2017-09-22-kanazawa4.jpg

【原博実の超現場日記/第9回】金沢の“おもてなし”に名古屋が呑まれたか…美味しいお寿司は次回に

明治安田生命J2リーグ第33節
ツエーゲン金沢 3-1 名古屋グランパス

東京は朝から雨。金沢も雨だろうと思っていたが、雨は降っていなかった。しかし金沢駅に到着すると、大阪に向かう特急サンダーバードは台風18号の影響で運休が決定。今後の天候が案じられる。

この日は早めに石川県西部緑地公園へ行ってみる。スタジアム外のステージではご当地アイドルが歌っていた。よく見ると、多くのグランパスサポーターが聞いている。ユニフォームの色が両クラブとも赤系統で似ているので、全く違和感がなかった。

2017-09-22-kanazawa1.jpg

名古屋からかなり多くのサポーターが駆けつけている。グランパスファンにとって、ツエーゲン金沢とのアウェイゲームは初めての経験となる(同スタジアムではガンバ大阪と対戦経験あり)。

特急しらさぎで金沢駅へ移動してきたグランパス実行委員の小西工己さんが、その足でスタジアムに到着。小西さんから「金沢の副市長さんが、旗を持って出迎えてくれて感激した」と教えてもらった。思えば、金沢の“おもてなし精神”に名古屋が呑み込まれてしまったのかもしれない。試合はそんな展開になった。

ツエーゲン金沢は直近の10試合で勝ちがなく、試合前の時点で勝ち点30の19位。一方の名古屋は5連勝の後、3試合勝ちなしで同6位。60得点を挙げているが、失点も50を数える。なにしろ失点が多いのが名古屋の問題点だ。

今日の名古屋はさらに攻撃的な布陣。杉森考起を右ウイングバック、左に青木亮太を置く3-5-2で、中盤の底は田口泰士と和泉竜司。ガブリエル・シャビエルがトップ下に入り、前線には永井龍、佐藤寿人が並んだ。2トップでより攻撃的な形になったが、どんなバランスになるのだろう。メンバー表を見てそう思った

ホームの金沢は守備の要、ビョン・ジュンボンが出場停止。右サイドバックの石田崚真は21歳、センターバックの庄司朋乃也は19歳で、中盤の右に入った宮崎幾笑は19歳。さらに中盤の真ん中の大橋尚志は20歳と若いメンバーが並んだ。この日のスタメン平均年齢24.91歳。この苦しい状況を乗り越えられれば、チームはもう一段レベルを上げられるはず。

2017-09-22-kanazawa2.jpg

開始6分、いきなり試合が動く。この試合中、ずっと名古屋は3バックとウイングバックの間を金沢に狙われていた。映像の場面でもクロスに対して中に詰めた宮崎に対して、名古屋右ウイングバックの杉森がファウルしてしまい、PKを与える。

いつも思うのだが、ハイライトはPKのシーンだけではなく、PKになったシーンをもっと見せてほしい。海外ではそのシーンで「PKだ」、「いや、PKじゃない」、「ファウルだ」、「ファウルじゃない」、「オフサイドだ」と帰りの居酒屋で、電車で、カフェで話している。それが本当のサッカー文化というものだ。

今回、映像のシーンは間違いなくPKだと思う。普通に競り合っていれば何ということもなかった。名古屋は前掛かりになると3バック以外がほとんど前に行ってしまうため、奪われ方が悪いと必ずカウンターを食らってしまう。

ハーフタイムにはお互い一人ずつを交代。金沢はベテラン山﨑雅人をトップに入れて、中美慶哉を中盤の左サイドに。名古屋は左ウイングバックの杉森に代えてJFA・Jリーグ特別指定選手で早稲田大のレフティ秋山陽介を投入。58分にその秋山がゴール。風間八宏監督の采配が的中する。

同点に追いつかれた金沢の柳下正明監督は、宮崎に交代して金子昌広を投入。すると72分、その金子がファーストタッチでゴール。柳下監督の采配も当たる。

2017-09-22-kanazawa4.jpg

続いて74分、金沢が追加点を奪う。

名古屋にとっては1点目と同じ得点の取られ方。3バックとウイングバックの間を使われている。5連勝の立役者だったガブリエル・シャビエルへのマークが厳しくなっており、好相性を見せていた青木も生きてこない。

2017-09-22-kanazawa3.jpg

金沢にとっては狙いどおりの展開だった。苦しいながらも若い選手たちが一歩一歩成長している。

一方、得点は取れるものの、失点も増えてしまう名古屋。金沢まで来てくれたたくさんのサポーターにとっては、残念な結果に終わってしまった。

1万1,173人の観客が入った金沢にとってこの勝利は大きい。市長を始め、サポーターは大喜び。最後まで雨は降らなかったのは幸運だった。

2017-09-22-kanazawa5.jpg

名古屋の攻撃陣はJ1でも上位に入る力がある。その攻撃力と守備とのバランスをどう整えていくのか。残り9試合、金沢も名古屋もここからが正念場になる

試合後、山陽新幹線が止まっているとの情報を聞いた。早く東京に戻らないと、家に帰れなくなってしまうかもしれないと不安になる。

実は試合前、早めに来てお寿司屋さんへ顔を出してみたのだが、14時半で「もう空いているのでは」と思ったらものすごい行列。グランパスのユニフォームを着たサポーターもたくさんいた。残念だけど、金沢の美味しいお寿司は次回の楽しみになってしまった。

※東京には無事帰れました。

文=原 博実

▶Jリーグのライブを観るならDAZNで!1ヶ月間無料のトライアルを今すぐ始めよう
広告