■近年の劣勢
グループステージ最終戦の前、自国の代表チームが準々決勝にコマを進めるために必要な条件を知るべく、他チームの勝点や得失点差を切羽詰った思いでチェックしていたのが10日前のこと。準々決勝でベネズエラ相手に2-0の勝利を収めた後、準決勝で宿敵ブラジルと対戦することになり、アルゼンチンの人々にとってのコパ・アメリカ2019はこれまでの「苦しみ」からようやくワクワクできる「楽しみ」に変わった。アルゼンチン対ブラジルという南米2強の“スーペルクラシコ”は、その時のシチュエーションを問わず、両国にとって特別な意味を持つ「別格の一戦」だからだ。
アルゼンチンにとって、ブラジルはサッカーにおける最大のライバルである。両国が最初に対戦したのは1914年9月のこと。100年を越える長い歴史の中、FIFAが公認しているだけでも105試合が行われ、ブラジルが41勝を収めてアルゼンチンの38勝をわずかに上回っている。
非公式ではブラジルの41勝に対してアルゼンチンが42勝という統計も存在するが、近年苦い思いを味わい続けているアルゼンチンの人々にとって、この数字を掲げて自慢するような真似は滑稽でしかない。なにせアルゼンチンは、05年6月8日に行われたドイツW杯予選で、ホセ・ペケルマン監督率いるチームがカフー、ロベルト・カルロス、カカ、ロナウジーニョといったスター軍団相手に3-1と快勝した時以来、実に14年間も公式戦でブラジルに勝てない状況が続いているのだ。
アルゼンチンの人々が宿敵相手にどうしても引け目を感じてしまう要因となるデータは他にもある。現在アルゼンチン代表でリオネル・エスカローニ監督のアシスタントコーチを務めるロベルト・アジャラは、現役時代に出場した4回のコパ・アメリカ(95年大会と99年大会の準々決勝、そして04年大会と07年大会の決勝)全てにおいてブラジルに負けて敗退するという屈辱を味わっている。また、今回の試合会場となるミネイロンで両国が最後に対戦した時(16年11月に行われたロシアW杯予選)も、昨年10月に行われた親善試合でも、勝ったのはブラジルだった(0-3、0-1)。
■ただ1つの理由

それだけに、アルゼンチンにとって今回のブラジル戦は“宿敵に勝てないトラウマ”から解放されるための大一番となる。例えチッチ監督のチームが今大会で無敗、無失点を保っていても、例えエスカローニ監督の采配にいくつもの疑問が残されていても、人一倍負けず嫌いな気質を持つアルゼンチンの人々は自国の勝利を願い、信じている。決戦を直前に控え、国内では大会前まで盛んに言われた「悲願の26年ぶりのタイトル獲得」についてはほとんど語られていない。負けられない理由はただ1つ、「相手がブラジルだから」なのだ。
では実際に、無敗のブラジルを相手に、薄氷を踏む思いでグループステージを通過したアルゼンチンに勝算はあるのだろうか。前日会見でエスカローニ監督はいつもと変わらない冷静な態度で、「我々は優勝候補と対戦する。相手のことよりも、チームを機能させることに重点を置いて挑むつもりだ。彼ら(ブラジルの選手たち)にはずいぶん前から一緒にプレーしていることでアドバンテージがあるが、我々も良いゲームをして勝ち進むことができると思っている。もしブラジルが(今大会の)これまでのようなプレーをするのであれば、我々が中盤で優位に立つことも可能だ」と語り、相手に対するリスペクトを示しながらも自信のほどをうかがわせた。
準々決勝のベネズエラ戦では、頼みのリオネル・メッシが不振だった一方、ロドリゴ・デ・パウル、レアンドロ・パレデス、マルコス・アクーニャが攻守両面において献身的なプレーを見せて中盤を安定させた他、ニコラス・オタメンディとヘルマン・ペッセーラのCBコンビの連携も良く、メディアからも「試合を重ねるごとにチームとしての機能が高まっている」と評された。ブラジル戦でも同じメンバーになる可能性が噂されているが、仮にそれが実現した場合、アルゼンチン代表はなんと2016年のコパ・アメリカ・センテナリオでの対パナマ戦以来、40試合ぶりに2試合連続して同じ先発布陣が起用されることになる。
■歓喜の歌

アルゼンチンのサポーターが14年W杯でブラジルを茶化すために歌った「Brasil, decime que se siente / tener en casa a tu papa(ブラジルよ、ホームにパパを迎えるのはどんな気持ちか教えてくれ)」という歌がある。「パパ」とは「子どもにとって勝ち目のない相手」を意味しており、90年W杯でクラウディオ・カニージアのゴールからアルゼンチンがブラジルを敗退させ、泣かせたことを思い出させる。そして「メッシが優勝カップを掲げる姿を見るだろう」、「マラドーナはペレより偉大だ」と続く。今回もミネイロンに響くのは間違いないだろう。果たして、アルゼンチン国民の思いと皮肉が詰まったこの歌は、14年ぶりの公式戦での勝利を祝福する「歓喜の歌」となるのだろうか。
文=藤坂ガルシア千鶴(Fujisaka de Garcia, Chizuru)
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「※」は提携サイト『 Sporting News』の提供記事です

