明治安田生命J2リーグ第17節、上位直接対決となったヴァンフォーレ甲府とモンテディオ山形の一戦で特大の輝きを放ったのは、山形の阪野豊史だった。
■2得点で存在価値を証明
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前半は甲府の鋭い攻撃を浴び、守護神の櫛引政敏がビッグセーブで切り抜けるなど、山形にとって決して理想的ではない入りとなったこの試合。しかし、後半入ると、山形の厚みのある攻撃から阪野が持ち前の勝負強さを発揮する。
51分、山形ボールの右CKの場面でボールがファーサイドにこぼれると、それを阪野が見逃さない。マッチアップしていた小出悠太が手前に落ちてくるボールをうまく処理できないと見るや、阪野はその流れまで読んでいたかのように迷いなく右足を一閃。ネットを揺らし、均衡を破った。
その後、そこから甲府の反撃で同点とされるも、山形はロングボールの処理を相手がミスしたところに突っ込んだ山田拓巳がPKを獲得すると、阪野が落ち着いてゴールネットを揺らして勝ち越し。
阪野は、[3-4-2-1]の1トップとしての仕事をしっかりとまっとうし、77分にジェフェルソン・バイアーノとの交代で"お役御免"となった。結局、後半アディショナルタイムに追いつかれるという山形にとってはもったいない結果となったものの、第2節の横浜FC戦以来となる1試合2得点で、改めて阪野が存在価値を証明する試合となった。
■お手本はハリー・ケイン
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浦和レッズの下部組織出身で、日本代表の原口元気(ハノーファー)ともチームメートだった阪野。高校からの昇格はかなわなかったが、明治大学で能力を伸ばし、スペイン留学なども経験して勝負強さを磨いて行った。そして、卒業とともに念願の浦和レッズ入団を果たす。
しかし、結果を残すことができず、レンタル先の栃木SC、愛媛FCで過ごす日々が続き、2017には山形に完全移籍することとなった。それでも、「自分自身を成長させてくれたクラブ」と浦和レッズのサポーターに感謝の言葉を残して山形にやってきたストライカーは、精力的なディフェンスと力強いポストプレー、そして豪快なゴールで山形サポーターのハートを掴んだ。
イングランド代表FWハリー・ケイン(トッテナム)をお手本にしているという阪野は、自分がゴールするために全てを犠牲にするタイプのストライカーではない。
前線でしっかりと攻撃の起点を作り、味方のプレースペースを作ることでチャンスを拡大させて、そこからペナルティエリアに入り直していくのが基本だ。もちろん裏にスペースがあれば一発のロングパスに飛び込んでいきなりフィニッシュに持ち込むこともできるが、仲間を生かすことで最終的に自分も生かされるというイメージが見て取れる。
そして、堅実なディフェンスから効率良くサイドを起点にした攻撃を生命線とする山形にとって、阪野のポストプレーは不可欠だ。相手の厳しいプレッシャーを一手に引き受け、サイドの選手に前を向かせ、ディフェンスラインを押し下げる。
90分を通して貢献度の高い阪野だが、ゴールという結果を出したことで、甲府戦はストライカーとしてスポットが当たる試合に。とはいえ、そうした結果を出せていない試合でも、阪野の働きがあってこそ生まれるゴールも多いということを認識して山形の試合を観ていけば、面白みも増すはずだ。
文=河治良幸
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