオランダ代表として出場することが決まっていた。うまく意思疎通できていなかったんだ。試合前の記者会見でジャージが渡されて半分は代表チームで半分はバイエルンのものだった。だからファンは僕が両チームでプレーすることを期待したのかもしれない。ブーイングされたよ。でもそれは本当のバイエルンファンからではなかった。それからはたくさんサポートしてもらってきた。

Arjen Robben Netherlands FC Bayern

――そのような出来事があってバイエルンを去ることを考えましたか?

考えたよ。一瞬何が起きたのか分らなかった。ホームのスタジアムでブーイングされてすごくショックだった。「ここでは選手がこんな仕打ちを受けるのか。それなら他へ行くよ」、そう思った。でもチーム内でこの件を解決したんだ。もっと強くなって戻ってくることを誓ったよ。

■3冠達成からペップ就任まで

Arjen Robben Bayern Munchen Borussia Dortmund Champions League 2013Getty Images

――2013年には3冠を達成しました。そしてドルトムントとのチャンピオンズリーグ決勝。大きなプレッシャーにどう対応したんですか?

あのような試合はいい緊張感をもたらす。決勝と聞いていろんなチームや選手の例を思い浮かべる。自分を失って冷静になれず、いつものレベルを発揮できないなんてこともある。冷静さを保つことが恐らく最も難しい場所だ。決勝の前や試合中は独特な雰囲気だし、集中しなければならない。

――あなたはどうでした?

試合前から勝ってタイトルを取れると確信していた。2010年と2012年に2回決勝で負けているから、また負けることはないと信じていた。自信を持って“勝者としてこの場を去る”と言ったよ。もちろん後から振り返って言うことは簡単だ。でも本当にそうだったんだ。 

――ユップ・ハインケス監督時代の全盛期でしたね。続くペップ・グアルディオラ監督がこれを引き継ぎました。何がペップを特別な存在にしていますか?

彼の戦術は見事だ。彼の指揮下では楽しめたし、自分を成長させることができた。いろんなポジションで使ってくれたしね。ペップは特別なプレースタイルを確立したんだ。彼はポジティブな意味でフットボール狂だからね。

Arjen Robben Pep Guardiola FC Bayern

――彼と初めて会った時はどうでした?

トレントでの夏のトレーニングでチームに合流した時だ。彼に言われたのは、「何も証明しなくていい。フットボールを楽しんで。家族との時間も楽しんで。君が重要な試合のための男だと知っている」ということだった。つまり監督からのプレッシャーは一切なかったんだ。最高の褒め言葉をもらって完璧なスタートだったね。

――ですが、求められていたCLタイトルは取れませんでした(※3季連続準決勝敗退)。ペップ・グアルディオラ監督時代にもバイエルンはチャンピオンズリーグを優勝できたのでは?

確かにそう思うね。ただ、ケガ人が多くて不運だった。全員が揃っていたら何が起こっていたかわからないよ。その当時は本当に強くて、確実にもっと可能性があった。上手く行かなくて本当に残念だ。ペップはミュンヘンで成功しなかったと言う人もいる。ビッグイヤーを獲得できなかったからだと言われてね。でもこの意見には同意しないよ。ペップの下では素晴らしいフットボールができたし、チャンピオンズリーグ準決勝に3回も進出した。監督がタイトルで評価されてしまうのは理解できるけれど、外から見ると違ってくる。フットボールは必ずしも公平ではないんだ。

――ペップが去った後、クラブはヨーロッパのトップクラブではなくなったと思いますか?

そんなことはない。今シーズンのリヴァプール戦のように上手くいかないこともあるってだけだ。結局、相手は決勝に進んでいるわけだし、それがすべてを語っているよ。クラブは来季も成長し続けるだろう。新たな選手も来るし、僕のように去るベテランもいる。

■現役続行に意欲も「意味のあるものに」

Arjen Robben FC Bayern München Meisterfeier Bundesliga 18052019Getty Images

――夏には別の街の新たなクラブに行くことになると思います。ミュンヘンとのつながりは何か変わりますか?

いや、このつながりは続いていくよ。ここに住まなくなっても、いつでもミュンヘンに戻ってくるさ。10年以上一つのクラブでプレーすること、それ自体がつながりの強さを物語っているだろう? もし好きでなければこんなに長くいなかっただろう。素晴らしい思い出ばかりだよ。

――フットボール以外の思い出と言えばなんでしょうか?

2人の子供はここで生まれた。これは特別なことだよ。ミュンヘンでの生活、街、人、すべての環境が僕らを受け入れてくれたし、とても気に入っていた。最初から居心地が良かったね。

――バイエルンを去った後、今後のご予定は決まっていますか?

まだまだフットボールは楽しめている。でも意味あるものにしなければならない。別のクラブに行くにしても条件すべてが正しく、自分が納得できるものでないとね。

――この点に関してご家族の中で意見は違いますか?

いや。もちろん彼女も成り行きを知りたがっている。ただ、これ以上は申し訳ないけど具体的に言えない。一緒に決めて、どこへ旅立つか見ておいてほしいね。

――かつてあなたは言っていました。「夢を見るだけの人間にはなりたくはない」。思い返してみて自分の夢に忠実に生きることができたと言えますか?

もちろんだよ。思い返すと、10年前に想像した以上に多くのことをチームと共に達成してきた。陳腐に聞こえるかもしれないが、仕事に情熱を注いできた。常にフットボールを愛してフットボールと生きてきた。そのためにすべてを捧げた。フットボーラーとしての人生をかみしめて感謝しなければならない。多くの人がこの夢を実現できるわけではないし、名誉なことだ。時々そのことを忘れてしまう。今は常に注目され続けるしね。現役のキャリアが終わってみて、初めて楽しめるようになると思う。

インタビュー・文=デニス・メルツァー/Dennis Melzer

構成=Goal編集部

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