■戦術のトレンドが生む逆転劇
(C)Getty Imagesディエゴ・シメオネのアトレティコは、チャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメントでファーストレグ2-0からの逆転勝利を許したことは一度もない。直近の5試合(リーガの4試合、CLの1試合)で無失点と、守備の安定度は群を抜いている。一方ユヴェントスは、ファーストレグの0-2から逆転した経験は過去に一度もない。圧倒的に不利な立場にあることは明らかだ。
しかしユヴェントスに逆転勝利の希望がないわけではない。というよりも、その可能性は一見して感じるほどに低くはない。
ここ2年ほど、CLの決勝トーナメントでは従来にない逆転勝利が頻発するようになっている。そのはじまりとも言えるのが、2016-17シーズンのラウンド16、バルセロナがPSGに喫した0-4をセカンドレグの6-1でひっくり返した歴史的な逆転劇だ。このセカンドレグのラスト5分で2得点1アシストという大活躍を見せたネイマールを、敗れたPSGがその数ヶ月後に2億2200万ユーロという巨額の移籍金で引き抜くというオマケまでついた。
昨シーズンも、準々決勝でローマがバルセロナに対して1-4/3-0という大逆転を演じ、準決勝でもファーストレグでリヴァプールに2-5の敗戦を喫しながら、第2レグでは4-2とあと1ゴールというところまで追い詰めた。ほかでもないユヴェントスもレアル・マドリーとの準々決勝、ホームで0-3と惨敗しながら、敵地でのセカンドレグで後半ロスタイムまで3-0とリードし、延長戦での逆転勝利に望みをつないでいた。97分にPKを決めてこの望みを断ち切ったC・ロナウドが今シーズンはこのユヴェントスでプレーしているのも、運命の皮肉と言えるかもしれない。
このトレンドは今シーズンに入って、ますます顕著になってきている。ここまで終了したラウンド16の4カード中、平穏無事に終わったのはトッテナム対ドルトムント(4-0/1-0)ただ1試合のみ。残る3試合は、アヤックスがレアル・マドリーに4点を叩き込んで第1レグの1-2をひっくり返した(1-2/4-1)のをはじめ、マンチェスター・ユナイテッドがPSGを敵地で3-1と下して第1レグの0-2を逆転。ポルトもファーストレグの敗戦(1-2)をセカンドレグの3-1で見事にひっくり返している。
ここ数年、CLで上位を争うメガクラブの戦術は、ボールと地域を支配し主導権を握って敵陣で戦うポゼッション志向と、前線からのアグレッシブなプレッシャーによって敵陣でボールを奪いショートカウンターで仕留めようとするハイプレス志向という2つのスタイルに集約されてきている。かつては、CLの決勝トーナメントというと両チームが距離を置いて睨み合い相手の出方をうかがうような慎重かつ消極的な試合展開が多かったが、近年はむしろビルドアップ/ポゼッションとプレッシングのせめぎ合いによって、敵陣でのボール奪取から一気にフィニッシュに持ち込むタイプの決定機が頻発する不安定な展開が多い。それだけ試合の流れが変わりやすく、逆転のチャンスも多い傾向になっているということだ。
ユヴェントスにとっては、堅守を誇るアトレティコに対して、いかにこのトレンドを取り込んだ試合展開に持ち込むかが、逆転勝利への鍵になるとも言えそうだ。
■C・ロナウドへの期待はもちろん…
(C)Getty Imagesチーム状況は、決して楽観できるものではない。CLの大舞台で際立った経験値を持つ中盤の汗かき役ケディラ(不整脈が発覚して手術を受け療養中)に加えて、左サイドの攻撃を担うアレックス・サンドロが出場停止。さらに、攻撃の切り札になることが期待されたドグラス・コスタが前日練習で筋肉系の故障を起こして欠場と、戦力的には小さくないハンディキャップを負うことになる。ベンチ入りのメンバーすら頭数が揃わず、トップチーム経験がほとんどない18歳のニコルッシ・カヴィリアも動員される見通しだ。
しかしマッシミリアーノ・アッレグリ監督は前日会見で「我々にはこの状況をひっくり返す可能性が十分に残っている」と力強く語った。
「アトレティコはボールに対するプレッシャーが非常に速い。それをかわすためにはスピード、素早くボールを動かし縦にボールを運ぶことが必要だ。ファーストレグは前半いいプレーができたが、後半やや気が緩んでそこにつけ込まれた。明日は全員が100%でプレーしなければならない。最初の困難で足を停めることなく、90分間、もし必要なら120分間、集中力を保って戦うことが必要だ」
予想スタメンは以下。ファーストレグと同様、11人中9人まではほぼ確実視されている。
GK:シュチェスニー
DF:カンセロ、ボヌッチ、キエッリーニ、スピナッツォーラ(カセレス)
MF:エムレ・ジャン、ピャニッチ、マテュイディ
FW:ベルナルデスキ(ディバラ)、C・ロナウド、マンジュキッチ
指揮官が「チャンピオンズリーグの決定的な試合で、彼のようなプレーヤーが手元にいることは大きなアドバンテージ」と語るC・ロナウドの活躍に大きな期待がかかることはもちろんだ。しかしそれと同じくらい大きな鍵になりそうなのは、ファーストレグと同様にディバラをスタメンで起用するかどうか。問題はドグラス・コスタの離脱によって、アタッカー陣の選択肢が狭まってしまったことだ。単独で決定的なクオリティを作り出せる交代のカードを手元に残したいとすれば、攻守により安定感のあるベルナルデスキをスタメンで起用し、ディバラをラスト20~30分の「切り札」として取っておくという選択が現実味を帯びてくる。
興味深いのは、アッレグリが会見でこうコメントしていること。
「90分間をひとつの試合として見るのではなく、複数の試合に切り分けて戦うことが重要だ。フルスロットルで攻める時間帯と息をつく時間帯を使い分ける必要がある」
ディバラ(あるいはベルナルデスキ)、そして縦のスピードを武器とする若いケーンという限られた交代のカードをどのように使いこなし、試合を「切り分けて」戦うのか。指揮官の采配にも注目したい。
文=片野道郎(イタリア在住ジャーナリスト)
▶UEFAチャンピオンズリーグ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう
【関連記事】
● DAZN(ダゾーン)を使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
● DAZN(ダゾーン)が「テレビで見れない」は嘘!6つの視聴方法とは?
● DAZN(ダゾーン)の解約・再加入(一時停止)の方法とは?
● 【最新】Jリーグの試合日程・放送予定一覧/2019シーズン
● Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
● 白熱のJリーグ!2019シーズンの展望|優勝候補や得点王候補など





